鏡の裏
ザムトーさんとの面会を終えて、受付からスーリヤに紹介した宿の名前と場所を聞いた。
銀剣亭と言う宿だそうな。
銀剣亭について受付に話し、スーリヤが取ってくれた部屋へ。なんでダブルベッドの部屋?
「いやあ、他の部屋が空いてなくてね。仕方がないから一緒に寝よう。ね!」
スーリヤ……もしや、そう言う趣味が?
いざとなったら、影空間に待避して……いや、アタシが逃げてもスーリヤを突っ込んでも、どっちにしてもスーリヤの体感時間は一瞬だな。
外に逃げることは出来るけど、休めない……まさか、影空間にこんな欠点があるとはね……はあ、覚悟決めるか。
「変なことしたら、その口に生肉突っ込んで油流し入れて、腹の中でオイルフォンデュ作ってやるからね」
「なに、それ!怖い!オーガ流の料理なの!?」
「とりあえず、ギルマスとの話を伝えるよ。それで、後は晩御飯食べに行こう?」
こうして、アタシ達はランテルムの初日を終えるのであった。
ちなみに、スーリヤは可愛いもの好きで抱き枕好きの趣味だったよ……まあ、辛うじて変態ではなくて良かった……のかな?
翌日ー
銀剣亭には、公爵からの招待状が早速来たようだ。朝食中に宿の人から渡されたソレは、昼食に招待するので来てくれないか、との内容。
受付にまだ公爵の使いの人が待機していたので、連れと一緒なら良い、と返事をする。
こうして、アタシ達はランテルム公爵邸に向かう事になった。
ランテルム公爵邸は、都の中心にあった。行政庁を兼ねる大きな公邸で、一般人も頻繁に出入りしている。正確には、向かって左隣に私邸が隣接していて、中でも繋がっているらしい。当然、その境目では警備の騎士もいた。
アタシ達が受付に招待状を見せると、直ぐに私邸への境目を抜けて、豪華な待合室に案内された。
壁の絵画やら壺やらイメージ通りに高そうなものばかりだ。アタシはキョロキョロしてるけど、スーリヤは貴族相手が慣れているのか、余裕でソファーに腰掛けている。
壁の一部に大きな鏡があるんだけど、良くある手段だと裏から覗いてたりして。
……確かめてみるか。
影異相転移発動!
影空間から壁の裏に移動して、時間の止まった現界を見てみると。
やっぱり、いるじゃん!
引き締まった体格で精悍な細面の金の短髪イケオジと、15歳位の金髪縦ロールの気の強そうな女の子が、鏡の裏からこちらを覗き込んでいた。
もしかして、この二人がランテルム公爵とユリース公女?




