いもうとの入学式
新連載、始めました!
まだ文章が下手なところはありますが、最後までお楽しみください!
今日から新たな日常を迎える友哉は、いつもと変わらない時間に起床し、リビングへ向かった。
ドアを開けた先にいたのは、いつもと様子の違う2人の美少女。
『妹』の友菜と、『義妹』の奏音。
その身を学生服に包み、今日からJKの2人はウキウキ気分で、互いの姿を見合っていた。
「2人ともおはよう。いつにも増して元気だなぁ」
ふあぁと欠伸をしながら友哉が言うと、友菜が笑顔で言い返した。
「当たり前じゃん!今日は入学式だよ?」
「まぁそうだな。それにしても友菜も受かるとはな。奏音は頭がいいから受かると思ってたけど」
すると、友菜はむーっとした顔で友哉を見つめる。
「兄さん、早く準備しないと遅刻するよ」
静観を続けていた奏音がようやく口を開いた。
「そうだな。着替えてくる」
奏音は父親の再婚でできた血の繋がっていない妹。
そう、あれは約一年前のこと・・・
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「話はしたが一応、この人が新しいお母さんだ」
父が隣のいかにも優しいオーラを醸し出している美女を紹介する。
産んでくれた母は5年前、友哉が小学生5年生の時に事故死した。
それからというもの、父親は仕事や友哉達の世話は続けたものの、以前の明るさを取り戻すことなく、ほとんど笑うこともなかった。
そんな父を笑わせてくれたのがこの人。
友哉と友菜は、新しい母が出来たことを強く歓迎した。
そんな彼女の後ろから、ひょこっと顔を出している1人の少女の姿があった。
「あ、この子は奏音っていうの。友菜ちゃんと同じ歳だから、よろしくね」
友哉と友菜が不思議にみていたのに気づき、母さんが軽く紹介した。
人見知りなのか、目を合わせようとしないで俯いている。
「奏音ちゃんって言うの?よろしくね!」
友菜のいきなりの接触に、奏音は圧倒されて、小さな声で返事をする。
「・・・よろしく、友菜ちゃん」
「ねぇ!奏音ちゃんはどこの部屋?」
笑顔のまま、父さんに質問をなげかける。
「友菜の部屋で一緒に・・・って思ってるんだが」
「ほんと!?やったぁ!じゃあ奏音ちゃん!部屋案内するよ!」
奏音は抵抗できず、そのまま2階に引っ張られて行った。
「すみません。強引な娘で」
「構いませんよ。あれくらい強引にしてもらわないと、心を開かないと思いますからありがたいです」
父さんの謝罪に、母さんが感謝で返す。
その後、友哉の方を向いて深く頭を下げこう言った。
「新しい妹を、よろしくお願いします」
「はい。任せてください」
友哉は笑顔で、ハッキリと答えた。
かくして、如月家に新しい母と妹が加わった。
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「じゃあ、俺は先に行くから」
「いってらっしゃーい」「いってらっしゃい…」
友哉は2人に見送られながら家を出た。
新入生の登校時間は上級生の30分後。
下校時間は同じで、午前で終わるので弁当はない。
友哉を見送ってすぐ、2人も準備に入った。
バッグにペンケースとファイルを入れ、制服を正す。
「それじゃあ行こっか。奏音」
友哉が出て20分後、2人も学校へ出発した。
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『・・・以上で、入学式を終わります』
新入生入場→新入生担任挨拶→学校長挨拶→校歌斉唱→新入生退場。という昨年と同じ順序で入学式が進み、当たり前ではあるが何も無く閉幕した。
友哉は新入生入場と退場の時に2人と目が合い、小さく微笑みかけた。
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「・・・友哉。友哉!」
「っ!すまん、ボケっとしてた。なんだ?」
体育館から戻り、その後の授業を眠気を抑えてなんとか板書し、帰りのホームルームを終え、人が少なくなった教室で1人放心していたところで声をかけられる。
話しかけてきたこの男の名は斉田隆二。同じクラスの友達で、誰にでも優しい爽やかイケメンで、俗に言う『いいヤツ』だ。
「なんだって…。妹が入学したんだろ?」
「ああ、したよ。今日の朝も珍しくやる気出してたな」
「友菜ちゃんだっけ。久しぶりに会いたいな」
ここで奏音の名前が出なかったのは、隆二が新しい妹が出来たことを知らないからだろう。
隆二とは中学からの付き合いで、よく友哉の家でゲームをして遊ぶ。
奏音が来てからも遊びには来ていたが、会ったことないか、見かけても友菜の友達とでも思ったのだろう。
「また来たらすぐ会えるじゃないか。とりあえずバック取ってくるわ」
そう言って立ち、前のドアを向いたところで、さっきの話していた人物、そのドアの奥で人を探している2人と目が合った。
「お兄ちゃん!いたいたー」
「あ、待ってよー」
堂々と入ってきた友菜の後を、狼狽えながらだが奏音がついていく。
「どうした?こんなとこまで」
「奏音が一緒に帰りたいって言うんだけど、呼ぶ勇気がないからってさ。あ、隆二さんこんにちわ!」
「ああ、こんにちは。えっと、友哉?もう一人の子はどちら様?」
奏音を見てクエスチョンマークを浮かべる隆二に、友哉が答える。
「隆二は知らないんだっけ。妹だよ。父の再婚で出来た、ね」
「マジか・・・。こんな美少女2人と生活なんて、羨ましいな」
そんなことないよー。と嬉しそうな顔をする友菜の横で、奏音は顔を赤らめている。
「まぁな。じゃ、また明日。行くぞ2人とも」
すると、何故か友哉の右腕を奏音が抱えた。
「えっと、さすがに恥ずかしいんだけど」
美少女2人と歩いているだけで注目されるのに、それによってまたさらに注目を集める。
その注目はいいものではなく、男士からは嫉妬の視線を多く感じた。
「こうしてると安心する」
「せめて学校出るまでは我慢してくれ・・・」
なんとかお願いし、腕を解いてもらった。しかしなお、男子からの視線は校舎を出るまで続いた。
「学校出たからいいよね…?」
校門を出てすぐ、奏音が腕を抱いてくる。
元々一人っ子だったからか、奏音はよく友哉に甘え、友菜とはずっと一緒にいる。
そんな奏音に対し、友哉は恥ずかしさにより項垂れながら、帰路についた。
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