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乙女ゲーの攻略キャラに転生したけど、気づいたらヒロイン無視して戦闘狂になってた話。  作者: 幸運寺大大吉丸@書籍発売中


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第3話 邪神、やらかす

-side わるいそしき-




 ヒロインが死んですぐ、デビルマウンテンという山にあるアジトにて悪の秘密結社(笑)の集会があった。

 本当に秘密にする気があるのだろうか、ということは突っ込んではいけない。

 彼らは至って真面目なのだから。



「お告げはきたのか?」


「ああ。邪神様がとても強そうな魔王を召喚してもいいとおっしゃっていた」


「では、最強そうな魔王を召喚いたしましょう!」


「そうですね。久しぶりですし、私も腕が鳴ります!」


 そんなこんなで、悪の秘密結社は最強そうな魔王を召喚した。




「ははははは。我が地上に舞い降りるのはいつ以来か。」


「これはこれは、魔王様よろしくお願いいたします。」


「うむ。我が名は魔王メタファー。邪神様の都合により現れた、始祖の魔王である。」


 メッタメタである。


「はは。我らは邪神様の信託によりあなたを召喚させていただきました。誠心誠意あなた方に支えさせていただきます。」




 …ぴっかーーーん。



 その時、再び彼らに邪神の声が届いた。



『イレギュラーなことが起きてしまい、ヒロインが死んでしまった。よって、召喚は中止と言いたいところだったが、もう召喚してしまったようだな。


 うーむ。悪いけど少し待っていてほしい。


 ぬ…。なに?ヒロイン以外にも倒せるやつがおって、そいつが魔王を倒せるだと?

 ではそいつに、おしつけ…、いや、任せれば良いのだな。

 うむ、では信託はなかったことにしよう。

 すまぬなお前ら。聞こえなかったことにしてくれ。』


 という内容のやらか信託だった。


 やらかしたと知らずに悪の秘密結社は真面目に信託について考える。



「むむ。今のはどういう意味であるか。」


「わかりませぬ。邪神様の言う通り、聞かなくても良いのでしょう。」


「そうですね。我々の役目は邪神様に従い、ヒロインと攻略キャラをここまで導くこと。いつも通り役目を淡々と遂行するのみです。」


「そうであったな。うーむ。

 しかし、ヒロインが死んで、代わりのやつを立てると言っていたが、どのようなやつであるのだろうか。

 正直嫌な予感しかしないんだが。」


「きっと、悪役令嬢とかでしょう。

 もしくはよっぽど強さを追い求めている戦闘馬鹿の変態か。」


「げっ。両方ともきてほしくないんだが。関わりたくない。」


「大丈夫です。いざとなればここから逃げればいいでしょう。」


「それもそうであるな。」


 彼らは全く悪の組織らしくない話し合いをし、アランに対する自衛策を考えた。





  ♢ ♢ ♢ ♢ ♢





-side アラン-



「クシュン…。」


「どうしたアラン。風邪でもひいたか。まさかお前まで、死んでしまうなんてことないだろうな。そしたら俺…。」


「大丈夫、大丈夫だから!そんなに心配しなくても。」


 ヒロインが死んでから3日後、ウィリアムはめちゃくちゃ過保護になっていた。

 よっぽど、ヒロインが死んだことがショックだったのだろう。


 今まで、ヒロインに向かっていたエネルギーが全てこちらに向かってきたというのもある。正直俺は化物ヒロインではないので、受け止めるのは、無理である。



 ところで、今は王城にみんなでいる。

 先程、ヒロインの葬式が終わったところだった。


(…しかし、ヒロインが死んでも何も起こらないとは。てっきり、バッドエンドになったから、全員の記憶が取り消されて、再スタートとかだと思ってた。)


 そんなことを考えていた時、ウィリアムの側近が走ってきた。



「たっ…、大変です。魔王が召喚されました!」


「…!!本当か!?なぜこのような不運なことが立て続けに。」



 (ヒロインいない状況で魔王が復活って、やばくないか。バッドエンド後の世界に魔王が現れるということだろ。

 正直このゲームに関してはあまり詳しくはないのだが、魔王ってどれくらいの強さなんだろう。


 うーむ。わからないし、これはとりあえず、身を守るためにもっと強くなるしかないか。

 そして俺だけではなく、他のみんなの戦力も強化しなければ。)



ABC「「「(((な、なんか今強烈に寒気がしたような気がするな。)))」」」


 裏魔王アランの殺気である。




 

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