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純潔の堕天使  作者: 海月-トルテ-
-犯罪都市-
13/27

静かな夜

読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。

「...まだ着かないのか?」

「マトリサイド君さ、さっきから言ってるよね?あと半日はかかるって。」

マトリサイド達は犯罪都市<イビル>に向かっている。だが、現在地から<イビル>には約半日はかかり、今は深夜。そろそろ休んだ方がいい。

「ん?あれは...。」

「おっ、小さな町だね。あそこで休んだ方がいいんじゃない?」

フィシルやリリーはもう暗いし休んだ方がいいと思っているが、マトリサイドは一刻も早く自分の妹を見つけ出したい。だが、都市に着いた時にいきなり戦闘が始まるかもしれないし、マトリサイドにも休んだ方がいいという考えが浮かんだ。

「分かった、あそこで休もう。」


町は賑わっているわけでもなく、暗いわけでもない。皆、普通に過ごしている。小さな町とはいえ、ここは都市に近い場所。ある程度の設備は整っている。

「リリーは...もう寝たか。」

「うん、結構歩いて来たから疲れちゃったんだろうね。」

「それにしても広いな、この部屋。」

「そりゃあ私がいい所選んだもん。」

すでに辺りは暗くなっており、町も静まり返っている。

「じゃあ、僕はもう寝るから。」

「うん、じゃあ私も寝ようかな。」

フィシルはマトリサイドの後ろをついていく。マトリサイドが向かっているのは、二つある寝室の内の一つだ。

「おい、何でついて来るんだ?」

「だってシングルの方はリリーが使っちゃってるでしょ?でも、こっちはダブルだし!」

「...まさか、お前はこれが目的で?」

マトリサイドはフィシルの横を通り、ソファへ向かう。

「えっ!?ちょっと!この状況なら一緒に寝るでしょ!?」

「ありえない。何で僕がお前なんかと一緒に寝なきゃならないんだ?」

「それは...だって...。」

もじもじするフィシルを横目に、マトリサイドはソファに寝転ぶ。そして、そのまま目をゆっくり閉じ始める。

「好きだから。」

「...!冗談だろ?」

「ふふっ、この状況で私が嘘をつくと思ってるの?私は本気だよ、マトリサイド君。」

フィシルは真っ直ぐマトリサイドを見つめる。そんなフィシルから目を逸らし、マトリサイドは目を閉じる。

「言ったはずだ、僕にとってお前はただの処理困難...。」

マトリサイドは水が床に落ちるような微かな音を聞き取り、とっさにフィシルの方を向いた。マトリサイドの目に映る彼女は、目から涙を零していた。

「そう...だよね。うん、ごめんね。マトリサイド君は、妹さんの事で精一杯で、私の事も好きなわけないのに...。」

「...おい。」

「じゃあ、ゆっくり休んでね。この事は綺麗さっぱり忘れて、また明日から...。」

「ちっ、仕方ねぇな。」

自分の手で涙を拭うフィシルの腕を掴み、マトリサイドは寝室へと歩き出す。そしてフィシルをベッドに寝かせ、マトリサイドはフィシルの隣に寝転ぶ。

「マトリサイド君?なんで...。」

「黙れ、何も喋るな。」

マトリサイドは黙って目を閉じる。月明かりが差す薄暗い部屋の中で、フィシルはマトリサイドの横顔を眺めた。

「ねぇ、マトリサイド君。」

「...おい、喋るなって言っただろ。」

「本当の名前、教えてくれない?」

マトリサイドは少し間を置いた後、ゆっくり口を開いた。

「アルバだ。僕は、夜明けに生まれたんだ。」

「アルバ...うん、いい名前。」

フィシルはアルバの背中に抱き着く。アルバは抵抗をする様子もなく、逆にフィシルの方へ向いた。

「...?マトリサイド君?」

アルバは静かにフィシルの口を自分の唇で塞ぐ。そして、フィシルの身体を強く抱き締め、しばらくして唇を離した。

「アルバだ。」

「えっ、えっと...。」

「ははっ、らしくないな。...なあ、フィシル。」

アルバはフィシルの身体に跨り、顔を近付ける。

「えっ、アルバ君本気?いいの?私なんかと。」

「ふっ、ゴミ同士だから問題ないだろ?」

「...!ふふっ、そうだね。」

薄暗い部屋の中、アルバとフィシルは他の事なんて全て忘れて、互いの身体を重ねた。

今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!

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