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54-2 外つ国の地底都市です

 魔女狩りに怯え、退魔師(エクソシスト)との小競り合いはあったけれども、それでも常世へ通じる道は守った。


「その結果、此処には人間━━正確には元人間が多いの。だから……うっかり喧嘩になっても、四肢切断とか胴体に風穴とかは絶対にNG! 貴女達みたいに治らないからね」


 生きた人間ベースで此方側の住人になった彼等は、どうやらとても脆いようだ。

 乃杏せんせも例外では無いらしい。

 彼女は人間から半不死者(イモータル)になって寿命は伸びたが、やっぱり欠損部は修復しないと言っていた。

 どこが無いのか聞いたら、髪で隠れてて気づかなかったけれど左耳が無かった。


「それと、ドワーフやエルフみたいな亜人も同じだからね」

「オッケー。私ネコかぶる」


 売られた喧嘩は全力で買う主義だが、殺人鬼になるつもりは無い。

 でもこの程度の話なら、別に個室でする必要も無い気が━━


「それから、特殊個体である事を絶対に隠し通してね」


 何で知ってるんだろう?


「天狗の姫君が水晶化する翼を持つ特殊個体って話は、少し知れ渡ってるのよね」


 何だろう……嫌な予感がする。


「これは妖がこの都市の出入り自由な事にも関係しているんだけれど……純粋な妖ってほら、普通に存在自体極東にしか居ないレア種族でしょ?」


 そう、私達が西洋の妖と定義している存在は、厳密には妖では無いらしい。

 専門家じゃ無いから詳しく語れないけれど、西洋の方の彼らはその違いが明白に分かっているようで、私達の事(東洋の妖)を『純粋な妖』と呼ぶ。


 あれ? 隣で紅茶を飲んでる水沫君の顔色が少し悪い。


「だいじょうぶ?」

「少し昔の事思い出しただけなんで……」

「水沫が来た時も、ちょっと騒動になったのよ。天狗なんて日本の常世から出る事が全然ってくらい無いから。私も会うまでは妖よりも神様に近い認識だったし」


 そして、本題はここからだった。


 人魚の血。

 不死鳥の灰。

 天馬の蹄。


 そう言った幻獣類の体の一部は、貴重な魔法道具や錬金薬を作る材料になる。


 そして……妖の体の一部も、その類なのだと。

 素材さんいくらでもウェルカムって事ね。

 ……妖が自由に出入り出来る理由、普通に胸糞案件でした。


「つまり私、めっちゃくちゃレアな素材?」

「その通りよ」


 成る程。成る程。

 そうだよね〜、羽根が破魔の効果高い水晶になって済むだけじゃ無いもんね。色んな武器なんかに変えられる不思議アイテムだもん。

 姫君の羽根を盗むなんて極刑を免れないから初雷では誰もしなかったし、基本私の羽根は私から離れると消える。

 けれど、もしその羽根を保管する技術があれば……何かの道具として加工しなくなって、既に使い勝手が良いのだ。

 間違い無く大変な事になる。


「うっかり翼が出るだけなら良いわ。水沫のお陰で、この都市に前から住んでる錬金術師達の天狗への知的好奇心はもう和らいでるからね」


 水沫君の顔色が悪かったのそれでか……。


「イケメンなマッドサイエンティスト達に揉みくちゃにされてる水沫は、見ていて楽しかったわ」


 何それkwsk!

 水沫君は線が細いからね、普通のハーレム主人公よりBLハーレム主人公の方が需要が有ると思うの!

 求む総受けシチュ!

 BLからしか得られない腐葉土を是非下さい!


「師匠、5歳児に変な事吹き込まないでください」

「えー」

「姫様が腐った扉を開いたら如何してくれるんすか?」


 ごめん、もう開き終わってるんだ。

 私、他人の薔薇とか百合とかはいける口の雑食なんだ。


「そうなの? その子からは既に開き終わってる雰囲気が出てるんだけど……?」


 乃杏せんせの腐レーダー優秀過ぎない!?


「ンな訳無ェでしょ。姫様が閲覧する本も漫画もゲームもアニメも全部麦穂姐さんの厳しい査定が入るんですから、そのコンテンツには生まれてこの方触れる機会が無いんだよ」


 そう、転生して5年。今世ではまだそっちの文化に触れていない。掠ったりはするけど。

 しかし、きっとその事が拍車を掛けたんだろう。

 時々ちょっと水沫君と話してるガタイの良いお兄さんとの掛け合いを目撃して妄想膨らませたり、最近では兄ちゃんとの掛け合いでご飯3倍分の妄想が捗ってしまう事がある。

 妄想くらいは許して下さい。


「んー? 変ねぇ?」


 首を傾げてやり過ごす私。

 いつかは貴腐人と呼ばれても構わないが、今はまだ可愛い幼女認定をされていたい。


「まぁ、そういう事にしておきましょうか」


 よし、やり過ごせたぜ。


「ところで師匠、やっぱ姫様は今回テスター無理だと思う」

「どうして?」

「実は━━」


 水沫君は私の翼がつい最近片方無くなり、漸く元に戻ってきたけれど、やはりまだ本調子では無い事を話した。


「それは……この都市に来たのは、ある意味運命だったかもしれないわね」


 どういう事だろうと思っていると、乃杏せんせがニコリと私に微笑みかけた。


「姫様が翼を出さずに今後暫くも何かあった時に戦えるよう、此処でなら装備を整えられるわ」


 そうび……装備!


「此処は錬金術と鍛治師の都、腕の良い職人は選り取り見取りよ」


 つまり、ついに私が自分の武器を手に入れられるって事だ!

 やったー!!

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