最終職務報告書:管理局長ルカ
■ 概要:案件「愛執と因果の清算」の完了報告
お疲れ様です、観測者様。
管理局長、ルカです。
本件における全21話の執務記録、および三つの特異個体(アルト、セレスティーナ、ファルマ)に対する緊急措置、ならびに支配役の更迭人事……そのすべてを、今この瞬間をもって「事後承認」いたします。
私が神域の玉座に座ってから、地上時間でどれほどが経過したのか、もはや正確な演算は不可能です。一万二千五百人の同僚たちの想いを背負い、私はただの「事務官」であることを辞め、世界を維持するための「部品」として機能し続けました。
正直に申し上げれば、……想定外の連続でした。
私の解体という名の救済を、彼女たちは力ずくで食い破り、神域の扉を叩いた。
管理不備です。私の見積もりを遥かに上回る、彼女たちの「非論理的な執着」こそが、この物語をここまで動かした最大のエネルギー源でした。
■ 自己評価:管理者としての未熟さについて
私は、彼女たちに「平和」を与えようとしました。
しかし、彼女たちが望んでいたのは、私がいない平和ではなく、私という「負債」を抱えたままで歩む、不完全な日常だったのです。
局長としての立場から言えば、それは極めて「非効率」で「不適切」な選択肢です。
ですが、一人の男としての私が、その非効率な呼びかけに……どれほど救われたか。……それは、神域のいかなる計算式をもってしても、数値化することはできません。
■ 観測者様への伝達:最後のリクエスト
私は今、筆を置きます。
万年筆に残った最後のインクは、先ほど、貴方の手元へと移譲いたしました。
私の未来、そして彼女たちの運命は、今この瞬間も『有効化、保留中』の状態にあります。
どの断章を真実とし、どの結末を愛するのか。
それは、管理局の仕事ではなく、この物語を「最後まで読んでしまった」貴方の、特権的な自由です。
……。
……。
……。
……あ。
……。
……。
……もう、お別れの時間のようですね。
神域の処理速度が落ちています。……どうやら、私もようやく、本当の意味での「退職」が許されたようです。
貴方の観測があったからこそ、この物語は因果の中に存在することができました。
長い長い、私の「残業」に最後まで付き合ってくださったこと……一万二千五百人の想いと共に、心より感謝申し上げます。
……。
……。
……。
……それでは、。
……。
……。
……良い、余生を。……。
[System Message: Administrator Logged Out.]
[Status: Closed.]
[End of Document.]




