半端者
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「で?結局あの子の事好きやないん?」
「だからそういう関係じゃないって言ってるだろ。何回言ったら分かるんだ?」
アルバとレイジーは話しながらフィシルの元へ向かう。だが、その途中で二人は違和感を感じた。
「おい、走るで。」
「ああ。」
二人はフィシルとネイビーのいる部屋の方から血の匂いを感じ取り、走り出す。ネイビーがいるから誰かに襲われたとしても問題は無いはず。だが、もしもネイビーが負けたのなら。相手はひとつの集団のボスに並ぶ程の実力者だ。
「おい!大丈夫か!」
レイジーが扉を開けると、奥にネイビーが壁にもたれかかって血塗れになっていた。
「レイ、ジー。おせぇぞてめぇ...。」
「何があったんや。あの子は?」
「<アンヘル>だ。あの集団の奴が、フィシルを攫いやがった...!」
フィシルが攫われた。その言葉を聞いて、レイジーはすぐに行動に移そうとした。アルバと共に<アンヘル>の団員を追おうとレイジーが振り返った時には、すでにアルバはその場にいなかった。
「ははっ、やっぱり好きやろ!リーパー君!」
10年の間、殺しを続けてきたアルバは、探している者がどこにいるかなど気配で分かる。それに、今回探しているのは旅を始めてからずっと共に居た存在。見つけるのは容易い。
「...ちっ、くそみたいな気分だな。」
アルバの心にはモヤがかかっている。なぜ、あの部屋を見た瞬間にフィシルが攫われた事に気づいて瞬時に走り出したのか。なぜ、こんなにも必死なのか。アルバにとって、綺麗な物以外は全てゴミだというのに。
「近いな。まあ、今はどうでもいいか。ただ、リリーに似た気配がした。それだけでいい。」
アルバは石の地面を爆破させ、地下に降りた。そこには翼の生えた少女の像があり、その像の前にフィシルを抱えた何者かが立っていた。
「おや、ネズミが迷い込んでしまいましたか。早急に処分せねば。」
「こっちのセリフだな。」
アルバがその者に近づき、刃を振りかざす。だが、その瞬間にアルバは蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「ちっ、ゴミが...!」
立ち上がろうとしたアルバに、一本の剣が迫る。それと同時に黒い羽根がアルバの視界に入った。
「おっと、大丈夫か?リーパー君や。」
「おい、なんでお前が...!」
アルバの前に立つレイジーは、自身の周りに無数の黒い羽根を纏っており、その羽根はあの時のスカーレットの物と酷似していた。でも、あの時のスカーレットと違うのは、完全に力を制御している事だ。
「よお、久しぶりやな。お前、元気しとったか?」
「ふふっ、まさかあなたが居るとは思いませんでしたよ。我らの天使を裏切った大罪人よ。」
敵の言葉から察するに、レイジーは<アンヘル>の元団員。そして、<アンヘル>は何かしら天使と関係がある集団だ。
「さて、リーパー君。色々と聞きたい事もあるやろうが、今はそんな場合ちゃうやろ?」
「...ああ、そうだな。」
アルバは立ち上がり、レイジーの横に並ぶ。今の目的はフィシルの奪還。アルバは、それだけを考える。
「いいでしょう!<アンヘル>の執行人であるこの「オッド」があなた達に制裁を!!」
オッドは背中に二枚の白い翼を生やし、力を解放する。アルバが感じたリリーに似た気配が強まる。だが、それは不完全だ。アルバとレイジーは構え、オッドと相対する。
「じゃ、殺ろうか!リーパー君!!」
「言われなくとも。」
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




