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Ep#.101 『SVO』 1.開幕

三番通り


帝国首都一区


γ0057年11月15日


6:02 P.M.(帝国東部時間)






 その日の《帝国首都》の天気は、真っ黒な雲から酸性雨の小雨が降るという、中途半端で、とても憂鬱な雲行きだった。


 灰色の重々しい雲は、沈んでいくタ焼けの太陽を覆い隠し、酸性雨を大量に含んだ低気圧の予感を告げている。


 カレンダーはγ○○五七年の一一月一五日。世界中を巻き込んだ大規模な世界大戦の終戦から五七年が経っていた。生

物兵器や、ミサイル攻撃で、あるいは使われたのは数える回数程しかなかったが、核攻撃によって徹底的に壊減してしまっ

た世界各地は、奇跡的な復興遂げ、この世界の南半球に位置する『帝国』大陸、その東海岸も例外ではなかった。温暖化と

戦争の影響で陸側に数キロメートル後退した海岸線上に、新しく築かれた首都はある。


 その都市は、海上の上に浮かぶ人工島群と、大陸側にちょうど半分ずつまたがり、その東側は大洋で、西側には砂漠が

延々と広がっている。『帝国』の大陸とは、乾燥した大地であった。


 首都は、幾重もの高層ビルと環状道路を抱えている。その人工島群の中心部には、一五〇階建てという高さの、世界最

大、内部に国会議事堂や中央省庁の入った超高層ビルが堂々と建っていた。旧時代の面影はすでにここにはない。


 急激な人口増加は都市開発に拍車をかけたが、開拓が思うように進まない砂漠のために横に広がることができない都市

の建物は、結果として縦に、そして海側に新しい人工島を作るという事で伸びる事になった。その代表的な存在が、他のビル

を従えるように建つ、一つの超巨大高層ビル。それは《帝国首都》のシンボルだった。








 上空より降り注ぐ酸性雨は、ビルの隙間を網の目に走る道路にまで降り注ぎ、舗装されたアスファルトを濡らし続けてい

た。


「あたしは、もっと楽な仕事だと思っていたのに…」


 『帝国』の民と、『帝国』の公用だらけのこの市街地に、別の国の人間と、その言語があった。それは『NK』の人間の香奈だ

った。


 押し殺した息を口から吐きながら、その細いウエストと脚を、大胆なスリットの入った白いロングスカートとブラウスから露出

させ、『NK』人の割には真っ白な肌、そして華奢な体を、建物と建物の間にある狭い隙間に押し込み、彼女は小さくしゃがん

でいる。黒に茶が少し混ざった長い髪の中に見える彼女の顔は、とても落ち着いてはいない。目線も一箇所を向いていなか

った。


 そして、彼女の側にある、時代遅れの産物である木箱の上には、黒いコートを着て、眼鏡をかけた長身の男、太一が堂々

と立っていた。彼はビルの隙間から外の裏通りを見つめその鋭い視線を送っていた。


「全然楽じゃあないよ。かなりヤバイって…」


香奈は、太一に向かって言っていた。


 彼女の問いに、太一は何の反応も見せなかった。自分の言ったことを聞いているのか、と香奈は思うが、当の本人は、何

が起こっても変えないという冷静な表情で、狭い建物の隙間の外を見つめていた。


 その外の通りは、終戦直後の急激な都市開発の名残り、一五、六階建ての建物の隙間を走る、裏路地だった。


 と、そこを、深緑色の軍服と防弾スーツを着て、同じ色のヘルメットをかぶり、最新型の短銃や小型のマシンガンを持った者

達が、焦った様子で走っていく。それは、世界大戦以降、この国でその活動規模を拡大した、『帝国軍』の兵士数名だった。


 太一と同様にして香奈もそれを横目で見ると、彼女はとても嫌そうな声で、


「ひゃあ、あんなものまで持っているよ。もう嫌になっちゃう…」


 と文旬を言ったが、彼女の方をチラリとだけ見た、真剣な顔の太一は、無表情でそれを黙殺していた。




 昨日の夜十一時頃、太一と香奈の二人は、『NK』にある太一の住むマンションに二人きりでいた。


 香奈は、何度も太一の部屋に来た事があり、その時が初めてではなかった。随分長い時間、彼女が一方的に喋りっぱな

し、太一は不器用ではないが、香奈が二人分のタ食さえ自分から作ってしまっていた。だが夜もふけてきた頃、盗聴防止装

置が付いている太一の部屋の仕事用電話が鳴った。同都市内にある、『NK』の防衛庁本部からの、緊急の呼び出し連絡で

あった。


 一時間もかからずに太一の車でそこへと到着した二人は、その長官、原隆作のオフィ


スに通された。


 壁には巨大な世界の、そして『NK』の地図。額縁に入る歴代長官達の写真。青と白が基調となる『NK』の国旗が掲げられ、

それらに囲まれた原長官のデスクの後ろにある。大画面の窓からは、暗闇に浮かぶ『NK』の街並みがよく見えた。


 さらにそこには、ブランドの黒いスーツを着て、青いネクタイを締め、長身で、白髪が眼鏡を掛けた渋い顔と見事に融合した

中年の男、原隆作がいた。彼は、高価な回転椅子に身を埋め、太一と香奈をデスク越しに並んで立たせた。


「夜遅く、わざわざご苦労だった。さて、電話でも言った通りに今回、君達に与える任務の全ては…」


 と、長官は低い声で二人に言いつつ、落ち着いた、ヒノキの重厚なデスクの上に置いてある紙の書類を指差し、


「そこに残らず書いてある」


 とだけ言った。


 太一は立ったまま、そのホッチキスで留められた書類をデスクから手に取った。書類には細かい文字がびっしりと印刷され

ている。彼は、黙ったままそれを一ぺージ目から読み始める。


「何て書いてあるの?」


 隣にいる香奈は、太一の読む書類にぬっと顔を覗かせ、その内容を素早く読み取ろうとした。


「《帝国首都》の《セントラルタワービル》における、不穏な動き及び活動の調査…?」


 彼女が見たのは最初のタイトルだけだった。


「《セントラルタワービル》は知っているはずだ」


「『帝国』の首都にある、百何階建てっていうビルの事ですね? 行った事あります。…、仕事で、ですけど」


 香奈は呟くように最後の方を言っていた。だが、そんな事など気にせずに、長官は椅子から立ち上がった。


「そのビルでだ、数週間ほど前から、黒塗りの高級車に乗った人物が何人か出入りしているとの情報を、『帝国』サイドの協

力者から入手した」


 窓の外の夜の街を眺めながら、彼は太一と香奈に背を向けて言うのだった。


「不蕃な人物…?」


 香奈は、原長官の背中に問う。


「白衣を着た男が数人…らしい」


「らしい?」


「まだ正確な事は分かっていないって事だ。その人物達は科学者かもしれないし、医者かもしれない…。ただ、数週間前から

毎日出入りしているとだけ、私は聞いている。かかさずに、だとさ」


 香奈は、その細い眉を寄せて、少し考える。


「あのビルの側の建物って、隔離施設や研究所みたいな場所もあるんでしたよね? それに、《セントラルタワービル》は、

『帝国』の中央省庁ビルです。白衣を着た男の数人や十数人、出入りしたって不思議ではないのでは…?」


 そこで原長官は二人の方を振り向いた。


「確かに、香奈。君の言う通りだ。しかし…、出入りしているという男のうち一人の顔写真、のコピーが、その書類の三ぺージ

目に載っている」、


 太一は書類の紙をめくり、その三ぺージ目を開く。ぺージの左下には、眼鏡をかけ、睨むような目付きをし、口髭を生やし

た、黒い目の『NK』人の写真が載っていた。写真は、彼が車から降りたところを捕らえていた。


「どっかで見た事あるわね…」


 香奈は太一の顔を見て言ったが、彼は何も答えない。


「近藤広政さ。こっちの大学の名誉教授。専門は医学、物理学、生物学、化学…、なんでもだ」


 香奈はもう一度書類に目をやり、少し間を置いて、


「そんな人が、『帝国』なんかで何をしているって…?」


「そこが、問題なのだよ。この事を不審に思った向こうの協力者が調べた所、彼の最近の研究は全くの極秘扱いだった。しか

し、わざわざ外国で、しかも『帝国』なんかで何かをしているとしたら、国際協力で何かの研究をしているのだろう。何しろその

男は、世界でも名が通っている著名な学者で、君達も良く知っているような世紀の大発見さえしている。君達も知っている

ね? 研究成果も随分と高い。まさに、現代の天才と言っていいほどだ。何かをしているとしたら、よほどの研究だろうな」


 もう一度、書類に印刷されている男の顔を見る香奈。彼女は、その後のぺージの、白衣を着た男が五、六人ほど写ってい

る写真も併せて目を通した。それは香奈が知らない人物達だったが。


「他の人は?」


「正体が分かっている人物は、そこに名前が載っている」


 近藤広政以外は、皆、香奈が知らない名だ。どこかで聞いた事があるかもしれない、と感じた名もあるが定かではない。だ

が、色々な国の、色々な研究機関の人物達がいた。


「それを、あたし達が調査するのですか?」


「そうだ」


「いつからでしょうか…?」


「《帝国首都》行きのジェットの席は二人分予約しておいた。出発は明日の昼、NK国際空港からだ」


「明日…、からですか…」


 なぜって、香奈は今日から三日間の間、休暇を取っていたからだ。まあそれは、振り替えられるのだけれども。


「やってくれるね?」


 原長官は二人の方を向いて問い、太一の方は何ち言わずに軽く頷いた。


「では、その書類を良く読んだら、ただちにシュレッダーにかけ、この事は内密にするんだ。口外は許されない。分かった

ね?」


「ええ…」


 香奈は言った。


「『SVO』、任せたぞ」


 原長官は呟くように言い、それを聞いてか聞かずか、太一と香奈は一緒に部屋を出て行った。  翌日、超音速ジェットに乗り込み、偽造パスポートで『帝国』に入国した二人は、五〇年前に建設された、《帝国国際空港》

の大きなターミナルビルに降り立った。そこから磁気軌道の地下鉄で、《帝国首都》の中心部、一区に潜入するのだった。


 一区は《帝国首都》のちょうど中心部の人工島に位置し、そこはいわゆる官僚街だ。中央には目的地の《セントラルタワー

ビル》が堂々と存在、中には幾つもの中央省庁が入る。その周囲には、世界規模の企業の本社ビルが立ち並んでいる。建

物によって、地上まで日中でさえ日の差し込まない、超高層ビル街だ。ここは、世界で最も人口密度が高いとの事である。


 そんな一区の中にある地下鉄駅まで、何ごとも無くやってきた二人だったが、すぐに『帝国軍』の兵士に発見されてしまうの

だった。まるで、二人がやって来るのを知っていたかのように、戦場さながらの武装で、駅に張り込んでいたのである。


 だが、なぜ空港で二人を待っていなかったのだろうか? なぜ、首都の中央部にまで二人は侵入できたのだろうか?


 あの情報が漏れてしまったのだろうか…? そして、その情報の解析は、二人が『帝国』国内に入った後に終了し、直ちに

この最も重要な区画の警備が強化されたのだろうか。


「撤退の気配は…、ないよ…」


 裏通りを再び覗いた香奈は言い、すぐに顔を建物の影に引き込む。


 時刻は午後六時を少し過ぎた。彼女の右腕にされた腕時計が、雨滴の中からそれを示している。憂鬱な色をした雲も、そ

ろそろ闇の中に消えて行く時間がやって来る。今日はこの首都は、日を望む事は無かった。


 香奈は、セットされていたはずの髪の毛が小雨で濡れ、汗だくのようにその顔がてかっていた。彼女は顔を引き込めてから

しばらく黙っていたが、やがて太一のいる方に目を向けて、


「どうするの? 時間の問題だよ…」


 と、少し焦った声で言った。


 またしても太一は何も言わなかったが、彼は代わりに、黒いコートの内側の、同じような色のズボンの腰に吊されていた、三

段階に収縮された鋼鉄製の警棒を取り出した。そして、右手に握り締めて香奈に見せる。その棒の太さは香奈でも楽に握れ

るくらい、長さは二〇センチほどにまで収縮されていた。


「やるんだね?」


 そう頼もしげに言いながら、香奈は地面に、真っ白なスカートが水溜まりで汚れないように、それを手で押さえながらしゃが

んだ。


「やっぱり、面倒になりそう…」


 呟くような彼女の言葉を無視し、太一は木箱の上からアスファルトの地面に降りた。そして小さくしゃがんでいる香奈を大股

でまたぎ、狭い建物の谷間から、外の開けた通りへと、慎重に歩み出て行く。


「まかせたよ」


 香奈は呟いた。


 それに少しだけ反応した太一は、わずかに横目で彼女の方を見たが、すぐに警棒を落ち着いた腕で握り、小雨が降る中

を、通りの中央に堂々と立った。彼はその腕を軽く上下に振った、すると、三段階に収納された警棒が一気に伸び、その長さ

は五〇センチほどになる。


 太一が向いている方向には、一〇メートルぐらい先にゴミ箱とゴミ袋が山積みになった、ゴミ捨て場のような場所がある。そ

の側に、『帝国兵』が五人、マシンガンや短銃を持ち、さらに防弾ヘルメット、スーツで完全武装した姿で何やら話し込んでい

る姿があった。


 彼らは、太一が姿を現した事に、すぐには気が付かなかったが、


「あいつだ!」


 と、一人の兵士が叫び、太一の方を指差した。


「何ッ!」


 他の四人の者達も、驚いた様子で太一の方に目を向けた。


 太一は、彼らに目線を置いたまま、変わらぬ真剣なまなざしのまま、右手に持った警棒を彼らの方を向いたままの姿勢で

構える。一方の兵士達は少し慌てた様子で、マシンガンや短銃の安全装置を外し、それを両手で構えて太一の方に向けた。

それは慣れた作業、流れた動きだった。


「その武器を捨てろ!動いたら撃つ!」


 五人の兵士の内の一人が大きな声で言った。


 だが、太一はそれにまるで応じる様子もなく、警棒を持ったまま、彼らの方に向かって走り始めた。


「構わん、撃て!」


 その声に従い、兵士達は躊躇する様子もなく、一斉にマシンガンや短銃の引き金を引いた。そして弾丸が吐き出される。


 今まで、近くにある通りから聞こえる車の走行音や、雑踏、雨が降る音だけがこの裏通りの全てだったが、突然に弾丸が放

たれる銃声が響き渡る。銃口から飛び出した弾丸は、飛行機雲のように雨雫の中に軌跡を残し、直線の軌道で太一へと向

かった。


 しかし彼はそれに動じず、ただ飛んで来る弾丸の方を、睨むように見ていた。


 太一の眼は、超高速のスピードで動く弾丸の、一発一発の軌道を正確に読み取る事ができる。弾丸は衝撃波を空中に残

し、雨滴をはじき飛ばしながら向かっている。


 そして太一は、常人には不可能なほど、その動きに残像が残ってしまう程の動きで、弾丸を一発一発、正確にかわすのだ

った。


 弾丸は通りの後方に消えていく、五人の人間が銃器で放つ銃弾は何十発とあったが、更に高速度で動く太一の動きには追

いつかず、彼に弾丸が命中する事はなかった。


 太一は弾丸をかわしながら大きく孤を描き、五人の『帝国兵』の方に走って行く。


 そして、彼から見て一番左端にいた兵士の顔面に向け、鋼鉄の警棒を、隙が全く無いように叩き付けた。


 兵士は、まるで豪椀を持つ者に、バットで思い切り殴られたかのように吹き飛ぶ。手から離れたマシンガンが地面に落ち、

回転しながら路面を転がった。


 その攻撃の瞬間、太一の体は青白い色に輝いた。まるで、激しい電流が彼の体から発せられたかのように。


 振り向きざまに太一は、側にいる兵士の後頭部にも警棒の一打を与える。太一の体から発せられた特別なエネルギー体

は、手に持った警棒に、スタンガンのような電流を帯びさせ、その破壊力を増大させていた。


 太一は、次々と武装した兵士達を、その警棒一本で吹き飛ばし、同時に全ての銃弾をかわしていた。


 彼から一番遠いところにいた兵士が、太一に向かって銃口を向けた。慌てている、その手は震えていた。


「こ…、こいつが見えたら観念するんだ…!」


 だが太一は、冷静な表情でその兵士の方を向いているだけだった。相手のように動じる様子はない。


 銃弾が銃口から飛び出した。兵士は引き金を引いていた。


 と、次の瞬間、その弾丸は弾け飛び、全く違う場所に命中する。そしてその弾丸を放った兵士は、思い切り後方へと飛ばさ

た。建物の壁に彼が背中から激突し、そこにめり込んでしまうほどに。


 太一は、弾丸が撃たれた瞬間、それが自分に達するのよりも速い動きで、警棒の突きを繰り出したのだ。警棒は、銃弾を

鋭く弾き飛ばし、『帝国兵』に猛烈な衝撃を与えていたのだ。


 事が終わったので、香奈は建物の隙間から出て、太一の元へと行く。彼は倒れた『帝国兵』達に囲まれた。兵士達の体か

らはうっすらと白い煙が上っている。太一の警棒に帯びていた力のせいだ。


「容赦無しって感じだね」


 太一は何も言わない。彼の警棒は青白く光っていたが、彼はそれを消した。香奈は倒れた兵士達を見やり、


「この人達…、あたし達がここに来るって知って張り込んでいたのかな? だとしたら、正体も目的もバレているのかも…」


 香奈の顔を太一は見てくる。


「どこから情報が漏れたんだろう…? ちゃんと、あの書類はシュレッダーにかけておいたのに…」


 香奈は苦い顔をして太一を見た。その彼女の顔は、さっきよりも雨で濡れて、まるで泣いているかのようになってしまってい

た。長い髪の毛も、髪の毛を洗ったかのように濡れている。


「こっちで大きな物音がしたぞ!」


 誰かの大声が聞こえて来る。間違いなく『帝国兵』の声だ。すぐ近くにある裏路地の曲がり角から、だんだんと激しさを増し

て来る雨音に混じって声がした。足音も忙しく聞こえて来る。


「ねえ、やばいよ。誰か来るよ」


 太一は何も答えない。


「早く逃げようよ」


 そう言って香奈は、彼の肩に手を乗せて催促した。太一は声のした曲がり角の方を、真剣に見つめていたが、彼女の催促

に従い、その曲がり角とは逆の方向に向かって走り出し、香奈もそれに続いた。


 酸性雨は、さっきよりも激しくふりしきっていた。上空に浮かんでいる雲は、さらにその重々しさを増していた。

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