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6話

 ある日の放課後。春樹は学校から出ようと、下駄箱で靴を履き替えていた。


「じゃあな、春樹」

「うん、また」

「じゃあね、春樹君」

「うん、またね」


 次から次へとクラスメイトが春樹に挨拶をして帰っていく。春樹は恋愛相談所での経験を活かして学生生活を送っていたおかげで、男女問わずクラスメイトから話しかけられるようになって、本人の知らないところで、陽キャラにランクインしていたのだった。


「春樹君」


 通学路の並木道を歩いていると、後ろから亜由美が声を掛ける。春樹は後ろを振り向くと、素っ気なく「なに?」


「ちょっと二人だけで話したい事があるんだけど……時間良いかな?」


 妙にモジモジとしている。春樹は自分を振った時の態度は何処に行った? と言わんばかりに冷たい表情で見つめていた。


「少しだけなら」

「分かった、直ぐに終わらせる。ここだと帰る人が居るから体育館裏に行こ」

「分かった」


 亜由美が先を歩き、春樹は後ろを歩く――体育館裏に到着すると、亜由美は誰も居ない事を確認しているのか、キョロキョロと辺りを見渡した。


「大丈夫そうね」

「で、話って何?」

「えっと……前に春樹君。私に告白してくれたじゃない? あれから色々と考えたの。あの時はその……振っちゃったけど、悩んだら本当の気持ちに気付いて。自分勝手かもしれないけど、もう一度チャンスを下さい!」


 春樹はここ最近、亜由美が話しかけてくることに対して疑問を抱いているようだった。この告白でそれを察したようで「あぁ……」と、呟く。


 春樹は返事に迷っているのか黙り込む──少しして強張った表情で口を開くと「今さらチャンスを下さいなんて言ったって遅いだろ。俺はもうお前の本性を知っている」


 亜由美は眉を顰めて「え、本性?」


「お前は俺の彼女になって、自分は優れている人間だと周りにアピールしたいだけだろ?俺が告白した時もそうだ。自分が告白される程、良い女なのよ~アピールをしたくて言いふらしたんだろ? そんな女と付き合う訳ないだろが!!」


 春樹は今までの経験で勇気を得たのか、ハッキリと自分の気持ちを口にする。亜由美はそれを聞いて眉を吊り上げ「酷っ!! どうしてそんなこと言うの!?」と、怒鳴った。


「教えてやろうか? 俺、色々の人と関わってるから情報が入ってくるんだよね。だからお前がそう言っていた事も、とっくに知ってる」


 亜由美は言い返せないようでギリッと奥歯を噛みしめる。そして「もういいッ!! あんたなんか知らないッ!!!」と、言い残し、何も聞かずにその場を去っていった。


 春樹はスッキリした表情でその様子を見送り、ニヤッと微笑むと「ザマァ……」と呟いた。


 ※※※


 次の日の朝。亜由美は余程、悔しかったようで昨日の出来事をクラスメイトに言いふらしていた。春樹は教室に入ろうとした時、それに気づき、慌てて駆け寄ろうとした所を、後ろから恵に腕を掴まれ、「待って!」と、止められる。


 春樹は驚いた表情で後ろを振り向き「恵さん! どうして止めるの?」


「あなたが行ったら余計に揉めちゃうでしょ? それにみて」と、恵は言って亜由美の方を指さす。


 春樹が顔を向けると、亜由美の後ろから、遊びに来ていた宏が近づいていた。


「亜由美さん、だっけ?」と、宏が声を掛けると、亜由美は後ろを振り向き「そうだけど、何ですか?」と、素っ気なく返事をした。

「さっきから言いふらしている話だけどさ。確かに春樹の言い方はまずかったと思うよ? でもあんたの噂を聞いてるとさ、元はあんたが悪いんじゃねぇ? って思う」


 春樹はそれを聞いて、色々な感情が入り混じっているのか、口を開けたまま動かなかった。


「なによ! 噂しか知らない癖に話しかけないでくれる?」

「確かに噂しか知らないけど、周りの顔を見てれば、皆そう思ってるって分かるんじゃねぇ?」


 亜由美はキョロキョロと辺りを見渡す。確かに宏の言う通り、周りは冷たい眼差しで亜由美を見たり、無視するかのように顔を背けていた。亜由美はそれに耐え切れなくなったのか、奥歯を噛みしめると、逃げるように教室から出て行った──。


 恵は春樹の肩を優しくポンポンと叩く。春樹が恵の方に顔を向けると、恵はニコッと微笑んだ。


「気にしない、気にしない」

「ありがとう」

「でも感情的になってしまったのは分かるけど、言い方だけは気をつけようね」

「あ……うん。そうする」と、春樹は言って俯き、素直に反省しているようだった。


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