昼休みに争い勃発
リアルが忙しく、投稿ペース遅めです。
入学式の次の日、友哉は今日から登校と下校時間が同じになる2人の妹と共に家を出た。
下駄箱で2人と別れ教室に入り、自分の席に座るなり、一人の女の子が友哉に話しかける。
「ねぇ、昨日可愛い女の子と一緒に帰ったんでしょ?噂になってるよ」
くししとイタズラな笑みを浮かべているその女の子の名は神島華。
隆二と同じく1年からの付き合いで、親しく接してくれる友達だが、友哉には1つ疑問があった。
(なぜ俺と仲良くしてくれるんだろう)
こんななんの取り柄もない俺と・・・と、常に自己評価を低くしている友哉にとって、彼女の友哉に対しての態度は不思議でしかなかった。
「噂になってるのか?まじかよ、ただの妹なのに」
友哉ががっくりとして返事をする。
「へぇー、妹。初めて聞いたなぁ。会ってみたい」
「昨日の隆二と同じこと言ってんな。お前ら似た者同士だな」
「これが普通じゃないの?気になるじゃない」
友哉の軽いいじりもスルーし、話を続ける。
「まぁそうなんかな。でも今日中に会えるよ、絶対」
「なんで言い切れるのさ。また放課後来るとか?」
「いや、多分昼休みに来る」
友哉は朝、奏音が「昼空いてるか」と聞いてきたことを華に話した。
「ほんとに好かれてるし、好きなんだね」
それに続けて友哉に聞こえないように言った「いいなぁ」の声は聞こえるはずもなく、友哉は少し照れながら答える。
「まぁ、な」
キーンコーンカーンコーンーーー
「よっしゃー!昼休みだ!」
4限目終了のチャイムが鳴り響たのと同時、大きくガッツポーズして喜んだ隆二を見て笑いが起こる。
「友哉!昼食おうぜ!」
そのテンションのまま昼に誘うが、友哉は首を左右に振った。
「すまんな、今日は・・・」
そこまで言ったところで友哉は言葉を切り教室の入口へ目線を向ける。
「・・・なるほど。行ってらっしゃい」
入口に立っていた2人をみて隆二も察したのか、諦めて窓際で集まっているグループの元へ向かった。
1人になった友哉は、弁当をバックから出して奏音と友菜の元へ歩いた。
そして友哉が去った後、それを見ていたクラスメイトの間で一つの説が浮上した。
『如月友哉、シスコン説』
これを友哉が知るのは、かなり後になる。
ーーーーーーーーーー
友哉は2人を連れ、外の階段下の日陰に来ていた。
「ここいいだろ?人こないし、オススメなんだ」
ここは教室前の廊下の端にある外の階段を降りた所にある。
外からはバッチリ見えるが、この時間に外にいる人はいないので、見られる心配もなしだ。
「よくこんなとこ知ってるね。何?昨年友達いなくてここに逃げてたの?」
友哉は友菜から飛ぶいつもの口撃を否定し、正解を優しく諭す。
「違うよ。ちょっと落ち込んでた時期に見つけて、ここにいたら落ち着いたんだ」
その落ち込みの理由は大抵、友菜の口撃。
奏音が来てからはマシになったが、それまでの強い当たりに落ち込み、偶然見つけたのがこの場所だった。
ただそれも友菜なりの不器用な愛情表現。
気持ちが伝わるのは、まだ先になるーー
「落ち込んだ時は話聞くから。2人の妹を信じて」
逆に奏音は厚意と好意を真っ直ぐにぶつける。
口数が少ない分、大事なところだけを言うので、自ずとストレートに気持ちが伝わる。
弁当の中身が半分無くなった頃、友哉がこちらに歩いてくる1人の足音に気が付いた。
その足音はだんだん近づき、顔を出した。
「やっぱりここにいた〜!」
「華?なんでここに?」
「いやぁ、妹ちゃんが気になってさー」
華がこの場所を知っている理由は、その落ち込んだ時に来てたのを偶然見つけられたから。
昼ご飯前に先生の手伝いをして外に出た華に見つかり、相談を聞いてもらった過去がある。
ーーー今思えばその時からだな。華と話すようになったのは。
友哉は過去を思い出していくうちにあることを考える
確か、その時に誰のせいで落ち込んでるか言ったよな。てことは、その元凶が友菜って気がつくんじゃないか?いや、さすがに忘れてるか。
友哉はそう思い、願っていたが、華は見た瞬間に気づいていた。
ーーーこの子だ。友哉を落ち込ませた元凶。でも、見る感じ敵意は感じないな…。というか逆に・・・
と、思考するうちに、名前を呼ばれていることに気がつく。
「華?とにかく座れよ」
「うん、ありがと」
そう言って奏音の隣に座る。
実は華はここに来て直ぐに危険を感じていた。
(うわぁ、睨まれてるなぁ)
一番奥に座っている人物、友菜からの殺気じみた視線の刃が、華の危険信号を鳴らしていた。
(お兄ちゃんを取るな!って所かな?でもごめんなさい。負けるわけにはいかないの)
力を込めた視線で返し、今に至る。
「えーと、とりあえず自己紹介かな。神島華です。友哉くんとは1年生の時から仲良くしてます」
華が軽く自己紹介した後友菜、奏音の順で自己紹介を終了したのだが、その時も友菜は華にしか分からない視線と言葉に隠された刃で攻撃し続けた。
そんな友菜に対し、華が仕掛ける。
「友菜ちゃんはお兄ちゃんのことが大好きなんだね」
その言葉が戦いの火蓋を落とし、心理戦という名の争いが開始された。
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