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51-1 プッツン後に誘拐です

第四章は、和風要素が削られます。

海外旅行(意味深)ですので!

 そろそろ初冬のお祭りだね、という頃。

 水沫君がプッツンした。


「━━辞職します!!」


 あ、これ知ってる。

 数多のラノベで、有能過ぎる縁の下の力持ちとか、実はチートスキル持ちなのに虐げられてた子が、追放されたり自分から見限って遠くに行くヤツ。


 あ〜あ、ジィジやっちゃった。

 ……と、この時は千歳飴をぺろぺろしながら他人事のように眺めていた私。




 ━━翌日になった現在。




「何で姫様居んの!?」

「私がききたい!」


 移動中の乗合馬車の中。

 水沫君が絶望のあまり、四つん這いになって床をダァンッ!! と叩き、私はぷりぷり怒った。


 私は後で、学校から帰ってきた兄ちゃんと昨日のマリ●ー対決の決着をつけるつもりだったんだ。

 どうしてくれるの?

 ジッと見つめるが、水沫君は現状のヤバさに冷や汗ダラダラである。


「誘拐? え……これまごう事無き誘拐では?」


 もう顔色が青を通り越して白い。

 ちょっと可哀想になってきたかも……。


「とりま、じょうきょうせいり とか してみない?」

「姫様頭良い!」


 いや、普段の君なら真っ先に出た発想だよ。


「上司の無茶振りに耐え切れず辞表を叩きつけた俺、新しい就職先を求めてクソ田舎を飛び出したら、上司の溺愛してる孫娘が何故か旅行用鞄に入ってた。(←)今ここ! 駄目だ! どう転んでも上司への腹いせに孫娘を誘拐した下衆野郎になっちまう!」

「ぜんはん、長いラノベのタイトルみたいになったね。おちついて」


 本屋にあったら買いそうな興味をそそるタイトルだけど、うちの領地を『クソ田舎』は聞き捨てならねぇ。


「はい、深呼吸! すってー、はいてー、すってー、はいてー」

「スー、ハー。スー、ハー」

「あ、麦穂」

「キャアアアアアアアア!! 誠に申し訳ございませんでしたぁぁぁあああ!!」

「うそぴょん」


 土下座の体制のままの水沫君の口から、魂が出てきた。

 うんうん、しばらく力尽きてなさい。

 その間に、私はきちんと自分の状況を整理するから。






 兄ちゃんが初雷領で暮らすようになって早2週間と少し。

 実は兄ちゃん、こっちで暮らすの最初渋ってたみたいなんだよね。


 詳しくは教えてもらってないけれど、私達の母親がガチで精神殺られていて、我らが溝カスは向こうの使用人達を日々理不尽にクビにしてたりするらしい。


 そりゃ確かに、こっちに来るのは心苦しい。

 しかし、兄ちゃんは最近面倒臭い式神を使う妖に狙われている。

 誰かは、これまた私に隠してる。ジィジにだけ話したらしい。

 ……心当たり有るけどね。まぁ、今そこは置いておこう。

 ヤバい事になっている現世の家に関しては、ジィジが本邸のシッカリした部下を予め送ってるし、今回また追加でこっそり送ったから、使用人さん達の職場環境は一応クリア。クビになりそうな子はこっちに移動させるし、もうハラスメントで精神的に限界が近い子には慰謝料払って次の職場を斡旋してるって。

 これまでもやってたらしいけど、漏れがあったみたいだから、これでマシになると良いね。


 一番はあのカスを縊り殺す事だと思うんだけどな!

 ジィジ、何で甘い事してるかな……。


 母親に関しては、また追々企てるって。

 ……『企てる』って何か不穏な響きだけど、どう言う事なんだろ? 不思議。

七夜月は女の子ですが、殺意増し増し英才教育してるが孫馬鹿なジィジと、溺愛する周囲によって、5歳でも七五三をしました。


次の更新は1日お休み。

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