ジェコスの顛末
ランテレム公爵領、公都ランテレム。
ペネロッテに敗れ、ボロボロの状態で帰還したジェコス・ゴリデスは、上司であるランテレム公爵に報告に訪れていた。
屋敷に居るメイドや守衛担当の同輩騎士達が居たが、ジェコスは、自分が帰還した際の周囲の雰囲気に気がついていなかった。
公爵にお目通りを願い、慇懃に執事から案内されたジェコスは、公爵の執務室に公爵本人の他、数人の騎士が両脇を固めている事に違和感を持つ。とは言え、それどころではない。憎きあの小娘に思い知らせてやらなければ!
ペネロッテ護衛どころか、報償金目当ての詐欺師で、アーダン殺害の疑いと、自分にも刃向かって逃走したペネロッテを指名手配して欲しいとジェコスは上申したが。
ランテレム公爵は、無表情につかつかとジェコスに歩み寄る。
と、無動作から急襲してその顔面を殴打。
痛みだけではない、その行為に驚いてジェコスが見上げると、ランテルム公爵は憤怒の表情で睨み付けてくる。
「この大馬鹿者がっ!ユリースの恩人に対して貴様は何と言うことをしたのだ!この件は冒険者ギルドからも厳重な抗議が来ておる!」
思わず反論するジェコス。
「冒険者ギルドなど、平民のならず者組織ではないですか!私よりあやつらの申すことを信じなさるのですか?!」
「ギルドマスターは独立権限を持ち王国への査察権を持つと言うことも知らんのか!この件は既に陛下の耳にも入っておるのだ!」
ジェコスの顔色が悪くなる。貴族としての傲慢さがゆえ、これまで信じたくないものは、聞き流していたのであろう。
「ましてや、ユリースの完治のためには、虹魔石一つでは足りなかったのだ。なんとかもう一つの調達を依頼しようと考えておった!それを貴様は台無しにしたのだ!」
ランテレム公爵のその言葉に、最早ジェコスは何も言えない。自分のしでかした事に、自分の罪に、身体が震えを感じ始める。
「貴様の騎士資格を剥奪する。また、ゴリデス家の男爵位は陛下によって剥奪が認められた。ゴリデス家資産は全て没収され、貴様は鉱山労働の刑が決まっておる。二度とワシの前に姿を見せるな!」
「そ、そんな、嫌だぁ!」
他の騎士に両腕を捉えられ、ジェコスは強制退出させられる。やがて、囚人護送馬車に乗せられたジェコスは、泣きわめきながら、連れていかれるのであった。
ランテレム公爵の思考は既に別の事だ。
今回の件で冒険者ギルドは次の虹魔石探索の依頼を受けてくれない。
配下の者をリデル村に探索に向かわせる事、同時にペネロッテを探し出す事。
場合によっては、自らペネロッテへ謝罪することも含めて、ユリースの完治のために、ランテレム公爵は手配を進めるのであった。




