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純潔の堕天使  作者: 海月-トルテ-
-犯罪都市-
16/27

意味のある殺意

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「知らないってどういう事?リリーを攫ったんじゃないの?」

ネイビーからの意外な回答にフィシルは戸惑う。ネイビーはその様子を見て、説明を始める。

「そもそも、この集団はもう人攫いなんてしてねぇんだよ。あいつがボスになってから、方針が変わったんだ。」

「そういえば、新しいボスになった人って誰なの?ネイビー以外に適任がいるとは思えないけど。」

「あいつの名前は「レイジー」。確か、「放浪者」の異名を持ってたな。」

放浪者という異名にアルバは聞き覚えがあった。無法都市にいた頃、人が話していたのを聞いた時に、放浪者という名前が挙がった事がある。

「...はぁ、僕はもう行く。リリーがいないのなら、この都市に用は無い。」

「あっ、待ってアルバ君。私も...。」

フィシルはアルバに向けて歩き出そうとした足を止めた。

「フィシル、別に着いて来なくてもいいぞ。僕は、一人の方が楽だ。」

「私は...。」

「この際はっきり言おう。お前は、邪魔だ。」

アルバは再び歩き出す。アルバが拒絶した事により、フィシルはその場に崩れ落ち、唖然としていた。フィシルを拒絶したアルバの前に、一人の男が立った。

「おっと、そこの兄ちゃんや。ちょっと待ちぃ。気持ちは分かるが、あまりにも不器用すぎやないか?」

「...誰だ、お前。」

謎の男は高身長で細身の弱そうな見た目をしている。男はサングラスをしているが、アルバははっきりと男の視線を感じる。アルバが見つめるその男には隙が無かった。

「俺はレイジー。初めましてやな、リーパー君?」


<アズール・ギャザリング>のボスであるレイジーに案内され、アルバはレイジーの部屋に来た。お世辞にも綺麗とは言えない部屋で、他の集団のボスとは明らかに違う雰囲気を漂わせている。

「おい、僕に何の用だ。僕には時間が無い。」

「まあ座りぃや。俺は別にあんたに危害を加える気も無いんやし。」

アルバとレイジーは向かい合って座り、アルバはレイジーを警戒し、レイジーはアルバを見つめる。

「あんた、女の子守りたいのは分かるけど、あんな言い方は無いんやないか?」

「は?」

「いや、は?やなくて。あの子あんたに気があるみたいやし、あの言い方は傷つくやろ。やから...。」

「待て、いつ僕がフィシルを守りたいだなんて言った?」

全て分かったように話すレイジーを止め、アルバは反論する。アルバが守るのは綺麗な物であって、汚い物では無い。

「あれ?違ったか?おっかしいなぁ、あんたからあの子の匂いがものすご〜くするんやけどな〜!」

「...!お前、あまり調子に乗ってると...!!」

アルバがナイフを取り出そうとした手を、レイジーが止める。凄まじい反射神経と速度。今までこんな事は一度も無かった。

「調子に乗るなね...それは、こっちのセリフやな。」

「...!」

その瞬間、壁を突き破ってアルバが大広間へ飛ばされる。あの細い身体からは想像も出来ない程の力。<アズール・ギャザリング>のボスは伊達では無かった。

「あんた、天使と行動しとったみたいやな。この際やから、一人のゴミとして言わせてもらうで。」

「ちっ、てめぇ!!」

「自分まで綺麗になったと思い込んでんじゃねぇぞ?自分がゴミって事をちゃんと自覚しろ。俺は、人を見下しとる奴が一番嫌いなんや。」

レイジーの静かな怒りは、アルバに恐怖を感じさせた。そして、この男の言っている事は正しかった。アルバは、リリーの近くにいる事で、自分まで綺麗になったと勘違いしていた。

「なぁ、リーパー君よ。同じゴミ同士、仲良くようや。」

サングラスから覗く赤い眼光を、アルバは見た事があった。あの都市から始めた旅の中、いつも自分を見つめていた目だ。

「お前、まさかフィシルの...。」

「さっ、あの子のとこ行こうか。言っとくけど、またあの子を拒絶したら殺すで?」

男の言葉と立ち姿には、明確な殺意が込められていた。だが、その殺意の中には優しさも込められていた。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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