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好きな人  作者: りら
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毎日好きな人に会えるってなんて幸せなんだろう。

学校に行くと朝と夕方必ず会える。話せる機会を増やすために、学級委員長にも立候補した。


高校に入学して彼に一目ぼれした。今まで、恋だの愛だの、友達がきゃあきゃあ騒いでいることがよくわからなかった。何をそんなに騒ぐことがあるんだろうと馬鹿にしていた。男子が私に話しかけたり、好意を持っていたりすると、私の好きな人なのにって他の女子から嫌な態度をとられたこともあり、恋愛なんてとうんざりしていた。


だから、恋によってこんなに毎日がきらめくなんて知らなかった。逆に学校のない日は辛い。顔が見られないから。声が聴けないから。連絡先は交換できていないし。

彼はすらっとした細身の体、シャツの袖をまくると見える筋肉、笑うとできるえくぼ、しっかり目を見て話を聞いてくれる誠実さ、全てが私の理想だった。目が合うと、恥ずかしくて、ドキドキしてしまい、つい下を向いてしまう。まさに、私は恋する乙女だ。


夏は夏季講習があってよかった。夏休み中ずっと会えないなんて地獄だもの。

周囲は彼氏ができている子がちらほら。夏祭という一大イベントがあるから、彼氏と行くんだって嬉しそうに話していた。私は彼とお祭りに行くのは難しいから諦めていたけれど、彼もお祭りにくるみたい!偶然でも出会えたらいいな。可愛いと思ってほしいから、浴衣でいくつもり。こんなに可愛いんだってアピールしないと。

それなのに、夏祭りの時は女性と二人で歩いてた。無事、浴衣は見せられたけれど、可愛いって言ってもらえたけれど、他の女と話しながら歩く姿なんて見たくなかった。帰り道は悲しくて、胸が痛かった。恋ってこんな気持ちにもなるんだって知った。


夏休み明け、体育の小笠原先生が昔の教え子と結婚したんだってと生徒たちは大盛り上がり。先生、学生時代からちょっかい出してたのかよ~と男子はからかってる。そんなわけないだろって先生は否定しつつも、幸せそうだ。うらやましい。そんな禁断な恋ではなかったとしても、少なくとも相手の方は学生時代から先生に好意はあったと思う。先生だって可愛いなくらいは絶対思ってなきゃ、再開しても付き合って結婚なんてまで至らないと思う。

なんでこの世には教師と教え子の恋物語が多く存在のに、現実ではタブーなのだろう。小説だって漫画だってドラマだって、教師と生徒の恋愛を題材としたものがいっぱいあるのに。




そう、私の好きな人は学校の先生。国語教師の佐藤先生。先生が夏祭りに来ていたのは、数学の小野先生と一緒に巡回していたから。

でも先生が私に可愛いって言ってくれてたのは事実。授業中はしょっちゅう目が合う。目が合うと微笑んでくれる。学級委員の仕事のおかげで先生といっぱい話せる。最近、スカートを怒られない程度で少し短めにしたら、私の太ももに先生の目がいっていた。ボディタッチもさりげなく増やした。先生だってまんざらではない顔をしていた。


放課後の学校、教室で先生に頼まれて一緒に雑用仕事をしたら、ごめんな、ありがとうなって先生が言っていたから、お礼くださいってキスしちゃった。先生顔真っ赤にしていた。可愛い。それからたまに、放課後先生とキスするようになった。そのうち、先生からもしてくれるようになった。キス以上だって。だから、期待しちゃってたよ私。先生も私のこと好きだって。愛されているって。




ねぇ、なんで左手の薬指に指輪がしてあるの?裏切りだよね。先生、私のこと好きなくせに他の女性と結婚するの?



相談したいことがあるって言ったら、放課後教室で待っているようにって言われた。俺も話したいことがあるからって。


一人教室で椅子に座って待っている。愛し合っている動画を見ながら。

窓を閉めていても、運動部の声が、吹奏楽部の楽器の音が聞こえる。


学校って素敵だよね、生徒を守るようにできているから。機能できてるかは別として、生徒と教師の恋愛は教師が責任を取らないといけなくなっている。


ねぇ先生、先生が悪いんだよ。






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