71-1 不意打は正義です
今回は、ただただショタっ子が可哀想(笑)なお話です。
━━四日前。
美少年を公開魔法少女化させた後。或いは水沫君達が突撃してくる直前。
「ぐすん、も……戻してください。これ僕一人じゃ脱げ無いです。なんで……?」
「フリフリにあってるよ」
「うわぁあん!」
女の子座りで滅茶苦茶泣く魔法少女に変身させたての美少年。
彼は自棄に加虐心を煽るのが上手かった。
「少年よ、安心したまえ。合言葉を言えば変身は解除される」
「合言葉?」
「ああ、まず『解除コード』と言いなさい」
「はい、『解除コード』……え」
アル博士の言葉に従った彼は、目を見開いて硬直した。
私には見え無いけれど、彼の目の前にはよくファンタジーで「ステータスオープン!」とか唱えた際に出てくる半透明の画面が現れているらしい。
そこに解除コードが見やすい文字で書かれているみたいなんだけど……。
「ほ……本当にコレを言わ無いと駄目なんですか?」
一旦引っ込んだ涙が再び溢れて金の瞳がウルウルしてる。耳まで真っ赤。
これ、絶対恥ずかしいヤツだね。
「戻りたくないなら構わないよ? 服を着たまま風呂に入る事になるだろうけどねェ!!」
「ふえええぇぇええん!」
「さぁさぁさぁ! 読み上げるが良い!」
「えぐ……ふぇ……ら………ぅ!」
泣いたまま何かを頑張って言おうとする美少年。
しかし、残念な事に何を言っているのかさっぱり分からない。
「聞こえないなぁ!?」
「さっ、『さよなら私のキラキラ時間! 明日の自分に引き継ぎ完了⭐︎ 今日も心はピュアラブキュート!』」
これは酷い。
いったい何年代の魔法少女の呪文だよ……。
「あぁ、忘れていた。ポーズも付けるように」
「 」 ←本気の絶句
この後、彼は両手でそりゃもう可愛いハートを作り、更には録音したくなる程のアニメ声(※おにゃのこ)で言い切った。
━━そして、今現在。
「ひゃあああああああああ!!」
抹消したい類の黒歴史が刺激されたらしい。
頭を抱えて真っ赤な顔で叫んでいた。
けれども、私の耳に入ってくる叫び声は、彼一人のものでは無い。
「ド畜生ぉぉおおおお!!」
「セイレーンの皮を被った悪魔めぇぇええええ!!」
「地獄に堕ちろーーーー!」
先にも言ったが、私の見える位置に他のギャラリーは居ない。
どれも、一筋か二筋遠くに居る受験者達の物だ。自分の解除コードに、怒り心頭。
あと、今更だけど博士は世にも珍しいセイレーンの雄個体だ。
『ふはははははははは! 浅はかな有象無象共よ! 恨むならば、私より愚かに生まれた己の極小脳味噌を恨み嘆きたまえぇええ!』
最低最悪の魔王みたいな台詞だけ吐き捨てて、アナウンスは終わってしまった。
酷ェ……。と、思ったのは一瞬だ。
頭を抱えて蹲ってる美少年にステッキを振い、私は彼をもう一度魔法少女にしたった。
「何でぇぇええええ!!」
「スキまみれだったから!」




