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【俺と同じ匂いのする地味な女の子に話しかけたら、俺を掌で転がすぐらいに可愛くなりました】2話

 それから数日が経ったある日の朝。ワタルは昼食を買うためコンビニに入った。すると明恵を見つけ近づくと「おはよう」と挨拶をした。


 明恵はワタルの方に顔を向けるとニコッと微笑み「おはよう」と返した。


「今日のお昼を買いに来たの?」

「うん」

「あ、そうだ! この前の御礼に何か買ってあげる。何が良い?」

「え、良いよ」

「遠慮しないで」

「じゃあ──」と、ワタルは言って、辺りを見渡す。


「チョココロネで良い?」

「いいよ~」と、明恵は返事をして、パンの棚からチョココロネを手に取る。そのあと明恵は、もう食べるものを決めていたようで、カゴも持たずに、おにぎりとお茶を選び、すぐにレジに向かおうとした。


「甘いものは良いの?」

「甘いものは好きだけど……太るでしょ」と明恵が苦笑いを浮かべる。


「あぁ……気にしなくても大丈夫そうなのに」

「ありがとう。ところでワタル君は甘いものが好きなの?」

「うん、割と好きな方」

「へぇー、そうなんだ」と、明恵は言ってワタルを見つめる。


「どうかした?」

「うぅん、何でもない。買い終わったら一緒に学校に行こうね」


 明恵の誘いにワタルは恥ずかしそうに頬を掻きながら「う、うん」と、返事をしていた。


 ※※※


 更に数週間が流れるが、玲奈は明恵に何かしてくる気配は全くなかった。明恵はあれから不安から解消されたからか、少しずつクラスメイトに馴染み始め、普段の自分を曝け出せるようになってきていた。


 そんなある日の体育の授業。「バスケット、苦手なのよね」と、愚痴を零しながらシュート練習をしている明恵の足元に、ボールが1個、転がってくる。


「アッキー。ボール取ってくれ」


 クラスメイトの男子が近づきながらそう言うと、明恵はボールを手に取り、「はい」と、男の子に向かってパスをした。男の子は「サンキュー」と言いながら受け取り、シュート練習へと戻っていく。


「あぁ、カッコいいな直人なおひと君」と、無防備に明恵が呟くと、ワタルは後ろから「──好きなのか?」


 明恵は突然、声を掛けられ驚いたようで明後日の方向にボールを飛ばす。


「もう変な事を言うから外しちゃったじゃん!」と、明恵は文句を言いながら歩き出し「好きっていうか……憧れているって感じなのかな? どう考えても私じゃ無理だもん」

「何で? そんなことやってみないと分からないじゃないか」

「分かるよ……」


 悲しげにそういった明恵から、自分に自信が持てていない事を感じ取ったのか、ワタルは「なぁ、明恵。思い切ってイメチェンしてみないか? お前は自分が思っているよりダメなんかじゃないって、きっと分かるよ」


 明恵はバスケットボールを手に取ると「イメチェンか……ちょっと怖いかな」


「怖い? ──あぁ、調子に乗っているって、言われたりするのが怖いのか?」

「うん」

「大丈夫だよ。そんなことになっても調整すれば良いんだし、いろいろと相談に乗るから」

「そこまで言うなら……ちょっと変わってみようかな?」

「そうそう、その意気!」

「今度の休み、付き合ってね」

「えっ」


 ワタルは明恵の返答が意外だったようで目を丸くして驚く。明恵は笑顔を浮かべると「えっ、って言い出しっぺ何だから、責任取ってよね!」


「あ、うん」

「じゃあ、9時にショッピングモールにある美容院で待ち合わせね」

「分かった」


 ※※※


 日曜日になり、ワタルは待ち合わせ場所の美容院へと向かった──。

「おはよう」

「おはよう」



 二人はカジュアルの服装だが、アクセサリーを身に着け、いつもよりお洒落に気を遣った服装をしていた。


「待たせちゃったね」

「うぅん、大丈夫。私もいま来たところだから」

「良かった。今日はどんな髪型にするの?」


 明恵は人差し指を唇に当てると「んー、ショートボブにパーマをかけてみようかと」


「おぉ、良いね。イメージがガラッと変わりそうだ。色はどうするんだ? やっぱり茶髪?」

「今回はやめておく。あなたが付いていてくれるけど、やっぱりそこまでは不安で」

「分かった。無理せず行こう」

「うん。ごめん、私パーマを掛けるのが初めてで知らなかったんだけど、結構時間が掛かるみたいで、その辺で時間を潰していて貰ってい良いかな? 終わったらメールするね」

「了解」


 ──数時間後、ワタルはメールを受け取ると、直ぐに美容院へと向かった──明恵はワタルを見つけると、照れくさそうに頬を赤く染め、髪を撫でると「待たせちゃって、ごめんね」


「いや、大丈夫……」とワタルは答え、見惚れる様に黙って明恵を見つめる。明恵は俯き加減で「どうかな?」


 ワタルも恥ずかしそうに頬を赤く染め、髪を撫でながら「可愛い……と思う」


「ふふ……ありがとう!」

「えっと……次はどうするの?」

「コンタクトはもう買ってあるから、化粧品を見に行きたい」

「分かった」


 二人はこうして会話を楽しみながら用事を済ませていった。


 ※※※


 明恵は家に帰ると部屋に戻り、買い物袋を机に置いた。


「さて、試しにお化粧とかしてみましょうかね」


 明恵はそう言いながら椅子に座り、準備を始めた──それから数時間が経ち、明恵は手鏡を机に置く。


「よし、完成!」


 女性の凄いと思う所はこういう所だ。まるで別人のような明恵が出来上がる。明恵は口元をゆるませ「彼、どんな反応するかな」と呟いた。


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