死の神
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「残念だ、レークス!お前は、ゴミの中でも綺麗なゴミだったのに!」
「...。」
自我を失ったレークスは、ただひたすらにアルバに攻撃を続ける。リリーに届く程の技の精度と、以前より増した手数と力。今の彼は、もはや災害だった。
「がはっ...!」
アルバはレークスの攻撃を捌き切れず、幾度も攻撃を喰らう。急所を避けるので精一杯で、いつ殺されてもおかしくはない。
「はっ、所詮はお前の正義もそんなものだったんだな!一度リリーに浄化してもらったらどうだ!!」
「...っ!違...う!」
レークスの攻撃が止み、レークスの目に少しだけ光が戻る。
「お前は、間違って...いる。あれは、天使では...ない!」
「...おい、もう一度言ってみろ?殺すぞ?」
アルバがレークスが冷や汗をかく程の圧を放つ。今のアルバの状態は不安定だ。妹を殺した存在が誰かも分からず、今はただ殺し尽くすしかない。その上、アルバにとって唯一残った綺麗な存在を否定された。
「目を覚ませ...!奴は...!」
「そうか、お前か。」
「っ!」
アルバはレークスに殺意を向け、刃を構える。
「死ねよ、ゴミ屑。」
アルバはレークスの背後に回り込み、刃を振る。だが、その刃は弾かれる。
「残念だ、死神。ここからは、僕の意志で戦わせてもらう!」
レークスの反撃が始まり、アルバに無数の攻撃が命中する。アルバがどれだけ怒ろうと、レークスとの力の差は開いたまま。
「く、そがぁ...!!」
「死神、お前はいつも間違っている。もっと物事を正確に判断しろ、感情だけで動くな。」
「黙れ黙れ黙れぇ!お前らは、ゴミ屑風情が、僕に指図するな!!」
より怒ったアルバがレークスに突撃する。だがレークスは隙だらけのアルバの背後に回り込み、渾身の一撃を放つ。
「がっ...!」
「さらばだ、死神。」
アルバは地面を突き破って地上まで吹き飛ばされる。彼が飛ばされた場所は彼が産まれ、育った地。そこで、アルバは死にかけていた。
「殺...す、死ぬ気で...殺す。いや...死んでも殺す。そのためなら、なんでもする...!どうせ、汚れた存在。死神にでも、なんでも...なって...!」
アルバは地面に突き刺さる大鎌に手を伸ばす。スカーレットが持っていた大鎌、それはかつて<アンヘル>が管理していた物であり、レイジーが盗み出した物。この大鎌の名は、<死神の鎌>。死神が持つに相応しい武器。
「...この力があれば、堕天使も敵ではない。次は必ず殺す。そして、同胞達の無念を...!」
地上の地面が崩れ、地下の都市に光が降り注ぐ。レークスがその光の中に見たのは、女神や天使などではない。一本の大鎌を持った死神だった。
『レークス、喜びなさい?』
「っ!この声は...!」
レークスの頭に堕天使の声が響き、喜びの声を上げる。
『あなたは、最高の死を迎える!』
地下へと落ちる瓦礫が黒く染まり、無数の黒い粉塵となる。黒い粉塵は死神に集結し、死神は黒い粉塵でローブを創り出す。
「<輪>。」
死神から黒い円形の刃が放たれ、レークスに向かう。レークスはそれをギリギリで避ける。
「くっ、速い...!」
「<廻>。」
レークスの腕が切り落とされ、あの刃が死神の元へ戻る。死神はレークスを見下し、レークスの腕の再生を待つ。
「その気なら、こちらから仕掛けるまで!」
「<転>。」
その瞬間、レークスの力が抜け、立てなくなる。翼も無くなり、以前の力も無い。
「なんなんだ...なんなんだ、お前は!」
「<生>。」
レークスの真上に黒い渦が生成される。その渦は、レークスに底知れぬ恐怖を覚えさせた。そして、死神が口を開いた。
「<輪廻転生>。」
渦が回りだし、レークスのみを吸い寄せる。
「ふざけるな...!こんな事があってたまるかぁ!僕は、正義の為に...!」
力を失ったレークスに抵抗するだけの力はなく、レークスは最後まで必死に足掻きながら吸い込まれていく。その様子を、死神は鋭く冷たい目で見つめていた。
「...リリー。リリーは、どこだ?」
「アルバく〜ん!」
アルバに向かって手を振るフィシルを見つけ、アルバはフィシルの前に降りる。アルバは目眩がして、その場に座り込む。
「っ!アルバ君!大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと、疲れただけだか...ら。」
アルバはぼやけた視界の中で、フィシルの背後に立つ少女を見つける。二つの黒い翼を生やした少女は、フィシルの心臓を、貫いた。
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




