もっと早く聞いておくべきだった
村の人達も解散して、アタシはエデンさんと二人で夕食を食べていた。
アイスクリームはあくまでもオヤツ、別腹なんですよ。
今回は、アタシ提供の熊の手の煮込みがメイン。手は二個しかないから、アタシとエデンさんでこっそり山分けのご馳走だ。村の皆さんにも内緒だそうな。
アタシはリデル村の滞在を2日で終えて、明日からはランテルム公爵領を目指し、まずは隣の街カントスに向かう事とした。カントスとその隣ソトーゲまでは、モルドバー伯爵領らしい。ちなみに、今更ながら、この国はアーティザン王国と言うんだそうだ。
そうだ、エデンさんに聞くのを忘れてた!
「エデンさん、アーダン・ドルアンテって言う騎士がこの村に来なかった?」
エデンさんが表情を変える。
「おう、3週間位前に来たぞ。極楽鳥を連れていることと言い、ランテルム公爵領に向かう事と言い、やはり何か関係があるのか?」
アタシは、アーダンが死んでいた事と遺品の手帳、鎧を見せて、彼の意思を継ぎ、虹魔石を届ける事が当面の目的だと話した。
頭を抱えるエデンさん。
「それを早く言えよぉ!」
えっ!?
「さっき話した通り、重要物品は、ギルド間で送ることが出来るんだよ!治療に必要なものなら尚更だ!虹魔石をまずは送るのが最適だ!」
そうか……わざわざ持って行かなくとも、方法があるんだ。あれ、そうすると、アタシの旅はいきなり終わり?
「取り敢えず明日の出発は中止だ。先方とギルド経由で連絡を取らなければならん。虹魔石を見せてくれるか?」
アタシは収納から虹魔石を取り出した。全部で4個。
「4個もあるのかよ!騎士も冒険者も血眼になって探してた奴が!」
そう言われましてもねえ。アタシ、何も悪いことしてないのに。なんだか泣けてきた。
「す、すまん、責めるつもりじゃなかったんだ。なんと言うか、運命の理不尽さに、つい、な」
うん、それは判ってるけど、ね。
「とにかく、今日はゆっくり休んでくれ。それから、虹魔石は一個で報告しておく。残りはしまってくれ」
アタシは、落ち込んだ気分でそのまま部屋に戻る。
「そもそも、長旅のつもりだったからねえ。一刻を争う速さにはどうしてもならないと思ってたし、アナタに罪は無いわよ」
ナツコさんは慰めてくれるけど。
「昨日の時点でエデンさんに話しておけば、1日は早くなったと思うとね……」
この1日でユリース令嬢の容態が悪化してなければ良いけど。
とは言え、ナツコさんの言うとおり、最初は何日掛かるかも分からなかったんだし。仕方ないかなあ?
アタシはそんな風に愚痴りながら、寝落ちした。




