乾杯
「乾杯!」
騎士団は、ギルドの併設されている居酒屋で打ち上げを行っていた。
シャロンたち六人のエルフ騎士団はコモルに感謝し、彼の歓迎会を開いた。
「おいしい。ボク、久しぶりにごちそうを食べたよ!」
シャロンは柔らかいパンみたいな食べ物やいいにおいがするステーキ見たいな肉の塊にかぶりついている。
「これで姫様も戦えるようになり、頼りになる騎士も加わった。先は長いが、エルフ王国再興への一歩を踏み出したぞ」
トリスタンは機嫌よくワインを飲み、コモルに話しかける。
「コモル殿、どうかこれからもよろしく頼む」
「お、おう。任せておけよ」
コモルは注がれたワインをぐいっと飲み干す。
「コモル様、素敵でしたよ」
「……見直した。かっこよかった」
シルビアやクロエも来てお酌してくれた。
「コモルさまぁ。シャロン様を助けてくれたそうですね。ありがとうございましたぁ」
その時、メイド服を着た胸の大きな美少女がやってきて、コモルに抱きついた。
「え、えっと……君は?」
「私はメイドのマーリンです。サキュバス族との混血なので平民ですけど、よろしくお願いします」
マーリンと名乗った美少女は、甘えるようにしなだれかかるので、コモルは真っ赤になってしまった。
それを見て、シャロンが不機嫌な顔になる。
「マーリン。コモル殿をあんまり甘やかしちゃだめだよ。男って、すぐ女に手を出すけだものなんだから。もて遊ばれたって、知らないよ」
「ええっ?そうなんですか?コモル殿って、そういう目で私を……?」
マーリンはコモルから体を離し、自らの身を抱きすくめる。
すると、かえって大きな胸を強調するようなしぐさになってしまった。
「ほら、鼻の下をのばして胸を見ている。まったく、栄光あるエルフ王国に、このようないやらしくて、得体の知れない男を入れないといけないなんて。ボクたちが王国再建の旅に出るときは、この国においていっちゃおうかな」
ぷいっと顔を背けながら、シャロンがつぶやく。
「……そ、それは困ります。コモル殿は女神に選ばれた人なんですから」
シルビアが赤い顔でつぶやく。
「……私も困る。コモルには、もっと本を読んでもらわないといけない」
クロエも頷く。
「んー。でも、コモル殿から見られても、そんなに嫌じゃないかも。男の人からそういう目で見られるのって、何かうれしいというか」
マーリンはちょっと顔を赤らめながらも、胸を強調するようなセクシーなポーズをとった。
それを見て、コモルはますますニヤニヤする。
「まあ、みんながそこまで言うなら付き合ってやっても良いぜ。俺の望みであるニートハーレムをかなえてくれるんならな」
コモルはにやけながらそういった。
「この男!もう、トリスタンとガラハットもなんとか言ってよ!」
シャロンは怒った顔をして、笑っている二人に泣きつく。
「シャロン様。まあそう嫌わないでください。男とはこういうものです。コモル殿も本気で言っているわけではないでしょう」
「いや、俺は本気だけど」
コモルの言葉にトリスタンはちょっと不安そうになる。
「ハハハ、童貞のくせに夢だけはでっかい奴だぜ。なんなら俺が相手にしてやろうか?」
大柄妖艶美女であるガラハットが迫ってくるので、コモルは慌てて首を振った。
「え、遠慮します」
「なんだよ。俺じゃ気に入らないってのか、ああん?」
すごまれて、コモルは必死で言い訳した。
「だから、その、ガラハット姐さんみたいなベテランがこられたら、手に負えないというか、怖いというか、童○にはきついんですよ!」
「けっ。根性なしが。せっかく解消できるとおもったのにな!」
ガラハットは不満そうに酒を飲むのだった。




