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僕シリーズ

遠距離恋愛のクリスマス

作者: 真言☆☆☆

 よせばいいのに、俺は大学卒業間際に、俺はある綺麗な看護師と付き合い始めた。

 彼女の名前は出せないので、仮に、サッチャンとしておく。


 当然、卒業後、遠距離恋愛が始まった。

 卒業の時点でふられなかっただけ、ましだったかもしれない。

 その方が良かったって言う奴もいたが、スルーする。


 俺は社会人になって、サラリーマンとしての慣れない忙しい日々を送っていた。

 大好きな彼女、サッチャンに会いたくても、会えない日々を送ることになる。

 無性に声を聞きたくて、ケータイに電話をしても、簡単にはつながらない。

 たまにつながっても、

「 ごめん。 夜勤入りで、寝てたの。」

「 ごめん。 元気そうで、安心したよ。

  無理するなよ。 じゃあな。」

「 うん。 〇〇さん(俺の本名)もね。 じゃあ。」

 たったそれだけで、終わってしまう。

 一杯話したいことあるのに、切なすぎる。

 思わず、枕を殴った。

 

 サッチャンと付き合い始めて、初めての盆休み。

 社会人になった俺は、念願のフレンチレストランにサッチャンを連れて行った。

「あんまり美味しいもんじゃないね。」と、エスカルゴを食べて笑ったっけ。


 考えてみると、ケンカしたことなかった。

 たまに会うときぐらい、楽しい時間を過ごしたかったからだ。


 サッチャンと付き合い始めて、初めてのクリスマス。

 待ち合わせの喫茶店に、時間になってもサッチャンは、来なかった。

 周りのカップルの話し声が、ヤケにウザかったね。

 そんな時、やっとケータイに、彼女からのメールがあった。

「 ごめん。 緊急オペが入って、行けなくなった。」

「頑張れよ。 無理するなよ。」

 無理しているのは、俺。

 強がる俺だった。

 涙は夜更け過ぎに雪に変わるだろうって、

一人きりのクリスマスを、過ごすはめになった。

 

 サッチャンと付き合い始めて、二度目のバレンタインデー。

 サッチャンから、チョコレートが宅急便で届いた。

 そのチョコレートは甘いけど、なぜかほろ苦い。


 そして、サッチャンと付き合い始めて、二度目の盆休み。

 あいまいな関係に区切りをつけようと、僕は決断した。

 「結婚」という二文字。

 お互い意識はしていた。

 ホテルのロビーで待ち合わせしてから、どこで、どう切り出して、

どう言われたかまでは、言いたくない。

 はい、あっさり、ふられた。

 俺の努力が足らなかったのか・・・・・・・・。

 

 風の便りに聞くと、サッチャンは同じ病院の医者と結婚した。

 あのクリスマスの夜も、その医者と一緒だったとか。

 俺は、笑った。爆笑だ。

 馬鹿みたいじゃなくて、俺は馬鹿だった。

「何がオペじゃ!二人で何してたんや。」と、ガチで腹がたった。

 冷静に考えたら、遠くの親戚より近くの他人。

 遠くの彼氏より、近くの男友達。

 遠くのサラリーマンより、近くの医者かい。


 でもよ、声を聞きたいときに、聞ける。

 何より会いたいときに、会えるもんな。

 あったかい気持ちを、肌の温もりを感じられるよな。


 ぶっちゃけ、今でも、クリスマスになるとサッチャンのことを思い出してしまう。

 彼女がいてもね。

 

『元気で、幸せにやっているかな。

 今でも、綺麗かな。』


 サッチャンのとびっきりの笑顔の写真は、押し入れの古いアルバムの中にまだ、ある。

 捨てられない・・・・。

 

 正直、話はしたい。

 復縁とか不倫とか考えたことはない。

 今の俺なら、彼女と笑って思い出話しができる。

 フレンチレストランじゃなくても、居酒屋でも、どこでもね。


 努力は必ずしも報われるものではないが、必ず得られるものは絶対にある。


 俺は、サッチャンから遠距離恋愛の愛しさと切なさを学んだ。






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