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47-1 千里眼的なアレです

「七! やっと会えたのじゃ……って圧怖ッ!? あと何じゃそのでっかい猫擬き!?」

「簪うるさい」

「ふ、不機嫌過ぎじゃろ……。その〜、実は妾、救助係なんじゃが、大人しく救助されてくれる気はあるかのぉ?」

「あ゛ァ?」

「不敬とかいうレベルじゃ無い返事が来るとは思わなんだ」


 あぁ、気が立ち過ぎてて態度が滅茶苦茶悪くなった。

 落ち着いて、簪の話を少し静かに聞き始める。

 どうやらこの術、鵺の十八番らしい。

 犯人は鵺かぁ……。

 簪はこの術が展開された時、偶然にも忘れ物を届けにきた小鞠さんと料亭の敷地の外に居たため、閉じ込められなかったらしい。


 そしてこんな事件が発生して直ぐ王都や初雷領に緊急連絡したそうだ。

 すると家の天才錬金術師がやってくれた。

 強制的に巻き込まれたお客さん達を術から解放してくれる錬金薬の精製と、此処でも使えるスマホの開発。生存者の位置まで分かる此処の地図のデータ化を。尚、過労の代償で今干物になってるらしい。

 帰ったら何か差し入れしよう。


 そして簪は小鞠さんと2人で、藤君達や中居さん達が避難させたお客さん達を、もう戻したらしい。

 後は私と兄ちゃんとプイプイ、群雨お兄さんとお見合い相手さん、あとジィジと阿万寧さんが残っているそうな。


「藤紫、凄かったぞ。お主と同等の強さの魔物擬き倒しとった」

「そんなのいたんだ」

「あぁ、どうやら術の範囲内にいる妖と同等の強さの奴が生まれる仕組みらしい」


 ……なるほど。

 て事は……もしかしなくても、あの出鱈目な紫陽花って……。


「今のところ、彩雲殿と同等の強さの魔物擬きに遭遇した者は居らんようじゃが、時間の問題じゃろうな」

「簪、ヒホー(悲報)。あっちゃってる。ちずデータちょうだい。兄ちゃんがしぬわ」

「よっしゃ持ってくのじゃ!」


 推しのピンチに、簪の動きはマッハだった。

 懐から予備のスマホを貸してくれた簪は、この後泣く泣く群雨さんの迎えに行った。


「本当は妾もそっちが良かったのじゃー!」

「ガンバ」


 そうして私たちは別れた。

 そして、






「プイプイ、みぎ」

みゃご(吾輩)みゃみ(まだ)ゃみゃ(走るの)!?」

「いそいで」


 言ってる側から消し飛ぶ通路右半分。

 プイプイが避けるの間に合って、ギリセーフ。


「な、七ちゃん、あんまり動物に無茶言うんはどうかと……」

「プイプイのにげあしは、かみがかってる! そんなにおいする」

みゃみゃみゃ(あってる)ごみゃ(けど)ごごみゃ(ニオイ)ごみゃー!?(って)


 私たちは今、絶賛鬼ごっこ中だ。

 兄ちゃんを羽根で作ったワイヤーで無理やりあの部屋から出して、私はそのままプイプイの上に乗せた。

 プイプイに、アッシー君やってもらうために。


「……七ちゃん」

「んー?」

「ごめんな、頼りない兄ちゃんで」

「きゅうにどうしたの?」


 確かにボロボロだけど、アレと一対一でやり合ってまだ生き残ってるじゃん。

 何言ってんの?

 謝るならもっと別の事謝って!


「七ちゃんが、もうアレと戦わんで良えようにしたかった……けど俺は━━」

「私、そんなことじゃおこらないよ。もっと別のことでおこってる」


 真上を向いて兄ちゃんを睨むと、兄ちゃんは凄くキョトンとした表情だった。


「おわかれのことば! ああいうの言っちゃメッ!」

「いや……あれは結構ヤバいと思てね……」

「ドロをすすっても生に しがみつくこと だけは あきらめないの!!」

「何このカッコ良すぎる子!?」


 貴方の妹です。

 6秒数えて、ちょっと熱くなっちゃった頭を冷やす。

 うんうん、良い感じ。


「兄ちゃんは、ホンキでしがみついとかなきゃ。……いいの? うちのおやしき、イケメンおおいから兄ちゃんのポジションとられるよ?」


 多分その場合、真っ先にお兄ちゃんポジになるのは水沫君だね。

 藤君は嫁だから。

 ん? 兄ちゃん固まってる?


「ヒャハハハハハハハハ!!」

「兄ちゃん、ひだりからくるよ」


 後ろを見て、私は数秒(・・)先に(・・)起こる事を伝えた。

 すると兄ちゃんは、術で左から来た腐蝕の影を弾き飛ばした。

 いや、なんか今までで一番早い動きだったな!


「━━せやな。軽い気持ちで死ねんな」


 うわーい、何故か良い感じの低音ボイスだぁ。

 ごちそうさまでーす。 ((ガタブル


「こんな幾億年に1人の美幼女の兄ポジなんて、血で血を洗う仁義なきバトルロワイヤルしてでも奪うわな……」


 どこのディストピアだよ。


「しかも千里眼まで目覚めたハイジュエリークラスダイヤモンドガールやし」

「そんな女子のカテゴリーはじめてきいた」


 ポロっと口からツッコミじみた感想が漏れると、兄ちゃんが頭を撫で撫でし始めた。


 兄ちゃんが言った通り、今生の別れとしか思えないあの言葉が気に食わず、私の目はとうとう『普通に良い』というレベルを超えた。

 今までも何回か無意識で使ってたね。

 ちょっと未来が見えるアレね。

 ……うーん、でもなぁ。


「これ、せんりがんとはチガウきがする……」

「そうなん?」


 あ、声と雰囲気戻った。良かった。


「ん! なんかもうちょっと……いろいろみえない」

「難しいねぇ?」

「ん……あ、プイプイとんで。あしなくなる」

みゃごぉ(怖いぃ)!!」


 廊下の十字路でプイプイが跳べば、横から来た謎の刃物が、後ろから迫り来る紫陽花の女の両足を切断した。

 わぁ、血液にも腐蝕効果があるんだ。

 廊下が煙上げてる。


「なぁ、この術が鵺のもんとか、姫さんが今頑張ってる件は聞いたけど……俺等、何処向かってるん?」


 おや、兄ちゃんは化け物殺しのセオリーをご存知ないらしい。


「ふっふっふー。しかたないなー、兄ちゃんは!」

「何で上から目線? 可愛いけど……」

「あ、プイプイいったんとまって」

「みゃ?」


 横にショートカット出来るルートが有るから、有り難く使わせてもらおう。

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