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原作厨に怒られたので、悪役令嬢をやってやろうと思います

作者: 井上さん
掲載日:2026/08/25

名前借りました


フィクションです

 私、クーロン・ラジアンは、悪役令嬢に転生した事に気付いた。




 小説の、ヒロインをいじめて、婚約破棄されて、両親に北の修道院に入れられ、寒さに凍えて死ぬ悪役令嬢だ。


 

 死にたくない…

寒いのは嫌だ…



だいたい、婚約者が浮気したのが悪いんだし、婚約者のいる男と親しくするヒロインが悪い。


「婚約者のいる殿方と、必要以上に親しくしてはいけませんわ!」


 とヒロインに言っただけで、いじめだと言われてもね。




 処罰されないようにひっそりと真面目に暮らしていたら、ある日、学園の廊下で知らない令嬢に怒鳴られた。



「あんた!原作通りにやりなさいよ!!」


 いや、あんた誰だよ?


小説に出てきたっけ?分からんな。モブか?


 原作通りに…って…断罪されるのが分かっているのに!?

私に死ねって事!?



…ならば、とことん悪役令嬢やってやるわ!



 夕陽が射し込む学園の廊下で、私は1人、決意した。






 私の婚約者ヘンリーと、腕を組んで学園の廊下を歩くヒロインのファラド。


「婚約者のいる殿方と、必要以上に親しくしてはいけませんわ!」


 どうかしら?悪役令嬢っぽく振る舞えたかしら?


「うるさい!お前は黙ってろ!」


 ヘンリーが言った。


お前こそ黙ってろ。この浮気男め。


「将来を考えないといけませんわね」


 浮気男はいらないわ。私は2人を置いて、歩き出した。


 遠くに、満足そうに頷くモブがいた。


お前は監督かプロデューサーなのか?






「あら貴女、こんな問題も分からないの?」


 私は、教室で居残り勉強しているヒロインにイチャモンをつけた。


ネチネチ迫る姿は、悪役令嬢っぽいのでは?


「こうして、こうして、こうよ!」


 回答をノートに書いてやった。


「分かりやすい!」


 ヒロインは感激していた。

こんな基礎も分からないなんて、家庭教師は何をしていたの?


「あの…私にも教えてください!」


 他の令嬢達も寄って来た。


「よろしくてよ」


 ヒロインを囲みながらの勉強会が始まった。






「あら貴女、醜いわね」


 ヒロインは、ノーメイクでピンク色の髪もボサボサだった。


…おっかしいな?ヒロインだよね?

勉強についていくのがやっとで、身だしなみまで手が回らないのか?


「私の侍女のメイクを喰らいやがれ!」


 私はヒロインに、連れていた侍女兼クラスメイトを押し付けた。


数分後。


「これが…私…!?」


 鏡を見て驚くヒロイン。


「私にもお願いします!」


 他の令嬢達も寄って来た。


「よろしくてよ」


 侍女に、お金を掛けなくてもできる美容法やメイク法などを教えさせた。


美容に必要なのは…


…食事と睡眠!!






「あ〜ら、刺繍もできないんですの?」


 今日も悪役令嬢っぷりは絶好調である。


「私…不器用で…」


 ヒロインよ…その呪いのマークみたいな刺繍は何かしら?


…え?薔薇?


「反復練習ですわ!」


 ヒロインを囲んでの刺繍会が始まった。






「あら貴女、カーテシーもできないの?」


 ヒロインは元平民の男爵令嬢。

そこまで教育できてないの?貴族令嬢として大丈夫なの!?

 貴族教育の基礎は、学園入学前の家庭教師の仕事よ!


 基礎こそ到達点。


「すみません…」

 

「体幹がなってないわ!私が鍛えてさしあげますわ!」


 私はヒロインの特訓を始めた。


レッグランジである。分からなかったらググってね。


 体幹の鍛錬である。勿論、普段から私もやってるわ。




「ぴぇ~!」


 ヒロインが泣いた。他の令嬢達も泣きそうだ。


足、痛いよね。


「ファラドを虐めるな!」


 ヘンリーが怒鳴り込んできた。


ちょ待てよ。お前、どっから湧いてきた!?


「ちょっと黙っててください!!」


 私を睨むヘンリーに、ヒロインが言った。


「え…?」


 ヒロインに怒られて、ヘンリーは訳が分からない、という顔をした。


「今、鍛錬中なんです!邪魔しないでください!」


 他の令嬢達も言った。


「え?え?」


 ヘンリーは、オドオドしながら令嬢達の顔を見回した。怒った令嬢の集団は恐ろしい。


「甘い事を言う人間は為にならないわ!」


 私が言うと、ヒロインと令嬢達は


「「「はい!」」」


 と、元気良く返事した。


「こんなの虐めだ!」


 懲りずに言うヘンリー。


「私に淑女になるなって言ってるんですか!?」


 ヒロインがヘンリーを睨んだ。


「え?」


 ヘンリーが動揺している。


「今、淑女になる為の特訓中なんです!私、学園を卒業できなければ、お父様より年上の商人に嫁がないといけないんで必死なんです!」


 ヒロインは、借金のカタに売られる予定らしい。その為に、養子にさせられたんだとか。


「え?」


 ヘンリーは、きょとんとした。


「それともヘンリー様が我が家の借金を肩代わりしてくれるんですか!?」


 ヒロイン、強いなぁ…


「しゃ…借金…?」


「借金です!」


 ヘンリーの言葉にヒロインが頷く。


「私がラジアン家を継いだら妻として迎え入れるから…」


 ヘンリーが言った。


「ラジアン家を継ぐのはクーロン様ですよ?」


「貴方婿入りですよね?」


「お家乗っ取り!?」


 ヒロインと令嬢達に詰められるヘンリー。


「え?え?」




 ヘンリーは、深く考えずに発した言葉で、お家乗っ取りを疑われ、投獄されたのだった。

 血筋を大切にする我が国の貴族のお家乗っ取りは、重罪なのだ。


勿論、ヘンリーとの婚約は、ヘンリー有責で破棄され、慰謝料ももらった。




 一方ヒロインは、成績が上がり、文官採用試験を受け、学園卒業後は文官になる事が決まった。


 借金は、私が肩代わりしているから、商人への嫁入りは禁止している。

ヒロインの親よ、きちんと借金を私に返せよ。


 それから、ヒロインは成績が優秀になったので、伯爵家から婚約の打診が来て、卒業前に無事に婚約した。

 婚約者が将来、伯爵位を継ぐまでは、文官として実績を積む事になっている。




「クーロン様のお陰です!ありがとうございます!」


 ヒロイン…もとい、ファラドが言った。


「よくがんばりましたわファラド。文官になっても努力を怠らないように」

 

「はい!」






 悪役令嬢をやるとは言ったが、その後のフォローをしないとは言っていない。


 婚約者と微笑み合う幸せそうなヒロインを見て、私は不敵に笑った。




 ちなみに私も、浮気しない成績優秀な婿殿をゲットした。


読んでいただきありがとうございます

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― 新着の感想 ―
(´・ω・)ん?あれ?読み落としたのかな? (´・ω・)怒鳴ってきたモブ令嬢はどこ行った?
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