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ギルド登録

 「やっとついたか」


 村を出てからどれぐらい時間がたったのだろう? ただ前だけを、そう思い進んできた道、その道の終着点である冒険者ギルド、その場所に付いたのだが、ギルドと称されるその場所には大きさや広さはかなりの規模だが外観の印象としては古びた建物で、ここが本当にギルドなのだろうかと思ってしまう様なものであり、自分が間違った場所に来てしまっているのではないか、そんな気にさえさせられる。


 しかし建物の扉には札がかかっており、その内容、冒険者ギルドへようこそ! と書かれている事からここが目的地であっているのだろう、。


 現状今の自分は建物の前に突っ立っているただの見物人、はたから見ればそう思われるだろうし、ひどい場合だと不審者と間違われてもおかしくはないのかもしれない、そんな今の状況を打開する為には前に進み、扉を開いて中に入るしかないんだろうな。


 「ここでこうしていても何かが変わるわけでもないし、進むしかないだろう」


 なんとなく口から出たそんな言葉は、自分自身に言い聞かせるような、そんな雰囲気さえも感じさせ、なんの為にここまで来たんだと、誰かに言われている気にさえなる。


 進もう。


 そう決め、入口に立ち、扉に手を当て、押し開く。



 ギルドの扉は建物と同じ様に古い物で、押し開く扉に合わせる様にギギーと音が鳴り、建物の中に響き渡った事で、中にいた数人の視線が俺に突き刺さっているようだ、入っていきなりそんな視線を向けられると、俺としてはまだ何もしてはいないのに居心地が悪くなる気がするのだが、今の自分の目的である登録をする為に向けられる視線に耐え、中を見渡す。


 「よう兄ちゃん! どうした? なにかの用事で来たのか?」


 不意にかけられたその声は、中を見渡し、どうしようかと思い始める俺にかけられたもののようで、何もわからない、そういった人を気ずかい、親切にかけてくれた声に思えた。


 「あ、えっとすみません、冒険者になりたくて登録に来たんです、ここがギルドであっているんでしょうか?」


「なんだ兄ちゃん、登録に来たのか、それなら奥に見えるカウンター、あそこで登録できるぜ! お~いラミアスちゃん! 新しい命知らずが来たぜ!」


 通るような声でラミアスと自分の名前が言われたた事により、呼ばれたと思ったその女性は、カウンターに向かい合う椅子に座っていたようで、何事かと前のめりになりながらこちらの様子をうかがった後、俺達の様子からして登録に来たのだと察してくれた用で、手招きでこっちだと教えてくれていた。


 「ありがとうございます! これで登録ができそうです」


 「気にすんな! 兄ちゃんが困った奴を見つけた時に同じ様にしてくれりゃ~それでいいさ」


 そう言葉を残し、俺に声をかける前に座っていたんであろう席に向かって歩き、後ろ手で手を振ってくれたその人に頭を下げる事で礼とし、先ほどから待ってくれているラミアスと呼ばれた女性の元へと歩き、カウンターへとたどり着く。


 「ようこそギルドへ! 登録であっていますか?」


 「はい、冒険者になりたくて登録に来ました」


 「先ほどのやり取りからそうなのかな? と思ったのですが合っていたようでよかったです! ではまず登録に銀貨一枚がかかりますが大丈夫ですか?」


 鍛冶屋で聞いた通りで登録だけで結構取られるようだが冒険者になる為には仕方がないだろう。


 「大丈夫です、支払えます」


 「それでは登録をし、ギルドカードを発行するのでお名前とご希望の職種などがあれば教えていただけますか? こちらで用紙に書かせていただきますね。」


 そう言ってくれるのだが向こうが書いてくれるのは俺が字が書けないと思われているのだろうか? たしかにうちの村では書けない人が多かったけどそのぐらいはできるんだけどな。


「えっと、名前はコウ・アストです、職種についてはまだ決めてないんです、というか自分で書かなくていいんですか? 文字ぐらいは書けますよ?」

 

 「あ~大丈夫ですよ! こっちで書くのはそのままカードの発行に移れるので、こっちの方が楽なのでそうしているだけですからお気になさらないでくださいね!」


 どうやらそこまで出来ない子だとは思われていなかった様で少し安心してしまう。


 「職種についてですが登録をするのに必要な事ですので決めていただく事になるのですが、役割や種類などの説明はいりますか?」


 冒険者になろうとしか考えていなかったし、どんな職種があるのかも気になるし、説明をしてくれるのであればお願いした方がいいだろうな。


 「そうですね、すいません、説明をお願いしてもいいですか? あまりわかっていなくて……」


 「わかりました! では説明をさせていただきますね、 まず魔法を使うウィザード、主に火力職と呼ばれ攻撃魔法でモンスターを倒すため距離をとれるという意味で安全ですので人気の高い職業でおすすめです! 魔法は各鍛錬所と呼ばれる場所で習得が可能になっています」


 魔法か……使ってみたいけどどうやって使えるんだろう? 聞いてみるしかないか。


 「魔法を使うのに必要な物って何かあるんですか?」


 「魔法は体内にある魔力さえあれば誰でも鍛錬次第で扱うことはできますよ! 魔力量もご自身の成長によって増えていきます、でも向き不向きはやっぱりありますけどね」


 多分ではあるけど不向きな人が魔法を選んで使った所で才能のある人とかには勝てませんよ! ってことなんだろうか。


 「ではその次です! ちらも後衛職でハンターという職業で、弓による攻撃で相手の急所を探し、狙い、仕留める職種ですね、こちらも後方からの攻撃が主体の為安全が確保出来るからと人気の職種ではありますね」


 弓での攻撃か……問題があるとすればちゃんと狙った場所に撃てるかという事なんだけど、村で投げて遊ぶ時は皆から仲間外れにされるほどどこか違う所に飛ばしてしまう俺には無理だろう……。


 「次……お願いします」


 「え? えっと、大丈夫ですか?」


 どうやら俺の雰囲気が急に変わり、暗くなった事を察してくれたようなんだけど、昔の村での悲しい思い出を思い出しただけなんでそっとしておいて下さい!!。


 「大丈夫です、次お願いします!」



 「そ、そうですか? では次の説明に入りますね! ヒーラーと呼ばれているプリースト、こちらはパーティーなどを組む時に必須の職業でケガをした仲間を回復させたり毒やマヒ、そういったものを治す力を持った職業です」


 魔法による傷の回復や状態異常の回復、すごそうではあるんだけど自分にそんな器用なことが出来るだろうか? でもやっぱり魔法は使ってみたい気がするな。


 「それでは最後の説明です! 最後はタンクと呼ばれている戦士、ナイトの職業ですね、タンクの役割は仲間を敵から守りながら敵を倒す職業で最も危険な職業です。その過酷さゆえタンクになる人は少なく、どこの町でもつねにパーティー募集がタンク待ちになるほど人が少ない職業ですね、職業に関してはだいたいこういった感じなのですがどうなされますか?」


 色々な職種の説明をしてもらってどれもやってみたい気にはなるな、弓以外だけど、ハンターは出来る気がしない!


 そうなると魔法を使うか前衛で殴りあうか、どちらかと言えばやっぱり魔法だろう! 使ってみたいという気持ちが大きい。


 しかしそうなってくると防具なんかはどうなんだろう?前衛は固めていそうな気がするが魔法職は?。


 「えっと、ラミアスさんでよかったですよね? 」


 「はい! 私がラミアスですよ!」


 「防具に関しての質問なんですが、前衛は凄く硬そうな雰囲気があるんですが魔法職はどうなんでしょう?」


 「紙ですね!」


 紙? 薄っぺらいとかそうゆう意味合いなんだろうか?それにしても紙って……。


 「紙ってことは防具はあまりつけないとかそうゆうことなんでしょうか?」


 「そうですね、魔法職は近接職とは鍛えるものがまず異なってきます、近接職は己の肉体鍛える事に対し、魔法職は体の中の魔力を鍛えるので、あまり重い物とかは持たないんです、というか持てないんです、すぐに息切れしちゃいます! それ故防具も比較的軽い物を付ける形になりますね! 」


 ん~今の説明を聞くとどうにも不安が残るな。


 昔から何をやってもヘマばっかりしてた事から、あだ名がヘマチョとなってしまっていた俺にそんな防具が薄い状態で戦う事なんて……自殺行為にも思えてくるのだ。


 そうなると前衛になってくるのだが、防具を固めて殴りあうなら難しいことはしなくて済みそうだし、できそうな気がする。


 「決めました! タンク職にします!」


 俺の言葉を聞いたラミアスさんは驚いた顔をしたのだが、それもほんの少しの間の事ですぐに真剣な顔へと変わる。


 「わかりました、コウさんの意見を尊重します」


 その言い方は何かを間違ってしまったような気になるのでやめて欲しいな、大丈夫だよね? 俺。



 「ではタンク職でも戦士とナイト、二種あるのですがどちらをお選びになりますか?」


 「すいません、どう違うのかがわからなくて……教えていただいてもいいでしょうか?」


 「大丈夫ですよ! 戦士は両手で持つ武器を扱い、鍛え上げた己の肉体で戦う、そう思ってください!そしてナイトですが、ナイトは防具に加え盾を持ち、カッチカチに防具を固めて戦う為、戦士よりかは手数などが落ちますが、パーティー戦などでは最も優れた護り手になります、説明は以上になります!」


 説明を聞く限りだと戦士よりナイトの方が防御に優れている様に聞こえた、それに自分のどんくささを考えると、防具を固めて盾で守るという方がしっくりくる感じがした、それなら――。


 「ナイトで登録してもらってもいいですか?」


 俺はこう決断した。


 「かしこまりました、では銀貨一枚をお願いします、ギルドカードも今作って持ってきますね!」


 そう言い残し奥へと歩いて行ったラミアスさんが戻って来たのはすぐだった、その手にはギルドカードと思われる物を持っており、俺は銀貨一枚と引き換えにそのカードを受けとり、早速クエストを受ける為にと移動をはじめた。

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