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アークレッドの平和な一日  お姫様がやってきた  作者: 茶々アルト
プロローグ
2/2

とある国王の思いつきー愛娘よ、目を覚ませー

 そもそもすべての事件は一カ月前に行われたティアラの十四歳のバースデーパーティが発端だった。中央大陸すべての成人した王族に招待状を渡して、さすがに大国リオンの招待だけあってほとんどの王族が出席した。その目的がティアラの花婿選びを兼ねていたからだ。

事実、パーティの前にエドワード自身がティアラに将来の夫となるものをこのパーティに列席している者から選ぶように命じた。

彼はティアラを溺愛していたが同時に百万の国民の命を預かる国王でもある。世継ぎであるティアラの相手には、それ相応の者でないといけない。

知性に勇気に決断力に愛情。そして民の信望。エドワードはそれを基準にポマスに招待状を送るように命じていた。そしてそのとおりの面々がパーティには参加していた。

リオンに継ぐ大国ノーバーのカシス王子に、レイアスのレイ王子。

ラクトリアのヘンリー王子に、セレナのリムド王子。その他etc.とにかく文句のつけどころがない王子たちがいたのにー。

「私、この方と結婚します」

こともあろうに娘が連れてきたのはあのアークレッドの王子だったのだ。当然、エドワードは猛反対した。アークレッドが最小国というだけではない。

アークレッドの国王は特殊なのである。三年周期で国民たちが兼ねる、町内会の役員のようなものなのだ。つまり気品もなければ教養もない。

現国王の稼業は牧場主のはず・・・。するとなぜか顔を真っ赤にしたその少年は、いきなりなんの前触れもなく、こともあろうにティアラにキスをしたのだ。

中央大陸すべての王族の前でのキスは何にも勝る婚約の証なのに。

よって、エドワードはふたりの婚約を認めなければならなくなったのだが・・・。

いや、まだ一年ある。ティアラが成人していないことを理由に一年間、その結婚を先送りしたのだ。娘の口から婚約破棄という言葉さえひきだせればあとはどうにでもなるはずー。

ようはティアラにウィルを嫌いになるようにしむければいい。そうだ。そうすればいいのだ。なんだ簡単ではないか。

ティアラは贅沢な暮らしに慣れ親しんだ生粋の王女なのだ。あんな田舎者の、しかも農民のウィルとは生活習慣がまるで違う。あの若者の実態を知ればきっと目も覚める。そうだ。それがいい。

ーこほん。

エドワードはひとつ咳払いをするとティアラに問いかけた。

「そんなにウィルにあいたいのかね?」

「はい。いますぐにでも」

「では会いに行くがいい。この機会にアークレッドのウィル王子の生活を見てきなさい」

エドワードはウィルの家にホームステイすることを決めたのだ。



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