乳湯?入湯!
アタシも思いきって全裸になる。ん? いつもだって? いつも不可抗力だけど、今回は温泉だ、問題はない。
アタシ達は備え付けの手桶でお湯を被り、温泉にいざ!
「「うああ~~っ……」」
2人とも思わず声が、出るよねぇ~。
熱すぎず温すぎず丁度良いね!染みる~~。
しばしお湯を堪能。マーニャもチャプチャプ浮かんで気持ち良さそうだ。まるでお風呂の黄色いアヒルのおもちゃみたい。ナツコさんは?
「魚はお湯入れねーよ!知ってるか? アタシ達はお湯入ったら内臓破裂すんの!」
なにそれ、怖いグロい!ってか、どうやってそうなること知ったんだろ?
とりま、それはともかくナツコさんがフリーなら。
「じゃあ、申し訳ないけど、モンスター来ないか見張りよろしく~」
「あ、ここは特殊な魔法具の仕掛けがあってさ、野性動物も魔物も、本当に温泉に浸かる気持ちじゃないと入ってこれないらしい」
そんな便利な魔法具あるの!?
「一種の誓約系の魔法らしいね」
ほえ~、なるほどねぇ。それでは気を抜いてゆっくり浸かっててもいいんだ。
「まあ、そうなんだけど、ここ、混浴だから、他の人が来ることも」
ベゼリーの言葉はフラグだったのか、湯気の向こうから誰かが近づく足音が聞こえてきた。
「お、先客いたか、珍しいな」
オッサンの声だよ……まぁ、アタシの貧相な身体に興味持つ奴は早々いないと思うけど、ベゼリーはねぇ。
湯気が晴れた向こうに見えたのは、髭もじゃのドワーフ男性だったけど。
「お、おやじ!?」
なんとまぁ、ベゼリーのお父さんだった。
ベゼリーのお父さんはギルビンさん。ドワーフ郷の腕利き鍛治師で冒険者でもあると言う。今日は、日頃の鍛治仕事の疲れを癒しがてら、獲物を狩に来たらしい。
ギルビンさんはアタシ達を気にすることなく、その場で脱ぎ初めて、温泉に入ってきた。
「まさか、ここで親父に会うとはなあ。でも、丁度良かった。鍛治の協力を頼もうと思ってたんだ」
ベゼリーの言葉にギルビンさんは眉根を寄せる。
「お前が?一人前になったんじゃなかったのか?」
「扱うのは合金2種類なんだよ。そのうちの一つは、ガルダム鉱石だ」
なるほどな、とギルビンさんは合点が言ったようだ。
「ガルダムなら俺の研究分野だからな。それでもう一つは?」
「鉄とクロムとニッケルの配合で、錆びない軽めの合金が出来るんだとさ。ペネロッテのリクエストでね」
ギルビンさんは、アタシを見る。
「ベゼリーが世話になっとるようだの。それで、お前さんはその合金に詳しいのか?」
「いやぁ、アタシも聞いただけなんで。ただ、上手くいくと、料理道具に丁度良い金属になるらしいんです。ステンレスって名前らしくて」
「ふむ、ならばどこかには既に開発成功したものがある訳だ。後追いってのは気に食わないが、それでも面白そうだ。やってみるか」
こうして、アタシ達はギルビンさんの協力が得られる事になった。
お風呂上がりの裸を見た、見てないで、ベゼリーとギルビンさんの親子喧嘩が始まったのはとりま、置いておくけど。




