月下悪魔
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「ちっ、まさかあなたが来るなんてね。夜の悪魔、デビル。」
「まあね、私としてもリーパー君には興味があるし、殺されちゃ困るんだよね〜。」
デビルは拳銃を構え、スカーレットに発砲する。スカーレットは銃弾を避けながらデビルに接近する。
「そんなの知らないわ。リーパーは、私の獲物よ!!」
「おっと、流石だねスカーレット。すごい威力だよ。」
スカーレットの攻撃によって地面は割れ、建物は崩れ始める。スカーレットは5つある集団の1つを支配する存在。その力は、世界トップクラスだ。
「余裕そうにしているけれど、実は余裕なんて無いんじゃない?だってあなた、息を切らしてるじゃない。」
「ははっ、確かにそうだね。私は、体力が無いからね。」
デビルは小柄で素早い動きを得意とするが、体力が無い。長期戦になれば、デビルが負ける可能性は高まる。
「リーパー君、動ける?」
「なんだよ...流石に戦えないぞ。」
「ははっ、そうだよね〜。困ったな、疲れるから使いたくは無いんだけど...。」
デビルは腰に装備している2つのタガーを手首に着けている装備に繋げる。そして、建物を利用し、空高く飛び上がり、2つのタガーを飛ばした。
「っ!これは、ワイヤーね!」
デビルは建物の壁を走り、ワイヤーに繋がれたタガーはデビルの手の動きによって宙を舞う。この動きは体力を大きく消耗するが、その分強力な技。スカーレットが少しでも失敗すれば、デビルは的確に急所を狙う。デビルのこの技には、それ程の精度がある。
「でも残念。デビル、悪手だったわね。」
「なっ!?」
スカーレットはワイヤーを掴み、引っ張る。それによってデビルは体制を崩し、落下する。地上からは約30メートル。体力を消耗し疲れているデビルはこのままでは受け身を取れずにそのまま落下する。そうなれば、死に至る可能性は高い。だが、そんな事態にはならなかった。
「...?あれ、私どうなって...。」
デビルが目を開けると、白く美しい翼を持つ少女がデビルを抱えていた。まさに天を舞う天使。だが、彼女は次の瞬間にスカーレットを見下した。
「あなたが、マトリサイドをあんな風にしたの?」
「あらあら、そんな怖い顔をして。せっかくの可愛い顔が台無し...。」
「ねぇ、聞いてるんだけど?」
その瞬間、天使はスカーレットの首を掴み、スカーレットを持ち上げていた。少女の小さい身体からは想像がつかない程の力。そして、速さ。
「なっ...なんなの...!あんた...!!」
「マトリサイドは私に優しくしてくれるの。だから、マトリサイドを傷つける人を私は許さない。」
スカーレットの首からミシミシと音が鳴る。このままだと、天使はスカーレットの首を折り、完全に絶命させるだろう。
「リリー!やめろ!!」
「うん、分かった。」
マトリサイドが止めると、リリーは手を離し、マトリサイドに近寄る。マトリサイドはリリーが人を殺すところを見たくなかった。
「大丈夫?マトリサイド、今治してあげるからね。」
リリーがマトリサイドを抱きしめると、マトリサイドの傷が治っていく。これは天使の持つ癒しの力。リリーが人間ではなく、天使だという事を証明している。
「馬鹿ね!私が諦めるとでも!?」
スカーレットがリリーに襲いかかる。だが、その頭をデビルの銃が貫く。
「さようなら、スカーレット。」
スカーレットは死んだが、まだ問題は残っている。リリーを見たデビルを、マトリサイドが生かすかどうかだ。
「リリー、待っててくれ。今、ゴミを処分するから。」
「ははっ、容赦ないねマトリサイド君は。でも、ここは逃げさせてもらうよ。」
デビルは夜の闇に逃げ去る。マトリサイドは追いかけもせず、ただ星空を見上げる。
「...はっ、ゴミが。」
マトリサイドとリリーが家に帰り、ドアを開ける。だが、家の中に人の気配がした。外出している時に空き巣でも入ったのだろうか?でも、ここら辺は人も居ないし、その可能性は低い。だとすれば、マトリサイドを狙う者の可能性が高い。念の為、マトリサイドはリリーを自分の後ろに隠れさせ、慎重にドアを開ける。
「おっ、やっと帰ってきたか。マトリサイド君。」
「は?」
そこに居たのはさっき逃げ去っていったデビル。デビルはフードを脱ぎ、酒缶を開け、ソファでくつろいでいた。
「死ね。」
「おっと、まさか一言目がそれだとはね。君も冗談が上手いねぇ。」
デビルに敵意は無いが、マトリサイドはナイフを構えた。相手がゴミであれば、処分するのが当然。
「ちょっと待ってよ!私は君達に危害を加えようなんて思ってないよ!?」
「なら用件を言え。特に用がないならさっさと立ち去れ。」
マトリサイドの言葉を聞くと、デビルは深いため息をした後、口を開いた。
「私の家壊れちゃったから居候させてくれな...。」
「言い残す事は?」
「待て待て待て待て!君はちょっと早まりすぎだよ!!そもそも、これは君のせいでもあるんだよ!?」
デビルの様子を見て、マトリサイドは仕方なくナイフをしまった。本当に敵意は無いみたいだし、マトリサイドも疲れている。
「それで?僕のせいっていうのは?」
「君が崩した廃墟があるだろう?私の家はあの地下にあってね、君のせいで入口が塞がれてしまったんだよ。」
「なるほど、だから僕に責任を取らせようと。」
確かにマトリサイドの責任だが、だからといってデビルを家に居候させる意味が無い。そもそも、ゴミを家に置くなんて気が引ける。
「それに、このままじゃ君達はまた危険な目に遭う。私といた方が安心できると思うよ?」
「どういう意味だ?」
「簡単だよ。私達は1つの集団を壊滅させた。この事態を他の集団が黙ってるだけだと思う?」
マトリサイド達は1つの大きな集団を壊滅させた。そんな危険な存在を他の集団が野放しにする訳がない。狙われるのは確定している。
「でも...。」
「マトリサイド、私なら大丈夫だよ。それに、この人も悪い人じゃ無さそう。」
リリーはデビルを悪人では無いと判断した。目的は分からないが、少なくとも自分達に危害を加える気が無いのは事実だ。
「そうそう。私はただ、君達に興味を抱いてるだけで、変な事をしようって訳じゃない。それに、君にとっても悪い話では無いはずだ、マトリサイド君。」
「...分かった、お前をここに置いてやる。だけど、勘違いはするな?お前は、ただの処理困難物だからな。」
「はははっ、難しい言葉を知っているんだねマトリサイド君。」
マトリサイドがデビルを受け入れた頃には、デビルは酒缶を3本も開けていた。これからの生活が思いやられる。
「では、自己紹介をしよう。私は「フィシル」、これからよろしくね。」
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




