クロエ
お子様とはいえ、美少女の薄着姿にドキッとしてしまう。
そのことがちょっと悔しくて、わざとからかう口調で言った。
「なんだ?たしかクロエちゃんだったな。夜這いか?残念だけど色気が足りないぞ。チェンジだ」
「……」
エルフ騎士団の一人、クロエはからかわれても無言でジーッと見つめてくる。
「……それで、こんな夜中にどうしたんだ?」
「……読んで」
クロエが差し出したのは、「魔法騎士アーウーフーン」という少女コミックだった。
魔法を使える少女騎士がカラフルなビキニアーマーを着て悪魔と戦うという内容で、幼女から大きなお友達まで幅広い年齢層に人気である。
コモルはそれをちらっと見るが、すぐに興味なさそうに自分が読んでいたマンガに向き直る。
「断る。今忙しいんだ」
「……お願い」
クロエはコモルの手から本を取り上げて、代わりに先ほどのマンガを手渡す。
「読んで!」
「いやだ……うっ!」
胡坐をかいているコモルの足の間に、クロエは強引に座り込んだ。
「お前……なんでこんな体勢に?」
「……意地悪するから。読んで」
下から上目遣いでコモルを見上げてくる。幼いながらも美しい瞳に、コモルはついに根負けしてしまった。
「……わかったよ。だけど、みんな寝ているから静かにな」
コモルは観念して、クロエを抱きかかえるような体勢で本を持って朗読するのだった。
「……すごい。面白い。君の国も騎士が戦っている」
「いや、これって物語だから」
危険な部分にダイレクトにクロエの体温を感じ、声が上ずってしまう。
「も、もういいだろ。子供は帰って寝ろよ」
「……私は子供じゃない。平気」
クロエはそういって、コモルの膝の上から降りようとしない。
「嘘付け。どれどれ……」
コモルは冒険者カードを押し当ててみる。
名前 クロエ・スバル
年齢 13歳
種族 ダークエルフ レベル25
身分 ネットカフェナイト
スキル 窃盗 闇魔法
犯罪暦 ■ 財産 6935マージ
異性交際経験人数0人 同姓交際経験人数0人
自○回数0回




