5、お気楽女子高生の日常 ─ 日高 真昼 高校一年生(16) ─
くだらない世間話をしながら一緒に学校から帰る途中で、突然、早苗が真面目な顔になった。
「あのさ、」と言いかけていったん口をつぐんだので、あたしは、ああまたか、と思った。
「早瀬先輩って、ちょっといいよね?」って早苗が言ったので、「いいよね」って相槌をうったら、「私、告白しちゃう!」って言ったので「がんばれー」って投げやりに言った。
早苗は恋多き女なので、いつでも誰かに恋している。いつも告白するのは早苗の方で、でも、関係はあまり長続きしない。
早苗は髪をちょっと染めてたり、派手な装飾品などを好むため、見た目が遊んでいる風に見えるのだけれど、実は結構身持ちが固い。
たぶん男の方は、簡単にキスとかさせてくれそうと思って、軽い気持ちで付き合うことをOKするんだと思う。でも早苗は、男に何にもさせないので、結果、男の方から去って行くことが多い。そっちから告白しといて何もさせないのはけしからん、というのが男共の意見のようだった。
早苗はとってもいい子なのに、胸しか見られないのはかわいそうだと思う。
「早瀬先輩が、早苗のことを理解してくれる人だといいね」って言ったら、早苗は小さくうなずいてから「まひるはさ、男の人とつきあったりしないの?」って言った。
告白して付き合っては、ふられて泣きじゃくる早苗を慰めるのはあたしの役目なので、いいかげんあたしの方は男嫌いになってきたかもしれない。
あたしは、今はまだ、部活とかに打ち込んでるほうが楽しかったりするけれど、いつかは男の人と、あーんなことやそーんなことをするようになるのだろうか。
「今はまだいいかな。でも、早苗がうまくいったらあたしも彼氏欲しくなるかもね?」
「じゃ、私がんばらなきゃ」
「おー、がんばれー」
がんばらなくても、あたしは困らないけどね。




