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プロローグ あるいは最終決戦

初投稿です。右も左もなろうの作法もわからぬ無知阿呆です

 神と王が統治する国『ウェルス』。神々の管理する魔法により人々は幸福と安寧の中で緩やかなる発展を遂げていた。魔獣との縄張り争いは絶えずとも、確かに人の営みは豊かだった。しかし前触れなく現れた鉄の筒と肌を持つ魔人が神である『ウェルリア』を討ち、大陸の獣を虐殺してまわり、国はそれまでの栄光を突如として失った。


「我らは銃、殺しつくす衝動、拒絶する象徴なりて。」


人々を脅かす魔獣すら殺しつくし新たな脅威に成り代わった彼らを仇敵になぞらえて『魔銃』と呼称し、唐突なる殺戮に人々は抵抗を試みる。しかしウェルスの主力たる魔法使いと騎兵は魔銃との戦いにおいて最悪の相性であり、未知の武器である銃の前に敗戦を重ね続けた。


「この大地、空、海、無垢なる者たち、全てに死を捧げよう。」


魔銃を率いるは『スレッジハンマー』。神の遺骸を喰らい、鉄を生成し加工する魔法と空駆ける翼を得たそれは魔銃の軍勢に無限の銃弾をもたらした。征服することなく、破壊することなく、村と都市で命のみがただ死に腐る。多くの死を積み上げ魔銃を討ち、捕えようとも、即座に自死し、そのうえ消滅してしまうため、一切の情報を得られず、銃を手にすることも出来なかった。

 ウェルス王は代々受け継がれてきた障壁魔法の技法を公開、人々にアクセスキーとなる自らの王血を広く輸血した。障壁魔法を用いた新たな装備を渡らせ軍を再編。大陸の4割が死地と化すもそれ以上を許さなかった。

 神の死は禁忌を(ほど)いた。それまで大地に散逸しながら封印されていた聖域の『神器』が解放されたことが確認されたのだ。それはかつて『ウェルリア』が唯一神となる以前に打ち滅ぼした12の神の遺物。殺しながらも敬意を捨てず、残し続けた古き神の墓標。

 これを回収しながら死地の魔銃を倒すことを命じられた武器強化の魔法の使い手、決闘術式デュエルエフェクトをもつハーベルは、旅の中で各地の曲者を引き抜き25人からなるチームを作り上げた。

 その名は『月光の旅団』。

 パーシルが先頭で鬨を叫んだとき、銃声への恐怖は吹き飛ばされたと言う。



 プロローグ、あるいは最終決戦 前編



「藻掻くか、我らがマガジンは無限なれど、時間の無駄である」

 熾烈なるは止まぬ銃弾の雨。無限のマガジンから放たれる熱だけで神殿が熱い。神殺しを成した神殿にてスレッジハンマーは酷薄で鋭利な瞳を一切惑わせず、歯向かうパーシル達を両手の2丁で迎え撃つ。すでに放った弾丸は10万発を超えるも、魔力消費による疲労を見せない。トリガー一回で三方に拡散する弾丸のその制圧力たるや!

ただ拮抗が崩れるのを()()から待ち続ける。神を喰らいし魔銃は翼を広げ、神秘的なまでの冷徹を、鋼の肉体で体現していた。


「水の余裕、もうなくなっちゃうよ!」


凶弾を絡めとるは水塊、体内の水分を呼び水に水量を増やし架空の水流を付与する元素術式・水(アクアエフェクト)を持つリアは叫ぶ。18歳の女の子でありながら前衛に立ち、果敢にも銃弾を受け止める水塊を生成し続ける。戦う環境次第ではほぼ無制限に水を増やして操り続けられる彼女であっても、石造りの神殿にはすでに水源がない!神殿にあった噴水の水はもう総動員している。しかしスレッジハンマーの銃弾は必殺であり、魔力を否定する要素もあるのだろう。水塊に受け止められた瞬間に水をすこし巻き込んで消失する。戦闘が長引けば水もなくなり、魔力と集中力も使い切り敗北は必定。しかし放たれる無制限の弾丸はなおも水のポケットを削り続ける!リアの食いしばった歯が歯ぎしりを鳴らす。術式の行使中は瞳と髪が青く染まる彼女だが、もはやその発色も淡くなっており、限界を示している。


「いや、弾は無限でも武器の耐久は別だ、2秒両手を上げて冷却魔法をかけるタイミングがある。」


銃声を上回りながら味方にのみ聞こえる声量で作戦が伝えられる。知覚と五感を拡張する思考術式(ブレインエフェクト)を持つカイウスは時間の認識を遅れさせながら思考し、観察し続けている。さらに王血を輸血されている彼は障壁魔法を同時に展開し、リアの水塊を抜けた銃弾を叩き落す。


「2万発のタイミング、次まであとちょうど4百発!」


 恐るべき認識力と集中力、彼は今まで放たれた弾数を正確に数え続けている。一騎打ちならばスレッジハンマーは両手の銃を交互に使い、隙など見せないだろう。しかしあえて水の防御を外れ、()()()()()()()()男が一人いる。


「デュエルエフェクト、デュエルエフェクト、デュエルエフェクト……」


この男こそパーシル。水塊の斜め前に立ち、スレッジハンマーの警戒するターゲットを分散させ前線を広く保つ。これまでの冒険で入手してきた神器を握りしめ腕をクロスした防御態勢を取っているが、その足元には血だまりができている。術式を重ね続け、痛みに耐えながら勝機を窺うその目は煌々とした輝きを失わない!


衝撃術式(インパクトエフェクト)発動遅延(リザーブ)


自身の打撃の威力を視界内のどこにでも移動させられる術式を持つ軍服の拳闘士エライザは野生のセンスと女の勘で迫る勝機を理解する。


王血起動(バリアチェンジ)、いつでもいける。」


鋼鉄の魔銃に対し、拳闘は通用しない。ゆえにエライザは王血を宿した。パンチだけでなくバリアも視界内なら自由自在に発動できる。睨みつけるはただ一点、号令を待つ……。


「今だ!」


刹那を見極めるはカイウス。


「障壁顕現!」


刹那を掴み取るはエライザ。


「……なに?」


スレッジハンマーの銃口の15cm前に顕現したバリアは銃弾を跳弾させ、その両翼を貫く。驚愕に染まる相貌。ありとあらゆる判断が2テンポ遅れる。


「終わらせる!」


地を蹴り迫るパーシル。彼我の距離を音速で詰め寄り、失墜したスレッジハンマーに必滅のレシピを叩き込む。数千発の銃弾の痛みを耐え抜いた彼の表情は、まさに気面相!


「合わせろ、化合槍(かごうそう)ウロボルク!」


それは無機物と無機物を無理やり融合させることができる神器、左手に握られたスレッジハンマーの銃身に槍を触れさせる。


「開け!」


99の呪いをもたらし、そののちひとつの希望を残すパンドラの箱。これを融合する。すると箱から根が生えたかのように銃身と合一する。持ち主たるスレッジハンマーは99の呪いを直に受け止めなければならない。


「ぐ、ガアッ……」


神を喰らって得た翼、不死性、銃弾生成術式、冷却能力、他の個体との遠隔接続、のみならず自ら持っていた鋼鉄の肌まで呪いにより劣化していく。


「まだだァ!」


枯れつつある両翼を全力で振るいながらバックステップし、無事な右手の銃を前方に向ける。狙うは(ふところ)に潜り込んでいたパーシル!


「ここまでだッ!」


叫ぶリアは防御に使っていた水塊に空中を泳がせる操作を行う。スレッジハンマーの右手に突進した水塊は銃を水没させる!


「往生際だ、受け入れろ、決闘術式(デュエルエフェクト)!」


パーシルは全力の蹴りを放ち、壁面に怨敵を叩きつける。

銃の制圧に抑えられてきた武器たちが解放に(ほとばし)る。反撃を、報復を、復讐を!神器の要求に応えるかのように決闘術式を唱え続ける。神器の所持者は武器から加護として身体強化と魔力増量を得ることができる。パーシルは増量した魔力で武器強化をし、加護の力を強化する。そうすると再びの魔力増量が起き、さらにその魔力で決闘術式を行う。そしてまた増強された魔力で決闘術式を行い加護を強化し……これを無限に行うことができる。自己限定の永久機関、これこそが彼の強さの正体である。銃弾の雨を耐え、音速で走ることができたのはこの無限の強化が理由だ。


「殺す者は、我々だァァァァ!」


もはや敗北者となったスレッジハンマーは叫ぶが、英雄の肉体はその声よりも速い!冷静にさらなる神器を抜き放ち、壁に型ができるほど叩きつけられたスレッジハンマーにまた詰め寄る。そして右手を雷霆剣ケラウヌス、両膝を金銀双斧(きんぎんそうふ)、神器の追撃で貫き縫い留める。


「いいや、もう違う」


身動きの取れない哀れな魔銃に、最後の一刀を抜き放つ。その剣こそ彼の相棒、ソウルティア。長き英雄の旅を最初から支え続けてきた、神器ならざる直剣にして、そこに至るまで強化された、最も新しき神器。その刀身が、スレッジハンマーの首に沈み込む。


「千ィ切ィれェろォ……!」


両腕に満身の力を込め、呪いにより錆び付きつつあるスレッジハンマーの肌をじわじわと引き裂く。そして、


「ハアアア!」


振り抜く。もってその剣は断頭を成す。


「人は裏切るぞ」


刎ねられた首が遺言を放った。


「殺されるよりマシだ」


その返答を最後に神殿を静謐が包む。転がる首がひどく不気味だけれど。おめでとう、英雄譚はここに完成した。


「やった……!」

「もう、神経がモタナイ」

「作戦完了」


3人はそれぞれの反応を見せる。あとは神殿の外で足どめをしてくれていた15人の仲間の無事だけだが……。


「みなさーん!」


伝令兵ルーカスの低く快活な声と階段を走る足音が響く。


「こちらは全員無事です!スレッジハンマーの銃弾生成能力と遠隔供給が失われた魔銃は弾切れに気付かず撃ち尽くし無力化!現在は撤退するやつらの殲滅戦に移行しています!」


予想できる中で最高の知らせだった。

リアは満面の笑みをパーシルに向けて言う。


「変わるんだよね、これで全部!」

「ああ、長い消耗戦だった。」


パーシルはそれに首肯した。

コメントください。

ここではRPG風に出てきたキャラのステータスを出していきたいと思います。まあフレーバーです。神器回収の冒険、死地奪還、仲間集めも過去編でやりますがスレッジハンマーには死んでもらった。

私がやりたいのが英雄の戦後なので。すまない。


軍服の拳闘士エライザ レベル64

衝撃術式 王血持ち

膂力B

魔力C

敏捷B

頑丈C

精神抵抗A


参謀のカイウス・ローグ レベル77

思考術式 王血持ち

膂力C

魔力A

速さB

頑丈D

精神抵抗B


危険水域リア・エーデンクロイツ レベル99

元素術式・水

膂力E

魔力 人間の限界

速さD

頑丈D

精神抵抗A


神器の回収者にして英雄 パーシル レベル99+99+99+99+99+99+99

決闘術式

膂力 巨人

魔力 神話級

速さ 音速

頑丈 鉄壁+再生

精神抵抗C

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