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ジュースとトイレ


次の日

「確かめたいことって何?」

ネットカフェのカウンター近くには、シャロンとシルビア、そしてクロエが集められていた。

「こほん。俺は新しいスキルを手に入れたんだ。だから、ネットカフェで一番大事な設備を補充できるようになった」

「大事なもの?」

首をかしげるシャロンたちの前で、コモルはドリンクバーコーナーのジュースサーバーに手を当てて魔力を注入する。

「自宅警備魔法『備品補充』が発動されました」

コモルの魔力と引き換えに、かなり減っていたジュースサーバー

の残量メーターが満杯になっていった。

「その変な機械がこの城で一番大事な設備なの?」

疑いの目を向けるシャロンに、ジュースを差し出す。

「試してみろ。ほら、おいしいぞ」

差し出された黒色の液体を見て、シャロンは首をかしげた。

「これはなに?」

「炭酸飲料だよ。飲んでみな。口に合うかどうかわからないけど」

そういわれて、シャロたちは恐る恐る口にする。

「おいしい!口がちくちくするが、新感覚だな!!これが古代のジュースなの!?」

「本当!こんなの初めて飲みました」

「……くせになる」

三人は笑顔を浮かべながらジュースを飲む。。

「もう一杯!」

「あんまり飲むと腹を壊すぞ」

コモルはそう諫めるが、シャロンは嬉々として何杯もおかわりしていた。

「これって、なんなのですか??」

シルビアが、興味津々で聞いてくる。

「ああ。これはもといた世界である薬屋が作り出した飲み物で、大ヒットしていて世界中で売れていたんだ」

「そうですか。この城は面白いですね。本当にこの世界にはないものがたくさんあります」

シルビアは尊敬の目をコモルに向ける。

その時、夢中になってジュースを飲んでいたシャロンが、急に渋い顔になってお腹を押さえた。。

「姫様、どうなさったんですか?

「い、いや、ちょっと用を思い出したというか」

そういって、そそくさとその場を離れようとする。

「おい。どうしたんだ?」

「トイレだよ!えっち!」

シャロンは顔を真っ赤にして、トイレに駆け込んだ。

それを見送ったコモルは、ふと疑問に思った。

(あれ?そういえば、みんな普通に用をたしているけど、後始末はどうしていたんだ?)

そこまで考えて、真っ青になる。

「お、おい。バカ!出て来い。トイレは使用禁止だ!」

「何言ってるのよ!まだそんなケチな事をいっているつもり?」

ドア越しにシャロンの声が返ってくる。

「そうじゃなくて、お前らペーパーの使い方わかるのか?今まで何でケツ拭いていたんだ?」

「何言っているのよ!トレハの葉に決まって……キャーーーーー!」

水を流す音と供に、トイレの中からシャロンの絶叫が聞こえてくるのだった。


騎士団全員におけるトイレの清掃が行われる。

トイレの中からは、泣きはらしたシャロンが出てきた。

「トイレ……こわい。水が逆流してきて……」

しくしくと泣くシャロンを、女騎士たちが必死に慰める。

「シャロン様。元気出してくださぁい。よーしよし」

そういって慰めているのは、胸の大きいメイド、マーリンである。

「辛いことがあっても、きっと明日はいいことがありますからぁ」

「うん……わかったよ。ありがとう。マーリン」

そういってシャロンは泣き止んだ。

「なんだ……その。ごめん。俺も悪かったよ。ちゃんとトイレットペーパー使うようにって言うべきだったよ。でも、よく考えたら排水はどうしているんだ……?」

疑問に思ったコモルがネットカフェの裏手に回ってみると、浄化槽から汚水が流れ出していた。

「これもなんとかしないとな……」

健康で文化的な生活を送るのは難しい、改めてコモルはそう思うのだった。

2019年一月末に「無駄の従者にして闇の黒幕~勇者は俺の操り人形です~」が発売されますので、よろしくお願いします

挿絵(By みてみん)


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