異形の者
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「あのさ...。」
「はい、どうかいたしましたか?」
「これって、どういう状況?」
現在、フィシルとリリーは、レストランでフラクセンとレークスの二人と食事をしている。
「どういうって、見ての通り食事ですよ?」
「いやいや、奢ってくれるのはありがたいんだけど、なんで私達で食事なんか...。」
「なるほど、そういうことでしたか。ただ、私が空腹でしたので。」
「は?それだけ?」
「はい。」
敵同士での食事。この場にいるフラクセン以外の者が、フラクセンの行動を不思議に思っていた。
「この都市を統べる者が空腹時に食事も出来ないなど、あってはならない事ですよ。」
「はぁ、それは分かったから。それで、スカーレットはどうするのさ?協力っていっても、倒した後はあんたらはすぐに私達を殺しにかかるでしょ?」
「ええ、それはもちろん。」
フラクセンとレークスはスカーレットを倒す際に、フィシルとリリーに積極的に戦わせ、疲労したところを叩く。そういう作戦を考えているのだと、フィシルは予想している。だから、協力するのは得策ではない。
「ちっ、話になんない!リリー、もう行くよ!スカーレットも置いて、この都市を出よう!」
「えっ、でも...。」
「大丈夫。どうせ、こいつらはスカーレットを倒す気でいるし。」
フィシルがリリーを引っ張ってレストランを出ようとすると、レークスが口を開いた。
「言っておくが、ブラッドはあの少年を狙っているぞ。」
「は?そんなの分かんないでしょ。」
「いや、ブラッドは戦いの最中もあの少年を見ていた。ここで殺しておかなければ困るのはお前達だ。それに、僕らではあいつには勝てない。」
レークスは嘘をついてはいない。フィシルはレークスの目を見つめ、席に座り直した。
「じゃあ、条件付きで手伝ってあげる。」
「ほう、このフラクセンに交渉とは。」
「1、私達が無事に都市を出れるまで争いは無し。
2、私達に報酬金として金貨5枚を渡すこと。
3、あんたらが過去に人攫いをしたか、もしくは人攫い をしている連中を知っていたら教えること。
これが条件よ。」
フィシルはマトリサイドの目的のためにも更に情報収集をすべく、二人に条件を出した。
「1と2は分かりますが、3はどういう意図が?」
「あんたらには関係ない。それで、もちろん受け入れてくれるよね?」
フラクセンとレークスは少し頭を抱えた後、目を合わせてフラクセンが口を開いた。
「いいでしょう。私もブラッドに居座られては厄介なので、その条件を飲みましょう。」
「よし、決まりね。じゃあ、早速...。」
「ちょっと待ってください。私の食事がまだです。」
フラクセン以外の三人は、上げていた腰を下ろし、同時に深いため息をついた。
四人がパーティー会場の扉の前に立つ。中にはスカーレットの禍々しくも神々しい気配がする。
「話をまとめると、その天使さんがブラッドを倒すための鍵だと?」
「うん、彼女は不完全な天使。だけど、普通の人間が太刀打ち出来るような奴でもない。だから、完全な天使である私じゃなきゃ勝てない。」
「天使だとか意味が分からない。僕はそんなものが実在するとは思わないけどね。」
「実際にここにいるでしょうが。」
リリーが扉に手をかける。
「じゃあ、行くよ。」
リリーが扉を開ける。そこには、白い翼を生やした片翼の天使がいる...そのはずだった。だが、そこにいたのは。
「三人とも、前言撤回。あれは、人間でも天使でもない、化け物だ。」
片手に鎌を持ち、片腕が黒い翼と化し、赤い涙を流す、スカーレットがいた。
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




