表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/76

27-1 龍の兄弟です

 生贄騒動に関わっていた社家の当主やその息子、近しい分家。そして使用人達は、言わずもがな死刑だろう。今は水沫君特製の劇薬レベルの睡眠薬で全員牢屋でお眠だけれど、明日首都から捕方衆に引き渡すらしい。


 近衛兵とか居るファンタジー世界なら騎士団の出番じゃないの? って、漫画読んでた時も思ったけど、違うらしい。常世の騎士団の主な仕事は、国の防衛、戦時の正規軍、王族の護衛で、犯罪捜査や捕縛は捕方衆の領分だ。人間側で言うなら騎士団は自衛隊・軍隊・皇宮警察で、捕方衆は警察・検察・裁判執行官だ。


 という話を今、私は髪を洗ってもらいながら聞いていた。

 現在地、社家の広い露天風呂。洗ってくれているのは水沫君だ。シャンプーが何故か上手いのだ。そして泊まりになるとは思わなかったので、お風呂のお供(アヒルさん)を作ってもらう為でもある。

 ……一回卒業した身ですが何か? ジィジに抱っこをせがんでいる時点で察して欲しい。所々、心はお子ちゃまに戻っている。

 今更彼の名誉を守る必要性は特に感じないけれど、一応言っておく。事案では無い。


(ガガガッ……ギャアア!)


「ほい姫様、シャンプー流すから目ェ閉じてくださーい」

「おっけー、なんもみえない」


 目を閉じて、更に両手で目を隠してからバシャーっと上からお湯をかけてもらう。


 水沫君とお風呂でバッタリは、週一くらいで起きるイベントだ。鞍馬邸のお風呂は源泉掛け流しの大きなお風呂だ。しかも、男湯・女湯・モフモフと両性湯(混浴ともいう)の全てが。

 まだ幼児のため、すっぽんぽんを(赤ちゃん期、)見られても(オムツ交換で)羞恥心など(羞恥心が)微塵も感じない(死んだともいう)私は、女エリアだけでなく混浴も使いまくっているのだ。混浴は露天だし、カピパラ(型の妖)も時々居るしね!


(ゆるして! ゆるして! ……ゴッ)


 そして私が出没する事など全く知らなかった水沫君と、近年鉢合わせが始まったのである。ラッキースケベで女湯に来ちゃった時は、流石に他の女の子達が可哀想だったから目潰して去勢もしたけど(※適切な処置で元に戻ってます)、混浴では水沫君には髪を洗って貰い、私は背中をゴシゴシ洗ってあげる仲だ。


「ひるがおさん、よろこんでたね」

「眠り姫かましてるだけで次の女当主ですからねぇ」


 社 昼顔さんは、事情は知っていたけれども投薬されていたし、被害者だったし、情状酌量の余地有りと言う事で、暫くの間捕方衆と話し合いはするけれど、父親もお兄さんも捕まった今、女当主として霧ノ香地区を任される事が決まっている。

 普通の箱入りお嬢さんだったら途方に暮れたかもしれないけれど、野心あるタイプのお嬢さんだったらしい。「よっしゃー!」と、ガッツポーズで喜んでいた。


(ドドドドドッ……誰かー!!)


 カポーンと、湯船に浸かってまったりし始める。ハッ! アヒル!


「水沫君、アヒルさん」

「あー、もう3分だけ待ってもらえます?」


 オッサンみたいな声出してる……よっぽど疲れたんだね。


「いいよ」


(ギアアアアア!!)


「……さっきからうるさくない?」


 破壊音と悲鳴が絶えない。折角気持ちいお風呂なのに。


「あぁ、麦姐さんが昼顔ボコってるんですよ。何でも昔、ラブコメ主人公みたいな男をブッ殺そうとした時、まだ投薬で物事の善悪分かってなかった昼顔に邪魔されたそうで……リベンジだそうです」


 すっごい気になるなその話……絶対に今度聞こう。


「ひ・め・さ・まぁ〜♡ 私も、一緒にお風呂に浸かりた…………はあ゛?」


 水玉模様の可愛いタオルを持ったメイシーが、隣の水沫君を見て殺し屋みたいな顔をした。

 と、ほぼ同時に、露天風呂を覆っていた壁が壊れた。

 そんなベタな展開ある?


「立て社 昼顔。貴様の先祖の拘束は、そんなモノじゃ無かったぞ?」

「腹立つけど曾祖父(クソジジイ)と一緒にしないでよ! 私はアンタと違って戦闘特化型じゃ無いのよ!」


 麦穂の殺気もヤバい。ボロボロではあるけれど、アレから3分以上(たぶん)逃げてる昼顔さんは十分凄いと思うよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ