ドワーフ郷
ドワーフ郷は、あちこちで槌音が鳴り響く、賑やかな里だった。
魔獣の森を抜けた先には、大地に巨大な穴が空いていて、その大穴の内壁にネジ溝のように螺旋状の道が這っている。
壁を掘り込んだ住居形式となっているほか、穴の空洞部には無数の大型クレーンのようなものが上空を塞いでおり、それらにぶら下がっているのはエレベーター代わりのゴンドラらしい。
今も、内部を下に掘り進みながら、鉱石を発掘したり鍛治精錬で加工したり。あちこちに鍛治炉があり、穴の周囲からは常にもくもくと煙が出てる。
鍛治炉の排熱は地下水から引っ張ったパイプを通して銭湯とか暖房に利用されているんだとか。
お酒の醸造施設もあって、ここでは蒸留酒(ウイスキーかな?)とエール酒が主流らしいよ。
カントスで飲んだソーダ水もドワーフ郷の特産らしいけど、これは地下から炭酸水の湧く泉があるんだそうな。
これに蒸留施設で作った、フレーバーのあるシロップを合わせているらしい。
アタシ達は、ギルビンさんの自宅兼研究室兼鍛治屋、つまりベゼリーの実家に泊まらせてもらう事になり、到着した時間が夕方だったことから、そのまま、ドワーフ郷の食堂へ。
さて、ドワーフ達の食事はどんなものかと言うと。
炙り肉の串焼きはドワーフの好物なんだね。図らずとも、アタシが野営の時にベゼリーに作ってあげた奴だ。
猪肉の腸詰めは、まさにソーセージ!
ドワーブン・ポテトは、ベーコンや玉ねぎと一緒にした、所謂ジャーマンポテト!
その他、オリーブやアスパラのピクルスみたいに、野菜は酢漬けが多い。
ツマミ的に、チーズがある。どこかでチーズを作っている?
カントスではバターを買ったけど、これは、製法か入手方法を知りたいなあ。
リデル村では牛乳のみでバターとチーズが無かったんだよね。
一番ビックリしたのは、彼らの主食。
シュニルと言う、太くて短めの麺!
パスタに近いけど、味的に卵麺が近い。冷たい主食は日持ちのする、ライ麦系のハードパンなんだけど、暖かい主食はシュニルに色んな味付けで食べるんだそうな。
ギルビンさんとベゼリーはエール酒、アタシはソーダ水を堪能。ああ、こうなると、コーラ、この世界で飲めないかなぁ。
そして、デザートが来ましたよ。
アップルジャムと生クリームを添えて、どうみてもワッフルワッフル!
ワッフル用の金型がどこかに売ってるとみた。買わなければ!
これ、食べてみると甘くて美味しい。美味しいんだけど、こっそりアイスクリーム乗っけたらもっと美味しいはず……
「あっ、ペネロッテ、オレにも!」
ベゼリーが騒ぎ、ギルビンさんも気づく。
「それはなんじゃ?」
「アイスクリームって言う、冷たいデザートだよ。今、リデル村で開発中なの」
ギルビンさんにもお裾分け。さて、反応は?
「うーまーいーぞーー!」
どっかのグルメキングの如く、ギルビンさんが吠えた。




