死神と堕天使
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
天使が目を覚まし、手首に違和感を感じると同時に鎖の音が聞こえる。天使が自分の手首を見ると、そこには手錠がされてあった。
「あっ、やっと起きた?おはよう、綺麗な天使さん。」
「...あなたは?」
「僕は...マトリサイド。うん、マトリサイドと呼んでよ。」
天使の前に現れた青年は笑顔で天使と接する。その笑顔に敵意や殺意は無く、ただただ不気味だった。
「この手錠はなんですか?」
「君が外へ出ないようにする鎖。外は汚い物でいっぱいだからね、綺麗な君は外へ出てはいけないんだ。」
「そうですか。」
「じゃあ、ちょっと待っててね。お掃除してくるからさ。」
青年は外へ出て行き、天使は1人になる。天使は窓から外を覗き、この世界を見る。あらゆる場所が汚れていて、ボロボロの街。この街は、汚れていた。
「おい、そこのガキ!金よこせや!!」
マトリサイドが街を歩いてると、大男とその取り巻きがカツアゲをしに来る。こんなのはこの街では日常茶飯事。弱そうな奴はよく狙われやすい。
「兄貴!このガキ、ボコしちゃいましょうよ!」
「はははっ!それも悪くねぇなぁ!!」
「...はっ、ゴミが。」
マトリサイドが取り巻きの方へナイフを投げ、頭に刺す。一瞬の出来事。だが、それだけで大男はこのガキが何者なのか勘づいた。
「お、おい...!まさかてめぇ、あのリーパー...!!」
「ゴミが喋んなよ。僕の耳がこれ以上汚れたらどうする気だ?」
「ちっ、ここは見逃してやる!じゃ...じゃあな!!」
大男はマトリサイドに背を向けて走り出す。だが、その頭にマトリサイドが飛びかかり、ナイフを突き刺す。
「うっ...!」
「ゴミが逃げんなって。当たり前のことだろ?」
マトリサイドはこの街で人を殺して生きてきた。ずっと何人も殺してきた。そして、マトリサイドには異名が付いた。「リーパー」、それがマトリサイドの異名。彼と目が合った者は誰も生き残っておらず、一度見つかればどこまでも追ってくる。ゴミを処分する為に手段は問わず、あらゆる手でゴミを処分する。この街の人々にとっては、見つかれば終わりの死神だ。
「ただいま、綺麗な天使さん。」
マトリサイドは家へ帰ると天使へ林檎を差し出す。この街にまともな料理はない。なら、林檎を丸かじりした方がマシだ。
「ありがとうございます、美味しくいただきますね!」
「...!本当に綺麗だね。」
天使の笑顔はマトリサイドの心を僅かに浄化した。この汚い物しか無い世界で、マトリサイドが見つけた唯一の綺麗な物。それが彼女。天から落ちてきた綺麗な天使なのだ。
「そういえば、君の名前は?」
「私には名前は無いんです。無名の天使ですから。」
「...じゃあ、リリーだ。君の名前はリリー。」
「リリー?」
「そう、リリー。どう?いい名前でしょ?」
マトリサイドが天使に見せた2度目の笑顔は不気味なのは変わらなかったが、それでも優しさを孕んでいた。
「うん、私はリリー。ありがとう、マトリサイド!」
リリーの笑顔は汚れを知らないような純潔の笑顔。死神が見つけた、汚れを知らない天使。死神が拾った純潔の堕天使。
今回のお話、楽しんでいただけたでしょうか?ぜひ、応援よろしくお願いいたします!




