死神の罪
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「早速だがマトリサイド君、質問だ。」
「何だ?答えれないような質問はするなよ?」
「君の名前、マトリサイド。その意味を君は知っているかな?」
マトリサイドという言葉の意味。マトリサイドがリリーに名乗った名前は偽名で、フィシルはそれに勘づいた。そして、その意味も知っていた。
「母殺し。君は、その意味を知った上で名乗った。つまり、君は...実の母を殺した。違うかい?」
「...はぁ、勘がいいな。ああ、そうだ。だが、それをお前に話す義理はない。」
「つれないなぁ、もうちょっと心を開いてくれてもいいと思うんだけど?」
「言ったはずだ。お前はただの処理困難物で、僕はお前を生かしているだけ。」
マトリサイドは母を殺した事を悔やんだりはしていない。だが、あの子どもの頃は輝いていた。だから、なるべく思い出したくは無い。
「まあいいや。で?これからどうするのさ。」
「明日からここを出て、別の街に行く。ここには死神と悪魔がいる事がバレているから狙われやすい。」
「確かに、賢い判断だね。では、私はお酒を飲みながらゆっくりしとこ〜っと!」
「お前、何歳だ。」
「えっ、いきなり何?」
フィシルの見た目はどう見ても十代後半。すでに酒缶を何個も飲んでいるし、普通なら酔い潰れててもおかしくない。
「まあ、17だけど。」
「は?歳下なのかよ。お前、よくそんな酒飲めるな。」
「えっ!?君歳上なの!?」
「ああ、18だ。」
「な〜んだ、1歳差ね。」
フィシルは煙草を取り出し、火をつける。17歳で酒カスで、煙草も吸う。かなりの非行少女だ。
「健康に悪いぞ。」
「なに〜?心配してくれんの?もしかして、私の事好き?」
「無い。」
「うっわ、即答とかモテなそ〜。」
「モテる気は無い。」
やがて月が沈み、日が昇り始める。夜明けだ。
「おっ、朝だね。」
「よし、じゃあリリーを起こしに行ってくる。お前は出発の準備でもしてろ。」
マトリサイドが部屋から退室し、フィシルは部屋を見渡す。そしてマトリサイドの上着を見つけると、それを持ってじっと見つめる。
「...改めて思うと、私ってクズだよね。」
「お前、何してんだ?」
「ひっ!?」
リリーと一緒にマトリサイドが部屋に戻って来た。もちろん、マトリサイドの上着を持っているフィシルを怪しむ。
「いや、落書きでもしてやろうかな〜って!」
「あ?殺すぞ。」
「はい、すんません。」
「はぁ、さっさと行くぞ。出るなら早い方がいい。」
マトリサイド達は家から出て、街を離れる。この世界には、5つの街があり、その内の4つにはそれぞれ1つの集団がいる。<スカーレット・ギャザリング>はどこの街にも所属していない集団であり、その異様さから他の集団に警戒されていた。だが、たった2人の死神と悪魔によって壊滅させられた。だから、もし他の街に行き、そこで2人の存在がバレてしまえば厄介な事になるし、リリーもバレてはいけない。これからは、集団にバレないように隠れながらの生活が始まる。
「ねぇ、マトリサイド。マトリサイドは、私が守ってあげるからね!」
「...ははっ、勘弁してくれ。」
マトリサイドがリリーを護るのはただ、リリーが綺麗だからという訳ではない。マトリサイドの行動は、自身の罪悪感によるもの。自分の妹を護れなかったことによる、罪悪感だ。
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