惨劇
ランテルムを襲う魔人騎士団。その集団の団長らしき男は、ランテルム騎士団や冒険者達を無造作に魔刃で切り伏せていく。
剣を振るうだけで、魔力の刃が飛ぶ。遮る鎧も盾も無視し、剣で受けることすら許さず、その生命を切り刻む。
何の労も要らず、ひたすら自分の思うままに、憎い騎士や冒険者を殺す。
殺す殺す殺す殺す殺殺コロコロコロコロ……
このような力をくれた混沌の渦とその支配者に感謝の気持ちを抱きながら周囲に殺意を振り撒くその存在は、その時のことを思い出す。
あの日、絶望した自分を乗せた馬車はゴブリン共に襲われ、自分は鉱山送りから逃げ出すことが出来た。その森の奥で出会った混沌の渦により自分は生まれ変わったのだ。
生まれ変わったことは理解しているが、元の自分が誰であったのかは覚えていない。覚えているのは、只々騎士団が憎いこと。生意気なメスガキ冒険者が憎いこと。ランテルムに復讐がしたいこと。
デーモン・ロードであるその存在は、混沌の渦の支配者に好きに生きよと言われた。だから、好きに生きる。好きなように暴れる。
ランテルムを壊滅させて騎士団と冒険者を根絶やしにすることしか考えられない。
先程はなにやら生意気な氷の魔剣を使う冒険者も魔刃で容易く始末したし、最早この場に我に敵うものなど居ないであろう。
ジェコス・ゴリデスであったデーモン・ロードは、魔人騎士団団長として殺戮の宴に歓喜の雄叫びを上げた。
アタシ達は影異相転移でランテルムに到着したのだけど、現界を影空間から見ると、凄惨な場面が制止画像で見えてしまった。魔物の死骸もあるけど、街の近くには騎士団や冒険者の屍が多い。そして、それを産み出している魔人騎士団らしき集団。
どうしよう。アタシ達には回復役が居ないんだ。今、傷つき倒れている人達を助けられない。
出来ることは、これ以上の被害を出さないよう、魔人騎士団を倒すことのみ。
アタシ達は、街を右手に見るように、戦場に出現した。
まずはユリースとミシェルの広域魔法で開幕。有象無象がアタシ達に気がつき襲い掛かるけど、アタシとアリシア、召還した黒騎士がガードだ。ナツコさんとマーニャ、ピナッチが後ろから魔法をばら蒔いて援護、スーリヤも弓で援護だ。
ユリースの魔法は、地属性で地面広範囲に穴を開けまくる、一見地味な魔法。でも、馬相手には効果は絶大だ。魔人騎士団の魔馬は次々と転倒し魔人達も地面に投げ出された。
それに対してミシェルの魔法は苛烈だ。
「ウフフフ、狼藉を働くあなた方にはこれですわ。炎斬輪!」
ミシェルの前方に、大人三人が手を広げた位の直径の、炎の輪が水平に現れる。
炎の輪は回転し始め、火の粉を撒き散らしながら腰高で飛び始めた。
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