悪魔の故郷
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「フィシル、起きろ。」
「ん...何?もう朝?」
フィシルは目覚めると同時に自分の格好を見て顔を赤らめる。そして、アルバの顔を二度見して、顔を青ざめた。
「えっ、何その怖い顔...。」
「早く服を着ろ。リリーが、消えた。」
「はい?」
アルバが早歩きをしている後ろを寝起きのフィシルが追いかける。アルバが焦っているのが明らかに分かる。
「アルバ君、ちょっと変じゃない?」
「何が?」
「いや、私達が寝てたとしても、アルバ君すら気付かずにリリーが攫われることなんてあるかな?」
ここは犯罪都市の近く。昨夜、アルバとフィシルが寝ていた間にリリーは消えた。なら、<アズール・ギャザリング>の奴らに攫われた可能性が高い。だが、血に塗れた世界で生きてきたアルバとフィシルが気付かなかったとは思えないし、リリーの周りを誰よりも警戒していたアルバが気付かなかったとは思えない。
「じゃあ、リリーが自ら消えたって言いたいのか?」
「えっと、その可能性もあるんじゃないかな?なんなら、その可能性の方が...。」
「じゃあ、リリーは僕を拒絶したのか?」
「...!そういう事じゃ...!」
フィシルは知っていた。リリーがアルバに曲がった感情を持っていることを。だから、リリーがアルバを拒絶する事はありえない。でも、フィシルとアルバの警戒を掻い潜って何者かがリリーを攫ったとも考えにくい。
「...さっさと行くぞ、フィシル。」
「あっ...うん、分かった。」
アルバとフィシルは都市に着くとフードを被って進む事にした。アルバとフィシルが歩いている間にも、この都市ではそこら中で喧嘩や盗みが起きている。無法都市よりも危険だ。
「おいてめぇら、この都市に何の用だ?」
アルバとフィシルの間に大男が割って入る。フィシルは大男の顔を見た瞬間、一発だけ銃を発砲してアルバの手を引っ張って走り出した。
「おい!何で逃げて...!」
「アルバ君は黙ってて!とりあえず、今は走るよ!!」
アルバとフィシルは路地裏に逃げ込んで、大男の視界から逃れた。銃を放たれた大男は歯で挟んで止めていた銃弾を噛み砕いて、笑みを浮かべる。
「ははっ!やり甲斐がありそうじゃねぇか!!」
アルバとフィシルはしばらく走り、路地裏で向き合って座る。
「おい、さっきの男を知ってるのか?」
「...彼は「ネイビー」。<アズール・ギャザリング>の代理のボスで、スカーレットに次ぐ剛力と高いIQの持ち主だよ。10年前は、集団のボスだった。」
「妙に詳しいな。何で10年前の事も知ってるんだ?」
フィシルは目を閉じて深呼吸をする。そして、アルバの方をまっすぐ見て口を開いた。
「実は、この都市は私の産まれた場所なんだ。」
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




