表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/50

【飼い猫が運んでくれたもの】3話

 次の日の朝を迎え、翼はニャータが居ない事に気づき外に出た。


「まさか事故に遭ったりしてないよな……こんな心配するなら無理矢理にでも連れて帰れば良かった」


 翼は心配そうな表情を浮かべ、キョロキョロと辺りを見渡しながら歩き出す。するとポニーテールの女の子が、しゃがみ込んで何かをやっているのを見かけた。


「あれ、夏海さんだよな? 道路の端で何をやっているんだろ?」と、翼は呟き、ゆっくり近づく。


「ねぇ、かいかいしてないでさぁ、そのリボンを頂戴よ」


 翼は斜め後ろから、夏海が誰と話しているのか確認する――夏海の前に居るのは、ニャータだった。


「ねぇったらー。このリボンと交換しようよ」と、夏海は言って、緑のリボンをヒラヒラさせる。

 ニャータは目の前にヒラヒラされて、遊んでもらえると思ったようで飛び付き出した。


「ちょっと、大事のリボンが破けちゃうから止めて~」

「ふ……」


 夏海とニャータのやり取りが微笑ましかったようで、翼は笑みを零す──そして夏海の後ろに立つと「夏海さん」と、声を掛けた。


「うわぁ!」


 夏海はビクッと体を震わせ、翼の方へ振り向く。ニャータは夏海の声にビックリして逃げていってしまった。


「おはよ」

「おはよう……ちょっとビックリさせないでよ」

「ごめん。ところで、そんな所で何をやってたの?」


 夏海は翼から目をそらすと、手グシで髪を整え「え……えっと……見たこと無い可愛いニャンコが居たから遊んでた」


「へぇ……見たこと無いね。ジョギングの途中で捕まえてくれた時もあったのに?」

「えっと……そうだっけ?」

「うん」


 翼はそう言ってしゃがみ込むと、遠くから様子を見ているニャータに向かって、おいでおいでをする。ニャータは空気を読んだのか少しずつ近づいてきた――。


「俺さ。昨日、本当は君に伝えたいことがあったんだ」と、翼は言って、足に擦り寄っているニャータから、リボンを外し始める。


 そしてリボンを外し終わると右手に握り、スッと立ち上がると「でも臆病風に吹かれて、諦めてしまった」


「だけど、さっき夏海さんがニャータと戯れているのをみて、やっぱり可愛い、諦める事なんて出来ないって思って、ダメでもいいから伝えたいと思った」


 翼はリボンを握っている右手を差し出すと、「朝、ジョギングをしている所を初めて見かけた時から、ずっと君の事が好きでした。だから……俺とリボン交換をしてください!」


 夏海はスッと立ち上がり、真っ赤な顔をしながら笑窪を浮かべる。


「私も……私も朝、何だかんだ言いつつ優しそうにニャータを抱きしめるあなたをみて、ずっと惹かれていました。私ので良ければ貰ってください」


 夏海はそう言って翼のリボンを受け取り、自分のリボンを差し出す。翼は嬉しそうな表情を浮かべ、左手で受け取ると「大事にするね!」


「うん、私も」


 幸せそうに見つめ合う二人。ニャータはそんな二人を見ながらアクビをすると、役目を果たしたかのように、歩いて行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ