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尾行作戦


(集合時間10分前。よし、予定通りだな)


友哉は集合場所についてすぐスマホで時間を確認し、ほっと息をついた。


予定時間10分前の9時50分。友哉は約束厳守の華が5分前に来ると見ていた。なのでそれより先に来ることに成功し、胸を撫でおろした。



「おーい!」


そして華も予定通りであり予想通りの5分前に到着した。


「ごめん。待った?」


「全然待ってないよ。てか謝ることじゃないだろ。時間余裕で間に合ってるんだし」


そこまで言ったところで華の方に視線を向けた友哉は、つい言葉を失ってしまう。


「・・・っ!」


「どうしたの?」


(これがオフの華か。なんかすごいな)


心の中でも語彙力がなくなるほど、その姿は驚きだった。


学校ではみんなに優しく振る舞い、元気ハツラツなスポーティなイメージがあった。


だが今友哉の目の前にいる華は違った。


『可愛く』て『美人』。その表現がとても正しく、『美少女』という枠にハマらないほどの女の子がそこにいた。


「可愛い…」


つい心の声が漏れてしまい、それは華の耳まで届いた。


「えっ?そ、そうかな。ありがとう」


「うん。…じゃ、行こうか」


「うん・・・」


お互いに照れながら、2人はショッピングモールに入った。




ーーーーーーーーーー




「待たせるなんて!あの先輩何やってんの?」


「友菜ちゃん仕方ないよ…。まだ集合時間10分前だよ?」


友哉が待っている位置から10数メートル。友菜と奏音は友哉より先に家を出て30分前から準備をしていた。


「うぐぐ、そうだけど…」


「そうだよ。あっ、来たよ。ほらあっち」


奏音の指差す先、100メートルと少しの所に華を見つけた。


実は華はほぼ同じ時間に到着していて、友哉を探すのに時間がかかって待たせていたのだった。


「あー違う!そっちじゃない!」


それをどちらも視認出来る位置にいる2人(特に友菜)は華の行動を見てとてもじれったく思っていた。


「そう、そっちそっち!よーし、やっと出会った・・・ってなんで応援してるの!?」


興奮していた友菜は、自分の言葉と気持ちの矛盾に気が付き、自分自身でツッコみ、奏音はそれを傍から見てくすくすと笑った。




ーーーーーーーーーー




「映画?」


ショッピングモールの中に入り、その辺のベンチに座ったところで、友哉は華から今日の予定を聞いた。


「うん。今人気の恋愛映画。ちょうどいい機会だし見たいなって…。どうかな?」


「もちろんいいよ。俺も気になってたし」


特に断る理由もなかったので、友哉はその提案を快く飲んだ。


「だけど今から見るには時間が微妙だよな。何かほかにしたいことないか?」


すると華はうーんと少し悩み


「服みたいかなー。でもそれじゃ友哉くんがつまらないよね」


「俺は気にするな。友菜と奏音の買い物で待つのは慣れてるし」


「そう?じゃあ服見に行こ!」


そう言って2人は服屋のはしごを始めた。




ーーーーーーーーーー




「結局服を見に行くみたいだね」


友哉たちの座っていた所の裏のベンチに座っていた友菜と奏音は2人が行ったのを確認して話を始めた。


「また私のしたことが裏目に出るなんて…」


冷静な奏音と違い、友菜は苦しい顔をしていた。


実際、友菜と奏音が買い物に付き合わせる前までは友哉は女子の服選びを待つのが苦手だった。


それはそうで、男はその間何もすることがない。ただ、2人に連れ回されて、試着を見て感想を言っていくうちに慣れてしまっていた。


友菜は当時慣れたことを嬉しがっていたが、こんな所で裏目に出るとは思ってもいなかった。


「これは仕方がないよ。ほら、見失わないうちに追いかけよう」


何故か乗ってきた奏音に腕を引かれ、友菜は落ち込みつつも尾行を続けた。



「あっ、そう言えば映画見るって言ってたよね」


「っ!そうだ映画!確か見るのは・・・」


「今人気の恋愛映画、だね」


友菜の代わりに奏音が答え、また友菜の元気がなくなる。


「どうしたの?」


「その映画の内容、知ってる?」


「ううん。全く知らないけど…。内容になにか問題が?」


すると友菜は元気の無い声であらすじを述べた。


「どの作品にもさ、恋愛が成就しない女友達キャラがいるじゃない?」


「うん。そうだね」


「この映画って、そのキャラが恋愛成就するのよ」


「へぇー。でも、それとこれとどう関係あるの?」


すると友菜が急に声を荒げる。


「関係大アリだよ。この作品の伝えたいメッセージが、『近くの異性の好意に気がついてあげて』なんだよ」


それを聞いた奏音は頭にはてなを浮かべ、質問する。


「ん?それってチャンスじゃないの?」


「チャンス?どういう事?」


「私たちも近くの異性だよ。この作品の言う好意が『恋愛対象として見ていなかった異性の好意』だった場合、それには私たちも含まれるでしょ?」


奏音の説明に友菜の顔色がどんどん良くなっていく。


「なるほど!!あっちの好意に気づく可能性と同じくらいこっちにも可能性があるのね!」


「そーいうこと。だから神島先輩は悪手だったかも」


「何あっち応援してるのよ。奏音も好きなんでしょ?」


「!?・・・私はそんなこと」


(いやいやそんなに照れながら言われても)


友菜は口に出して言おうとしたが、話が長くなりそうだったので心のなかで止めておいた。


「とりあえず、映画みるのは昼ご飯食べてからだろうし、それまで私たちも服屋に行きましょ」


そう言って、『友哉尾行作戦』は一時休止し、それぞれ買い物をすることになった。





最後まで読んでいただきありがとうございます!

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