ユリース公女
「本当にゴリデスの馬鹿者のせいで、色々と台無しになったな……私が頼めた義理ではないのだが、頼む!虹魔石をもう1個、譲ってくれないか? 金ならいくらでも出そう!」
公爵がそう言った時、どこかで物音がした。鏡の裏かな。そして、誰かの走る足音。部屋の扉がノックも無しに開け放される。
「お父様!そのような冒険者に無駄なお金を掛ける必要はございません!私なら大丈夫ですわ!」
「これ!ユリース、ノックもせずにはしたない」
さっきの金髪縦ロール娘だ。
しかし、てっきり感謝されてるのかと思ったら、敵視されてる?
「アーダンを殺したような冒険者に施しを受けるぐらいなら、私は死んだ方がマシですわ!」
ユリースはアタシを睨み付けて来る。
「なんでアタシがアーダンさんを殺した事になってるの?」
アタシが公爵に振り返ると。
「すまん……娘はアーダンの事を気に入っておった。それに、ゴリデスに近しい者もおったようだ。要らぬ知恵を付けた者がいたようだな」
はぁ、とアタシはため息をつく。つまり、あんなゴミクズがまだ居るってことか。やっぱり貴族には関わらない方が気が楽だね。
アタシは無言で、その場に影空間収納からあるものを取り出した。
騎士アーダンの残した鎧と剣、そして手帳。それから虹魔石を1個。
「アタシは冒険者ギルドで、水晶の判定を受けてから報告してるから、アタシの言うことに嘘がないことは証明されてるの。その上で、最初の虹魔石は貴方の所に来てるはず。今回来たのは、アーダンの遺品も届けたかったし、アーダンのユリース公女の病気を直してあげたいと言う気持ちを叶えてあげたいとも思ったし、公爵が謝罪したいと言う気持ちに本気を感じたから来たんだよ」
じっと相手の目を覗き込むようにアタシは言う。
「そんなアタシに、お金目当ての殺人者と貴方はアタシに言ったって事分かってる?」
アタシが怒気を込めて睨み付けると、ユリースは青ざめて怯む。
アタシは公爵に向き直り。
「ランテルム公爵家とは本当に縁がないね。虹魔石はサービスで上げる。その代わり、公爵家関係者で次にアタシに失礼な態度で近づく人が居たら、問答無用で誰だろうとブッ飛ばす!その時には、指名手配でもなんでもすれば良い!スーリヤ、行くよ!」
アタシはスーリヤに声を掛けてその場を立ち去ろうとした。その時ー
「待ってくれ!本当に申し訳ない!このとおりだ!」
公爵はアタシに先回りすると、娘の横で土下座した!




