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69-1 猫とテロです

「んもう! シュシュ(・・・・)さん(・・)てば、バレちゃうでしょ!」

「にゃっ! にゃにゃっ!」

「はんせーしてる?」

「にゃにゃにゃにゃにゃ!」


 フリフリ テシテシ フリフリ テシテシ


「俺の額辺りでフワフワの玩具振るのと猫パンチのなり損ない止めてくれません!?」


 私を抱っこし、シュシュさんを頭に乗せながら飛ぶ水沫君が必死に叫ぶ。

 と、ビックリして手元が狂い、フリフリしていた羽根のおもちゃが諸に水沫君の鼻に当たった。そしてシュシュさんの爪が出っ放しの御御足が額に落ちて、ズルッと落ちないよう踏ん張った結果、額を引っ掻いた。


「んぎゃあッ」


 爪、痛かったんだ……。

 だがフリフリは止めない!


「にゃにゃにゃー!」

「あー!! 前見えねェえええ!!」


 普通の猫(※違う)と遊ぶの楽しいぃ!!


 ところで、そろそろ死んでたはずのシュシュさんが、猫になって此処に居る話をしよう。






 シュシュさんの目を閉じさせた水沫君は、暫くその場に佇んでいた。

 どんな言葉を掛けるべきか、そもそも掛けて良いものなのか分からない。


 こんな、完全にしてやられた経験が……私には無いからだ。


 刹那、彼女の遺体が━━ゆらり、と。

 蜃気楼のように揺れた気がした。


 私は目を擦って、そう見えた遺体の手をもう一度凝視する。

 やっぱりだ……揺れて見える。


「水沫君、て」


 私が言うと、水沫君も同じ場所を見て、その瞬間だった。甘い林檎の香りが室内を満たして、彼女の遺体が一瞬にして、足元から灰になって、ベッドの上で崩れた。

 声をあげる間も無く起こった衝撃的な絵面に、思わず息を呑む。だって、こんな死に方━━「にゃーん」


 猫の、鳴き声?


 声のした背後を振り返る。

 そこには、キジトラ柄の仔猫。


 ━━驚かせちゃいましたね、ごめんなさい!


 脳に直接語りかけてくる声は、聞き覚えがあって、仔猫は真っ直ぐ此方━━厳密には、水沫君の前に真っ直ぐ歩いてきた。


「シュシュ……?」


「にゃん」


 ━━はい! 猫妖(火車)じゃ無かったらゾッとする事になってたシュシュちゃんです!


「えーと……あ! そっか、猫系って九生か!」


 水沫君が手を叩く。


 ━━イエース! 8回は死んじゃってもリスポーン可です!


 猫妖ってそうなんだ……! ところで感動の再会の時に何だけれど、モフモフさせてくれないかなぁ??






 という訳で、次一匹にしたら残機0になるまで殺されかねないと踏んだ私達は、彼女と行動を共にする事にしたのだ。

 ……が、一つ問題があった。

 死んですぐって、復活に妖力を沢山使ったせいで猫妖は大分猫に近付くらしい。見た目は勿論、言動もだ。

 見た目は良いよ可愛いから。猫の言動? リラックス出来るお家の中とか最高だよね。


 忙しくしなきゃ行けない、命の危険もあるかもしれない所じゃ無きゃ、心の底からそう思います。


「えーっと先ずは此処か、東エリアの薬屋……たく、あのド腐れマッド……何でちゃんと罠の準備して無ェんだよ」


 言いながら、水沫君は小さな家が並ぶ地区の、屋根の尖り具合が魔女の帽子みたいな家の裏に降りた。

 今朝いきなり、アル博士が『罠を半分くらい仕掛け忘れてしまったよテヘペロ⭐︎』なんて言ったものだから、私達のお仕事が増えたのだ。

 他の受験者を見つけ次第魔法少女化して、藤君の作ってくれたのも使って、攻撃きたら防いだり逃げたりボコったりする。

 しかも、何気に私達の徘徊ルート決まってるんだよね。

 やる事も覚えておかなきゃいけない事も多い。

 頭の中ゴチャゴチャしそう!

 テレビ中継されるらしいのに、もしも目つきが悪く映ってたら9割これのせいだよ。


 なんて思っていたら、視線を感じた。

 後ろって壁じゃなか……ピッ!


 窓から、すっごいギョロ目のお婆ちゃんが凝視してるんですけど!

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