買い物
しばらくコモルは二度寝を楽しんでいたが、昼になると目が覚める。
「ふわぁぁぁぁ。ちょっと飽きてきたな」
「ご主人様。退屈なら外出しませんか?」
お茶を持ってきたマーリンがそう提案してきた。
「外出?」
「町にお買い物にいこうと思います。そろそろお金もたまってきたし、必要な物をそろえたいので」
「それなら、俺も付き合うよ」
コモルはそう同意して、町に行くことにした
「いってらっしゃいませ」
こタマを留守番において、二人で町に買出しに行く。
「それで、何を買うの?」
「そうですねぇ。ごはんは姫たちのおかげでこまらなくなりましたし、そうだ!下着を買いに行きましょう」
マーリンはそういって、衣料品が集まっている一角に向かう。
「し、下着だって。困ったなぁ……」
そういいながらも、マーリンに付いていくのだった。
「どうですか?この乳あては似合っていますかぁ?」
「あ。ああ、似合っているとおもうよ」
そう聞かれ、コモルは戸惑いながらも答える。
マーリンは大胆にも、水色の布一枚の姿をコモルの前に晒していた。
「では、この腰当ては?」
「……うん。セクシーだよ」
「よかったぁ。それじゃ、これにしますね」
マーリンはあっさりと下着を決めた。
(……てか、面白くもなんともないな)
コモルは期待はずれで憮然としている。この時代は相当文明が退化しているらしく、色っぽい下着などは皆無だった。
ブラジャーなど存在せず、単に大きな布を一枚巻いて、穴あきボタンで留めて終わりである。下も同様で、パンツではなく腰巻=スカートみたいなものだった。
(ま、まあ、考えようによってはいいかも。スカートの下には何もはいてないと思えば……)
と思って自分を高揚させようとするが、あることに気が付く。
(しまった。騎士たちはいつもごっつい鎧を着ているんだ)
そして普段着は男女ともに貫頭衣のような単純なパジャマである。
コモルは改めてこの時代が嫌いになってしまった。
「な、なあ、それだけいいスタイルしているんだから、もうすこしファッションセンスがあるものを着たら?」
「フッションセンス?それってなんですかぁ?」
大量の布を持って衣料品店を出た後にコモルがそういうが、マーリンはきょとんとしている。
「なんていうか、綺麗な服とか……」
「綺麗な布はたくさん買えましたよ~。ほら、こんなに綺麗でしょ?帰ったら、みんなで服をつくりましょう」
マーリンは巻かれた色とりどりの布を見せる。どうやら、彼女たちはファッションに興味を向けられるほど、余裕がある生活をしてないみたいだった。




