表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/34

団欒

ネットカフェに帰ったコモルはタマの面倒をみていた。

「とりあえず、綺麗に洗わないとな」

コモルはタマを見てそう思う。正直汚れきっていて、体臭もしていた。

「ご、ご主人様が洗って下さるのですか?」

タマの顔が真っ赤になる。

「俺たちと一緒にいる以上は、最低限の衛生には気をつかってもらうぞ」

「わかりました。どうぞお願いします」

覚悟を決めたタマは、服をたくし上げようとするので、コモルはあわててしまった。

「バカ。俺じゃなくて、誰かに頼んで……」

コモルは慌てて否定するが、気がつくとシャロンや騎士たちから冷たい目がむけられていた。

「コモル殿。綺麗にして、それからどうするつもり?そんな小さな子に夜伽を申し付けるの?」

「よ、夜伽って……」

思いもしない疑いを掛けられて、コモルは動揺する。

「そんなわけあるか。こんな子供にどうしろってんだ」

「あ、あの……私はご主人様に拾われた時から、覚悟はできています……」

タマにそんなことを言われて、コモルはブンブンと首を振った。

「いいから!そんなつもりじゃないから!」

「なら、タマちゃんの面倒は私たちに任せてくださいね」

シルビアが冷たい声で告げて、タマの手をとって、シャワー室に連れて行った。

「み、水! こわいです!」

「おとなしくしなさい。これからは毎日水を浴びてもらいます。ほらほら!まったく、手がかかりますね。これから私たちの従者になるんだから、いろいろ勉強してもらいますよ」

シャワー室からタマの悲鳴とシルビアの楽しそうな声が聞こえてくる。それを聞いてコモルは苦笑した。

「まあ、その方がいいかもな。なら、あの子の面倒はお前たちに任せたぞ」

そういって、自分のブースに戻る。

残されたシャロンと騎士団は、意外そうな顔をした。

「あれ?あっさりとぼくたちに丸投げしたぞ?自分の奴隷だからって、あんなことやこんなことをしておもちゃにすると思っていたのに?」

「不思議な方ですね。まるで本当に救いたいから救っただけで、見返りなんて求めてないみたいです」

トリスタンも首をかしげる。

「まあ、いいじゃねえか。あいつは悪い奴じゃないみたいだぜ」

ガラハットの言葉に、ほかのメンバーも頷くのだった。


夕食に呼ばれたので、コモルはブースから出て席につく。

カウンター前のスペースに、騎士全員が車座になって座っていた、

「別に自分のブースの中で食ってもいいんじゃないか?」

コモルは面倒くさそうに言うが、シャロンは首を振る。

「だめだよ。僕たちはひとつの集団なんだから、ちゃんと同じ食卓で同じ物を食べて、コミニュケーションをとらないと。そうじゃないとすぐバラバラになっちゃうよ」

シャロンはそう主張する

「姫様……さすがです。立派な主君です」

その姿を見て、トリスタンは感動の涙を流していた。

「こほん。それでは……ボクたちの新しい従者になった、タマちゃんです」

シャロンが車座の中央に招くと、タマは恥ずかしそうに挨拶した。

「えっと……タマ・ニャニヤです。わ、私のような平民が、王女様にお仕えできて、こ、光栄に思います」

タマはところどころつっかえながら挨拶する。

騎士団の間から拍手が巻き起こった。

タマは一礼して、コモルの隣の席に戻る。

「ふにぁああ……ご主人様。緊張しました」

「よしよし。がんばったな。しかし、その格好は……ダサいな。せっかく可愛くなったのに」

コモルはタマの格好を見て、ちょっと眉をしかめる。

タマが着ているのは、バスタオルをつなぎ合わせた簡単な貫頭着だった。生地が少ないので、まるで全裸でタオルに包まっているだけの子供に見えてしまう。

「えっ?私可愛いですか?」

褒められて喜ぶタマだったが、コモルは気難しい顔をして首を振った。

「お前がもうちょっと成長していたら色っぽくてよかったんだけど、その姿はちょっと問題だぞ。異世界で助けた奴隷というのはもっと可愛い服を着るもんだ!」

「えっ?」

訳のわからないことで憤慨されて、タマは不安そうにシャロンを見る。

「仕方ないんだよ。タマちゃんに合う服はなかったんだから」

「マジかよ……服くらい作ってやれよ。メイド服なんて似合いそうだな」

コモルはいやらしい顔をして、タマを見つめる。

すかさずトリスタンから苦情が来た。

「だから、余分な金はないっていっているだろ?我慢してくれ!」

「いいや。これは譲れない。異世界奴隷はメイド服を着ないといけないきまりなんだ!」

大声で断定するコモルだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ