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第二訓「三寒四温」
生徒会長、三寒シオンについての考察
まず始めに、彼女は桜ヶ丘井伊瀬学園の生徒会長であるらしい。最初こそ半信半疑だったものの、その実、影の薄い校長《薄井陰男》と、殆ど表に出る事の無いという、学園の名にもなっている理事長《伊井瀬》に代わって、先日の入学式で我々に見せた見事な演説と、その人気っぷりは、確かに生徒会長であると認めざるを得なかった。ハーフだからか? あの見た目のせいか? 甚だ納得は出来ねーが。
次に、彼女はあの日、あの場所で、我が力を目撃したと言った。果たしてそれは真実なのか? その証言を裏付ける証拠に、彼女自身の放った一言。《君はESPを持っているね》というセリフが上げられる。自分自身、この力を誰かに気づかれたことはないし、誰かに喋った事もない。つまり、あの体育会系竹刀先輩とのやりとりをみていなければ、看破出来ないような力なのだ。否、例え見ていたとして、この力は通常、一般人には目視不能の力である筈。だからこそ、これまでこの力を必要なときに誰に気づかれる事無く運用する事が出来た。極め付けが、会長が最後に言い放った《日傘を何とかできるかもしれない》というセリフ。驚くべき事に会長は、日傘が持つ、日傘自身さえも知りえない力をたったあれだけの時間で、本人が寝ているにも拘らず看破してしまったというのだ。
以上の点から導き出される最も合理的な見解は、生徒会長は自分と同じ、イヤ、それ以上のESP使い、つまりエスパーであるという可能性。少なくとも、何らかのそれに類似した力を持っているという点につきるという事実。
最後に、部活の話。これだけは、どれだけ考えても想像が出来なかった。あの会長は確かに会長だった。それは実際に目の前で確認したし、公然の事実だ。しかし、彼女が部活の部長を兼任しているという話は、誰に聞いてもどれだけ調べても出てこなかった。つまり、生徒会長の言う部活は、公式な部活ではないのではないか、もしくは部活に昇格出来ないサークル? いずれにしても、圧倒的に情報が不足している今となっては、この足で、そこに赴き、この目でその真実とやらを確かめる他無い。
以上が、簡単ではあるが生徒会長についての考察である。さて、覚悟はいいか? 自分は出来てる。
それじゃぁ、禁断の扉ってやつを… 開けてみようじゃないか。
◆
「ねぇねぇ、せいちゃん。部活動、どーしよっかぁ? ほら私達、これまで部活とかやってなかったでしょ。折角だし、何か始めるのもいいかなーって、思うのですよ」
「別にいーんじゃねーか。帰宅部で」
「ぶーぶー。そんなのつまんないよーぅ。ねっ? 入ろう? 何か入ろう?」
長年幼馴染をやってきた自分から言わせて貰えば、恩羽日傘の運動能力は高い。極めて高いと言わざるを得ない。昔から、運動系の部活から誘いが来る事もしばしばだった。
Q では何故、彼女はこれまでの人生において終始帰宅部を貫いたのか。
1、自由人ゆえ、ルールをまるで覚えようとせず、自由奔放にプレイしていた為。
2、ドジッ子ゆえ、思いもよらないハプニングばかりを呼び寄せていた為。
3、その度に、思わずひやっとするような目にあってきた為。
A もうお分かりだろう。答えは、そう、全部だ。
昔から、本当に昔から、恩羽日傘という人間はそういう奴だった。そういう星の元に生まれているのだと、そう思っていた。だからこそ自分が、コイツを護ってやらなきゃならないんだと。当時の自分が、幼いながらもそう考えるようになるのに、それほど時間は掛からなかった。
詳しい事は割愛するし、話す意味が無いから言わねーが、自分の中に眠る、いや、いつだったか突如目覚めたこの力は、だからこそアイツを護るために存在するんだと、そう考えるようになった。現に今でもそう考えている。
だからこそ自分は、アイツのため以外にこの力を使うことを決して良しとしない。
それは何故か? 言葉で説明するのは酷く難しい。掻い摘んで言えば、そうだな… フェアじゃない気がするから。色々な人の、色々な想いを踏みにじるような、そんな感じ。とにかくそれが我が矜持であり信念であり、理念だ。
「何だか恐い顔して固まってるところ恐縮だけどさ、ゐ異君。折角だから二人で一緒に何かやってみたらいんじゃないの?」
「ん? 自分、そんな顔してたか?」
「してた。ゐ異君ってさ、日傘ちゃんの事になるととたんに真剣になるというか。まじめになるというか」
「うんうん。そのとーりだよっ、山田君。せいちゃんってば、昔から私に厳しいんだからっ。もっともーっと優しくしてくれてもいーのにねぇ」
「君は君でちょっと勘違いしてるよ日傘ちゃん。ゐ異君ってば本当に君の事を…」
「大地丸、お前、ちょっと黙ろうか」
「うへっ。ほーら、やっぱりそうだ。それとね、ゐ異君。僕を名前で呼ばないでって、いつもそういってるでしょ? 大地丸なんて名前、恥ずかしくて聞いてられないよ」
高身長で細身のイケメン優男にして、それを鼻に掛けない物腰の柔らかさと誰にでも優しい態度を併せ持つ完璧超人。それがこの山田大地丸という男だった。我がクラスメイトにして、吹奏楽部期待の新人。自分と日傘にとっての、この桜ヶ丘井伊瀬学園での新生活始まって以来の最初の友達。まぁ、そんな完璧超人でも、自らに与えられし珍妙な名前だけはどうすることもできなかったというわけだ。ヒャッヒャッヒャ、ご愁傷様。どんな人間にも弱点の一つや二つ、あって然るべきだという神様のありがたいお告げを体現した男。それがこの山田大地丸という男なのだ。
「聞いてられない? ガイヤがオレにもっと輝けと囁いてるからか?」
「ゐ異君、そろそろ僕も怒るよ?」
「やれやれ、悪かったって。それにさ、それを言うなら誠意って名前もどうかと思うしな。んなもの、この世のどこ探したってありゃしねーってのに。宗教用語か何かですか? っての」
まぁ、それを言い出したら一番可笑しい名前の奴が、目の前にいるわけだがね。
「ん? んん? 何かな、せいちゃん。私の顔に何かついてる? やだなぁもう、とってとって」
日傘。一体全体どういったセンスでどんな意味をこめられてつけられた名前なのか。まったくもって親の顔って奴が見てみたいぜ… まぁ、《先週まで》ほぼ毎日顔あわせてたんだけどね。
そして、この先週までという言葉には実は二つ意味がある。先週と今週を別つ大きな違い。
まず一つ目は、当然新たなこの桜ヶ丘学園での生活が始まったという点。そしてもう一つが、自分と日傘は、家を出てこの学園専属の寮で暮らし始めたからという意味である。
別段、家からでも通って通えない距離ではなかったのだが、ちったー自立してほしいという日傘のおばさんの親心から、瞬く間に日傘の寮暮らしが決定し、自分はそれに付き合う形でといった風。ま、別段深い意味なんてない。何かが変わるきっかけなんて、大体そんなもんなのさ。ついでにもう一つ、この学園の寮は二人で一部屋。つまり、必然的にルームメイトってやつが出来る事となる。察しがよけりゃー気が付くだろうが、我がルームメイトこそ、この山田大地丸その人なのである。そうなってくると俄然気になってくるのが、日傘のルームメイトなわけだ。まぁ、今は関係ないので一旦捨て置く。そのうちに嫌でも出てくる話題だろーし。
閑話休題。話を戻すぜ。
「部活、ね。実を言うとな、一つ、心当りがある」
自分で言っておいてなんだが。この期に及んで。無事合格を果たし、入学式を終え、新生活が始まって早1週間経ったこの期に及んで、自分は、まだ決めかねていた。そう、例の《会長の言葉》についてだ。
元々自分の学園生活の命綱ってやつは、既にあの胡散臭いハーフ会長に握られている状況。自分の生き死には会長次第。それは理解しているし、現状どーすることも出来ない事実ってやつだ。認めたくは無いが。だがしかし、そしてしかし、それはあくまで自分限定の話。そこにこの日傘を巻き込んでしまっていいものかどうか。あの会長の悪魔の囁きをそのまま鵜呑みにする事が、一体どれほど危険な行為だと言えるか。しかし、日傘の事だ。一度、自分が部活に入るなどと言い出せば、尻尾を振って追従してくるに違いない。日傘の《体質》ってやつが本当に変えられるのならば、藁にもすがりたい気分なのも事実だし、逆に余計な危険やトラブルに巻き込んじまう可能性も大いに高い。
さて、どーしたもんかね、こりゃ。
「うわ、うわわ。せいちゃん、本当にお顔が恐くなってるよ? そんな顔してちゃ良くないって思うよ。うんうん」
「… そんな恐い顔してたか?」
「うん。ピエーって感じで」
「どうせまた日傘ちゃんの事でも考えてたんでしょ? 羨ましいなぁ。愛されてるね、日傘ちゃん」
「つっこまねーぞ。その発言のどちらにもつっこまねーぞ」
まぁ、うじうじ考えていても仕方ない。会長サイドには、既にこっちの事情は知られちまってるんだ。もしヤヴァイ状況にでもなったら、自分で護ればいいだけだろ。そして、それよりなにより実際は既に…。
「まぁ、どのみち今は体験入部期間内だしな。行って見るだけ行ってみるか。日傘、一緒に来るか?」
そんな呼びかけに対して日傘は、何の疑いも何の苦労も無いような、すっとんきょーでストレスフリーな実に良い返事でこう言う。
「うんっ!」
全く、人の気も知らずに。
元々得体の知れない人物が部長を務める、得体の知れない部活動。そもそも自分が勧誘された理由も謎だし、どこで活動を行う、どんな活動を行う部活なのかも不明。部活紹介の時にも1ミリたりとも紹介されることのなかった、そんな部活である。入る入らないはもとより、どこに行けばその現場に遭遇できるのか。
生徒会室のドアを閉めながら、そんなことを考えつつ小さく溜息を吐く。「会長なら居ませんよ。どこに居るかも把握していません」唯一の手掛かりであった生徒会長と言うワードを頼りに立ち寄った生徒会室。だが、生徒会長というワードを口にした途端、役員らしき女性にピシャリとそう言い放たれてしまった。それはもうくい気味に。反射とか、脊髄反射とかそう言ったレベルの速度で。その返答を聞いただけでも、この会長がまともな会長ではないということは一目瞭然だった。そんなの、あの時点で分かりきってた事ではあるが。
しかし、これで手掛かりは無くなった。先ほどから、路行く上級生らしき人物たちに手当たり次第に会長の行方を聞いて回っているのだが、反応はいずれも同じ。生徒会役員同様、誰もが食い組みに知らんと吐き捨て逃げるように立ち去るばかり。
「おいおいおい。探し回ってただけですっかり暗くなっちまったじゃねーか。いい加減にしてくれよあのエセ生徒会長」
問題。別段会いたくない時には向こうからわざわざやってくるくせに、此方から会おうとすると全くもって出会う事すら出来ないモノ、なぁーんだ。答えは、シオン会長。いぇーい!
「って、分かるかよっ!!!」
「どっ、どーしたの!? せいちゃん。お顔がMAXピエーになってるよ?」
MAXピエーって何だよ。そもそもピエーってなんなんだよ。などと突っこみを入れる気力すらも既に残っていない。疲労困憊。心身ともに。そろそろ夕飯の時間になるし。この辺りでお開きってところだな… あぁ、実に虚しい放課後だった。
「おい、日傘。付き合わせて悪かったな、どーやら今日は無駄足だったみたいさ」
「ほへへほ? そうなの? でもでも私、楽しかったよ? せいちゃんと一緒にぐるぐる探検出来て」
「… あっそう」
我らがお姫様がお気に召してくれたんなら、まぁ、あながち無駄な時間ってわけでも無かった、のか?
「うんうん。そーだよっ」
「とにかくだなっ、今日はこれでお開きだ。続きはまた今度。夕飯時だし、日傘も一端女子寮に戻れ。お前のルームメイトも心配してるかもしれねーし」
「うん! ぶちょーさん、待ってるかなぁ」
…………。
何故だろう。今の日傘の発言。妙にひっかかるってか、堪らなく嫌な感じがするというか。イヤ、むしろ嫌な予感しかしない。
「日傘よ。聞きそびれてたけど… そういえば、お前のルームメイトって上級生なんだっけか?」
「うん」
「3年なんだっけか?」
「うん!」
「その人、どっかの部の部長なのか?」
「うん!!」
「まさか、外人ってか、ハーフだったりする?」
「ぴんぽんぴんぽ~ん♪ せいちゃんってエスパーなの? 超能力者?」
は、はははっ、はははははっはは。ヒャハハハッハハハハハハ。あーあ、面白い。そいつは面白いぜ。ここ数年で一番笑えるギャグだ。まさかこいつにこんなギャグセンスがあったとは、ここにきて新発見だな。
「あのねあのね、お名前は」
「イヤ、いい。それ以上言うな。むしろ言うな」
流石は会長… イヤ、部長だ。学園に入学してから早一週間。やけに大人しいと思ったら既に全部終わってたってわけか。囲い込みは終わってたってわけか。笑える。勿論、自分の間抜けさにだ。
だが、だったら話は早い。生憎、うじうじ待ってるのは性に合わないもんでね。そうと決まればこちらから攻め入ってやる。奴のフィールド、奴の懐ってやつに。
「なぁ、日傘。明日、お前の部屋にお邪魔してもいーか?」
「うん!!! やふーい、もちのろんだよっ」
日傘は、今日一番の笑顔でそう言った後、途中で三回ずっこけながら女子寮の自室へと戻って行った。
明日は休日。天気も良好。決着をつけるにはもってこいの日和。
さぁ、準備はいいか? 自分は… 出来てない。またあの強烈キャラと対峙しなきゃなんねーのかと思うと。正直、気が重いぜ。
◆
当然の話だが。
性欲を全開に持て余した思春期真っ只中の、一男子高校生が、女子寮に侵入するなんて言語道断。ありえるなんてありえない。そう言ったレベルの世迷言。途中、先生或いは寮長にでも見つかろうもんなら、問答無用で何らかのペナルティを課される事請け合いである。
だからこそ、ただ単に幼馴染の部屋に遊びに行くという、一見どこかあまずっぱい響きを持ったそんな行為にも綿密なる計画が必要となるのだ。そう… それが、普通の一男子高校生だったら。そして、生憎悲しいかなどうやら自分は、幸か不幸か、その普通の一男子高校生のカテゴリーには収まっていない。かと言って出来ない事は自分にも出来ないし、出来る事は出来るし。とどのつまり、女子寮に侵入することくらい、幼馴染の待つ3Fの角部屋に侵入することくらい、造作も無いという話だ。こんな事に力を使うのは若干気が引けるが、結果的に見ればこれも日傘を護る事の一環だと思う事にする。
さ、そうと決まればとっとと行きますかね。
「あっ、せいちゃん。おはよっ」
日傘は、ベランダの窓枠に張り付いて中を凝視していた此方の姿を目ざとく発見し、ニコニコ顔で中へと迎えいれてくれた。
女子寮の3F。これくらいの高さなら、ふわりとベランダから中へ入る事くらい、全く問題なし。まぁ、こんなところから進入する自分も自分だが、その過程を目撃されていないとはいえ、こんなところから入ってくる幼馴染に対して何の疑問も抱いていない日傘も日傘だ。警戒心が無いっつーか、純真つーか単純つーか。何時もの事だし考え出したら切が無いので一旦捨て置くが。
「よう、起きてたか。まだ寝てるかと思ってた」
「失礼、失礼だよせいちゃん。私だっていつまでもあの頃の私じゃないんだよ」
あの頃って、一体どの頃の事だろうか。むしろ入学して一週間で、何かが変わったとはとても思えねーが。
「あっそう。ついこの間まで幼馴染に起こしてもらってたのはどこのどいつだったかねぇ」
「せいちゃん、誠意って何かな?」
「宗教用語だろ?」
そんな、これまで何十回何百回何千回と繰り返してきたであろう実に下らない会話の応酬をしていたせいだろう。よーするに、すっかり気が緩んじまってたんだ。この自分ともあろうものが。これこそ、日傘の日傘による日傘の持つスペックが一つ、ゆるゆる空間なのだが。今はそれより背後の人物。
「ゴホン。君達、いちゃこらするのは一行に構わないが時と場所はわきまえてくれ給えヨ」
「し、してねーし。いちゃこら何てしてねーし」
「ねーねーせいちゃん。イチャコラだっていちゃこら。イチャコラってなにかな、お菓子かな」
相変らずの日傘を無視して、その背後に佇むとある金髪ハーフに目を向ける。ああ、そうか。やっぱりな、だろうと思った。
「ふむ。一先ず言わせて貰うゾ、少年…… ウェーーールカーーーム★ とナ。ハッハッハー」
「日傘のルームメイトって、やっぱりあんたですか。シオン生徒会長」
「ノンノン。ワタシの事は、《会長》ではなく、《部長》と呼んで欲しい。そう、生徒会長であるこのワタシを部長と呼べるのは、部員だけの特権なのだからネ。部員だけに、ブーイングは受け付けないぞ。ナンチャッテ。ハッハッハーw」
大げさなジェスチャーと大げさな言い回し。なんつーか、やっぱりノリとか気質そのものが日本人とは違う。そんなハーフ《会長》と対峙して、今自分に出来る事、自分がしなきゃならねーこと。それは勿論。
「いいや、会長。まだ、あんたの部とやらに入るとは一言も言ってないぜ。なんせこっちはあの時、分かったとは言ったが、入部するとは言ってないだからな」
屁理屈? 違う。断じて否だ。自分はただ納得したいだけ。あの時は半ば脅されていたようなもの。この学園に入学を果たした以上、どんな事にせよ、自分で納得して決断していきたい。誰の意思でもなく、この自分自身の意思で。ただ、それだけの話。
「ほぅ? 君も存外諦めが悪いナ。とはいえ、こうして単身ワタシの元へと乗り込んでくるその心意気や良し。イイダロウ。その気概に免じて、君に更なる理由をくれてヤルw」
「はぁ? 理由? 別段欲しくもねーんですが」
「でもでも、せいちゃんとぶちょーさんが知り合いだったなんて、何だか奇遇だねぇ」
会長が、ニヤリと笑みを浮かべる。悪魔のような、天使の笑顔。否。天使のような、悪魔の笑顔を。
「seeing is believing 百聞は一見にしかず。恩羽くん。あの分らず屋に教えてやり給え。君のとっておき★」
「はーい、ぶちょーさん」
ゾワゾワゾワと、思わずそんな擬音が聞こえてきそうな。背筋も凍りつくような氷点下。今世紀一番の寒気。悪寒。嫌な予感。我が第六感が全力で告げている。これ以上、ここにいてはならない、と。
「えへ、えへへ。驚かないでね、せいちゃん。実は私、 《ちょーのーりょくしゃ》 だったのです」
何だ、そんな事かよ。
ったく、いちいち驚かせるんじゃないっつーの。こっちはてっきり自分が超能力者だと日傘にばれたかと思ったぜ。全く、何かと思えば、逆に日傘が超能力者?
ハハッ、そんなの在り得る訳が… はあああああああああああああああああああああああああああ!?