午後四時/スケッチ
不意にあらわれる水平線を
求めたりしていた午後四時
雨上がりのアスファルトに
冬の西日が射す
好きでもなく嫌いでもない日常に
灰色の雲はかかる
薄れたり
厚く重なったりしながら
踏み出すごとに
罠のような水たまりと
こぼれた光
ときどき泣きたくなること
ぽろぽろと胸が
あわい理由でいっぱいになること
ないしょ話のように
伝えてみたい
たくさんの約束を交わして
熱くもなく冷たくもない優しさに
傷ついたりしている午後四時
嘘ばかりついてきたくちびるが
ひび割れたから
そっと塗り込むリップクリーム
メントールに風は吸い付く
無性に会いたいこと
だけど
さみしさにおわりがないこと
どこかで知っていた
ポケットの中に忍ばせた
潮騒を聞きながら