41-1 もうコイツは巨大な猫です
(萌芽視点)
みゃごみゃごみゃご……コホンッ!
吾輩は鵺である。名前は萌芽。
断じて馬鹿デカいマヌルネコでは無い。
「萌芽お祖父様……どうしましょう?」
始まりは、今にも入水しそうなくらい落ち込んだ推し孫(※正確には玄孫)、阿万寧タソの言葉だった。
カーーーーッツ!!
どぅぁあああれじゃ吾輩の推しにこんな顔をさせる馬鹿モンはぁぁぁああ!!
聞けば、群雨君が見合いをするらしい。
何ソレ吾輩聞いてない。
当主なのに。
阿万寧タソも見合いをするらしい。
いやだからソレ吾輩聞いてない。
当主なのに。当主なのに!! (重要なので2回言う)
しかも阿万寧タソの相手は、天狗の倅らしい。
ふむふむ。彩雲君の孫……え? 親戚になるの? あんな怖い子と? 吾輩、彩雲君怖いんじゃけど??
「みゃごみゃご、みゃごみゃごみゃごみゃ」
「お祖父様……、そうですわよね。政略結婚は、名家に生まれた娘の定め」
阿万寧タソ!?
吾輩の言い分とと噛み合ってないぞ!?
いやよく有る事じゃが、阿万寧タソはまだ話の通じる子じゃったのに何故今誤訳になるんじゃ!?
「姫様お時間です」
いつの間にか、阿万寧タソの侍女が後ろに居た。
はて今日は休日。ゆっくり出来る日じゃった筈じゃが?
「すぐに向かうわ」
立ち上がる阿万寧タソ。
待って待って、嫌な予感。
当たったら急転回が過ぎる。
「ではお祖父様、お見合いに早速行って参ります」
おいいぃぃぃい!? やっぱ今からなの? 早すぎよ!!
「みゃごみゃご! みゃみゃごみゃ!」
「お祖父様?」
「みゃごみゃごみゃご」
暫し見つめ合う吾輩達。
阿万寧タソは、このつぶらな瞳の意味を解さん子では無い!
「ご安心くださいませ。立派に勤めを果たしてみせます」
あらまぁ、素敵な天使の笑み。
……解さん子じゃったぁぁぁああ!
裏切りじゃああああ!
後そういうの良いからぁぁああ!
「今度こそ、行って参ります。お祖父様に可愛がられた恩に報いる為にも、良いお話を持ち帰りますわ」
あ、阿万寧タソォォオオオ!!
吾輩の叫びが虚しく響くだけで、阿万寧タソ家を出てしもうた。
いいいいいいイカァァアアン!!
このままでは彩雲君と親戚になってしまう!
初対面で安倍晴明とドンパチして京の都を火の海にした彩雲君と……っ!
お嫁ちゃんの為に、真祖とかいう西洋妖のトップを瞬殺した彩雲君と!
近頃は大人しいなと思った矢先に、単騎で龍の一族を壊滅寸前に追いやった彩雲君とッ!!
キャアアアアアア!! 無理じゃぁぁあああ!!
何故か世間では吾輩が彩雲君鍛えたとかいうデマが流れてるが、吾輩そんな事した覚え無いんじゃあああ!!
子どもの頃はまだ吹けば飛ぶくらい弱っちくて可愛かったから、ちょっとママさん達が忙しい時に見守ってただけなんじゃ。
だから恩師だとか言われて仲良いと思われとるけど、別に良く無い。
吾輩は全力で避けてるつもりなんじゃ。
ハッ!! 吾輩、とんでも無い事に気が付いてしまった。
このままじゃと、群雨君が戻って来ない!
吾輩が唯一弟子にしたいと我儘言って弟子にしたスーパー出来る子!
阿万寧タソと夫婦まで秒読みやんっちゅーかもう夫婦やん、と言いたくなる程のベストカップル。
吾輩の行動パターンを熟知しており、吾輩の味覚の好き嫌いも一番よく分かっている。しかも吾輩のブラッシングとシャンプーが一番上手いのがもうスキスキ♡
末姫様が害されて以来、柊恩寺家の仕事が一気に増えて一時帰省をさせている愛弟子……が、永遠に帰って来ない。
「みゃごみゃあああああああ!!」
吾輩は、スマホを首に掛けると、屋敷を飛び出した。
女中の子達を「大旦那様!?」と驚かせてしもうたが、すまん。お土産買って帰るから許してっちょ。
向かうは銀河鉄道の駅。隣の領地じゃが、吾輩の足なら30分もかからん。
手続き? 吾輩、常世に生息する固有種と思われがちじゃから、面倒な事は時々スルー出来るのじゃ。
(※出来る愛弟子が、いつも密かにフォローしてます)
ふい〜、銀河鉄道がタッチレス決済採用してくれていて助かったぞい。
吾輩の肉球ハンドでは、現金が出せんのじゃ。
ジィジは過去に色々やらかしてるし、「みゃごみゃごみゃー」の完全理解は、人類には早過ぎた。




