2-2 成長します
━━━━4年後。
「では姫様、試験です」
「あい!」
問1.世界は三つに分かれている。各々の名前を答え、また天狗が属する世界を答えよ。
答え( 常世、現世、異界)
答え(常世、現世)
問2.日本で共存している3種族を答えよ。
答え( 人族、精霊族、妖族 )
問3.問2の種族名を2つ以上用いて、天狗とは何か答えよ。
答え
(妖に属する有翼種。神通力が使え、必要に応じて翼を出す。人族と外見は同じ。現頭領はカス。)
問4.天狗の大事な仕事は何か答えよ。
(魔族ブチ殺すべし。)
「…………」←無表情
「…………」←ドキドキ
「…………」←ニコッ
「!」
「100点満点! 花丸でーす!」
「やったー!」
先生に花丸をもらった私は勢いのまま部屋を出て行こうとした。
そう、実際は出ていけなかった。
「姫様、お館様がお呼びです」
「えー? ジィジとは、昨日あそんであげたよ?」
人の味を覚えてしまった魔物達の首をひたすら撥ね飛ばす遊びを。
「頭領が妙な動きを最近しているようでして、ソレ関連かと」
「すてたくせに、ちちおや面ウザッ!」
「激しく同意です」
頬を膨らませながら、祖父の部屋に向かう。
人と妖、精霊が共存している日本。と言っても、それは天狗の勝手な認識だったりする。基本的に普通の大半の人間とは持ちつ持たれつという感じだが、残り少数━━陰陽師や神職の人間とは、何気にバチバチしてる。精霊はそもそも言葉を交わせないので、どう思っているのか不明。
そんな歪な世界の、常世では高い地位にある天狗の長の娘として生を受けた私は、理由は不明だが、生まれてすぐ落伍者扱いされた。そうして常世最南東の領地で暮らす祖父、彩雲の元で絶賛すくすく育てられているところである。
南東領━━初雷は、魔族や魔物達が住む異界と、常世を断絶する結界が薄い。そのため、気候も穏やかで実りは豊かだが、他領に比べて争いが多い。
そのおかげで、座学だけで無く神通力の修行もメキメキ捗っていて、その内人間との戦争に巻き込まれるだろう私としては、非常に都合が良い生活環境なのだが、
「阿保息子が、どうやらお前さんを現世に呼び戻したいらしい。一時的ににだがな」
今、その生活が脅かされている。
「やだ」
「だろうなぁ」
祖父の部屋で、もちもちと大福を頬張りながらハッキリ主張する。
「でも理由がなぁ……」
「なに?」
「御前試合に出よとの事だ」
「いみふ」
御前試合。
妖の名家同士が、話し合いではどうしようも無く、血を流さなければならないほど揉めた時か、暇を持て余した王族の道楽で開催される戦いである。
後者であれば、死人は出ないが、前者だとマジで、どっちか死ぬまでやらないといけない。
「今回はマジの決闘だ」
前者かよ……。




