オープニング
(スタジオの照明がゆっくりと明るくなる。古い羊皮紙の地図や航海用コンパス、望遠鏡が壁面を装飾し、中央のコの字型テーブルには精巧な地球儀が置かれている。背景には威厳ある「歴史バトルロワイヤル」のロゴが輝いている)
あすか:(中央に颯爽と登場。冒険者風の上品なレザージャケットとブーツを身に着け、手には神秘的に光る「クロノス」タブレットを持っている)「皆さん、こんばんは。私は物語の声を聞く案内人、あすかです」(にっこりと微笑み、カメラに向かって軽く手を振る)
(クロノスタブレットを優雅に操作すると、背景に美しい世界地図が浮かび上がる)
あすか:「今宵は実に特別な夜となりそうです。時空を超えた特別なゲストをお迎えして、人類が永遠に追い求めてきたテーマ『冒険』について、とことん語り尽くしていただきます」(目を輝かせながら地球儀をそっと回す)
あすか:「冒険とは一体何なのでしょうか?」(少し考え込むような表情を見せ)「未知の世界への憧れでしょうか?それとも富と名声への渇望?はたまた国家や理想への献身?」(クロノスを操作し、様々な冒険の映像を背景に流す)
あすか:「本日は、それぞれ全く異なる時代、異なる動機で冒険に人生を賭けた4人の偉人にお集まりいただきました」(わくわくした表情で)「13世紀のヴェネツィアから、15世紀の中国から、20世紀のアメリカから、そして江戸時代の日本から...」
あすか:「果たして彼らの答えは一致するのでしょうか?それとも...」(意味深な笑みを浮かべながら)「まあ、これまでの『歴史バトルロワイヤル』をご覧の皆さんなら、簡単に一致しないことはお分かりでしょうね」(くすっと笑う)
あすか:「それでは、時の扉『スターゲート』より、我らがゲストをお迎えしましょう!」(クロノスを高く掲げると、ステージ左からスターゲートが神秘的な光を放ち始める)
あすか:「まずは、13世紀ヴェネツィアより...シルクロードを制覇した伝説の商人王!24年間東方に滞在し、『東方見聞録』で西欧世界を仰天させた男―」(ドラマチックに手を差し伸べる)「マルコ・ポーロさん!」
(スターゲートから眩い光と共に、豪華な商人の衣装を身に着けたマルコ・ポーロが登場。金糸の刺繍が施されたローブを翻し、自信に満ちた表情で歩を進める)
マルコ・ポーロ:「やあ、皆さん!」(右手を軽く上げて挨拶し、きょろきょろとスタジオを見回す)「これはまた、実に興味深い時代に来たものだ」(目を細めて微笑む)「このような『冒険談義』、きっと良い商売になりそうだね」(豪快に笑いながら、指定された席に向かう)
あすか:「早速商売の話ですか」(苦笑いしながら)「さすがマルコさんですね。では席にお着きください」
マルコ・ポーロ:「ああ、失礼。でも本当のことだよ」(椅子に座りながら周囲を見渡し)「こんな素晴らしいセット、きっと大勢の人が見ているんだろう?それなら私の話も価値が上がるというものだ」(ウィンクする)
あすか:「続いては、15世紀明朝より...史上最大の大艦隊を率いた海の覇者!7度の大航海で皇帝の威光を世界に知らしめた偉大なる提督―」(威厳を込めて)「鄭和将軍!」
(スターゲートから荘厳な軍装に身を包んだ鄭和が登場。背筋をぴんと伸ばし、堂々とした足取りでゆっくりと歩く。その存在感は圧倒的で、スタジオの空気が引き締まる)
鄭和:「皇帝陛下の恩寵により、この場に参上いたします」(深く一礼し、厳粛な表情を保つ)「冒険とは国家の威信をかけた神聖な使命。軽々しく語るものではありません」
マルコ・ポーロ:「おお、これはまた堂々とした...」(感心したような声で)「将軍殿、お国はどちらで?」
鄭和:「明朝に仕える身です」(マルコに視線を向け)「あなたは西方の商人とお見受けしますが...」
マルコ・ポーロ:「ヴェネツィアのマルコ・ポーロです。実は私、あなたの国には大変お世話になりました」(にこやかに)「クビライ・ハンの宮廷で17年ほど...」
鄭和:「ほう、元朝に仕えておられたと」(少し興味深そうに)「それは興味深い。後ほど詳しくお聞かせください」
あすか:「お二人とも、もうお話が始まっていますね」(微笑ましく見守りながら)「鄭和さん、お席へどうぞ」
鄭和:「失礼いたしました」(威厳を保ったまま着席する)
あすか:「そして20世紀アメリカより...空に夢を追った女性パイオニア!大西洋単独横断を成し遂げ、『女性にも空がある』ことを世界に証明した勇敢なレディ―」(力強く)「アメリア・イアハートさん!」
(スターゲートから、アビエイタージャケットとゴーグルを身に着けたアメリア・イアハートが颯爽と登場。明るい笑顔で大きく手を振りながら、軽やかなステップで歩いてくる)
アメリア・イアハート:「ハーイ、みんな!」(元気よく両手を振り)「空から来たわよ!」(くるっと一回転してポーズを決める)「今夜は男性陣に負けないよう、しっかり語らせてもらうからね!」
マルコ・ポーロ:「これはまた...」(目を丸くして)「女性の冒険家とは珍しい」
アメリア・イアハート:「珍しいですって?」(眉をひそめ)「20世紀では女性だって空を飛ぶのよ。あなたの時代とは違うの」
鄭和:「イアハート殿」(立ち上がって丁寧に一礼)「あなたの勇気ある行動は、我が国でも語り継がれております」
アメリア・イアハート:「あら、ありがとう!」(嬉しそうに)「でも将軍さん、そんなに固くならないで。今夜は楽しく語り合いましょうよ」
あすか:「アメリアさんの登場で、一気に華やかになりましたね」(指定席を示しながら)「こちらへどうぞ」
アメリア・イアハート:「ええ」(席に向かいながらマルコに向かって)「ところでマルコさんでしたっけ?あなたの『東方見聞録』、読んだことがあるわよ。すごく面白かった!」
マルコ・ポーロ:「おお!それは光栄だ」(得意そうに)「あの本のおかげで、私の名前は永遠に残ることになった。まさに最高の投資だったよ」
アメリア・イアハート:「投資って...」(ちょっと呆れたような表情)「もう少しロマンチックに言えないの?」
あすか:「最後に、江戸時代の日本より...50歳から日本測量に人生を捧げた遅咲きの大冒険家!地球一周分を歩いて正確な日本地図を完成させた不屈の学者―」(敬意を込めて)「伊能忠敬先生!」
(スターゲートから、質素だが清潔な旅装束に身を包んだ伊能忠敬が静かに登場。穏やかな表情で、謙虚に頭を下げながらゆっくりと歩いてくる)
伊能忠敬:「皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます」(深々と頭を下げる)「私などまだまだ修行の身、先輩方からご指導いただければと存じます」
鄭和:「いえいえ、先生のご功績は我々も敬服するところです」(立ち上がって礼を返す)「正確な地図を作るというのは、まさに国家の基盤となる重要な事業」
マルコ・ポーロ:「50歳から始められたって本当ですか?」(驚いた様子で)「それはすごい!私なんて17歳で旅に出たのに、まだまだだな」
伊能忠敬:「いえいえ、マルコさんの若い頃からの冒険こそ素晴らしい」(謙遜しながら)「私は商売で成功してから隠居して、ようやく好きなことができるようになっただけです」
アメリア・イアハート:「先生、年齢なんて関係ないわ!」(力強く)「50歳から始めて、あんなすごい地図を作るなんて...私も見習わなくちゃ」
伊能忠敬:「イアハートさんこそ、空を飛ぶなんて...私には想像もつきません」(感嘆の表情で)「どのような気持ちなのでしょうか?」
アメリア・イアハート:「自由よ!地上の全てから解放される感覚...もう病みつきになっちゃう」(目を輝かせて)
あすか:「皆さん、もうすっかり打ち解けていらっしゃいますね」(嬉しそうに)「伊能先生もお席へどうぞ」
あすか:(クロノスを操作し、「冒険」という文字を背景に大きく表示)「それでは早速始めさせていただきましょう。皆さんにお聞きします」(テーブルを見回しながら)「『冒険』という言葉を聞いて、まず何を思い浮かべますか?」
あすか:「マルコさん、商人としての視点から、いかがでしょう?」
マルコ・ポーロ:「そうだね...」(少し考え込んでから)「一言で言うなら『投資』だ」(断言するように)「リスクを取って、それ以上のリターンを得る。これが冒険の本質だと思う」
アメリア・イアハート:「投資?」(眉をひそめて)「随分と現実的ね...」
マルコ・ポーロ:「いや、聞いてくれよ」(身を乗り出して)「私の場合、胡椒一袋がヴェネツィアに帰れば金と同じ価値になるんだ。24年間の危険な旅も、その一袋があれば全て報われる。これほど確実な商売はないよ」
鄭和:(眉をひそめて)「商売?」(低い声で)「冒険を商売と言うとは...」(テーブルを軽く叩く)「冒険とは皇帝陛下の威光を示し、朝貢国を増やす神聖な国家事業です。個人の利益など二の次!」
マルコ・ポーロ:「おや、将軍殿は随分と堅いことを言う」(苦笑いしながら)「でも考えてみてくれよ。国家事業だって結局は利益を求めているじゃないか。朝貢だって貿易だって、国の富を増やすためでしょう?」
鄭和:「それは...」(言葉に詰まる)「確かに結果的には国益につながりますが、動機が違います。私たちは皇帝陛下の命により、天下に徳を広めるために航海するのです」
アメリア・イアハート:「ちょっと待って!」(手を上げて割って入る)「お二人とも実利的すぎない?」(立ち上がりながら)「冒険って、そんな計算づくめのものじゃないでしょう?」
あすか:「アメリアさんは違う考えなんですね?」
アメリア・イアハート:「そうよ!」(目を輝かせて)「冒険って、心の奥底から湧き上がる『やってみたい!』って気持ちじゃない?」(胸に手を当てて)「私が初めて飛行機を見た時、理屈なんてどうでもよかった。ただ『空を飛びたい』って思っただけ」
アメリア・イアハート:「空を飛ぶ時の自由な感覚...雲を突き抜けて青空に出た瞬間の開放感...あれは何にも代えられないのよ」(うっとりとした表情で)
マルコ・ポーロ:「気持ちは分かるよ」(優しく)「でも君、その『やりたい』気持ちだけで太平洋を渡れるかい?燃料は?食料は?天候は?」
アメリア・イアハート:「もちろん準備はするわよ!」(ムッとして)「でも最後の一歩を踏み出させるのは、心の声よ。計算だけなら、みんな家でじっとしてるはず」
伊能忠敬:(穏やかに手を上げる)「皆さまのお考え、どれも尊いものです」
あすか:「伊能先生はいかがですか?」
伊能忠敬:「私にとって冒険とは...」(少し考えてから)「学問への道筋でしょうか」(謙虚に)「正確な地図を作ることで、後の世の人々のお役に立てれば、と」
鄭和:「なるほど、学問的探究」(うなずきながら)「それは崇高な動機ですね」
伊能忠敬:「いえ、私などはただの好奇心です」(手を振って)「天体を観測しているうちに、正確な暦を作りたくなり、そのためには正確な地図が必要で...気がついたら全国を歩き回っていました」(苦笑い)
アメリア・イアハート:「それよ!その『気がついたら』っていう感覚!」(嬉しそうに)「先生も結局は『やりたいこと』を追求してたのね」
マルコ・ポーロ:「でも伊能先生の場合、ちゃんと実用的な成果を残している」(感心して)「正確な地図は商売にも軍事にも使える。立派な『投資』の成果だよ」
鄭和:「確かに地図は国防上も重要です」(うなずく)「正確な情報があってこそ、適切な戦略が立てられる」
伊能忠敬:「皆さま、ありがとうございます」(恐縮しながら)「ただ、私が思いますに...冒険の動機は一つでなくても良いのではないでしょうか」
あすか:「と、おっしゃいますと?」
伊能忠敬:「私も最初は純粋に天体への興味から始まりました」(ゆっくりと話す)「でも測量を続けるうちに、これは国のため、人々のためにもなると気づいた。個人的な興味と社会的な意義、どちらも大切だと思うのです」
マルコ・ポーロ:「なるほど、それは賢明な考えだ」(うなずいて)「私だって最初は父についていくだけだったが、東方の素晴らしさを見て『これを西欧に伝えたい』と思った。商売と文化交流、両方の意味があったんだ」
鄭和:「私も同感です」(少し表情を和らげて)「確かに皇帝の命が第一ですが、各地の人々と友好関係を築き、お互いに学び合えることには大きな喜びを感じました」
アメリア・イアハート:「そう!みんな最初はシンプルな動機でも、やっているうちに色んな意味が出てくるのよ」(明るく)「私だって最初は単純に『飛びたい』だったけど、女性の可能性を証明することにもなったし...」
あすか:(微笑んで)「早くも4通りの答えが出て、しかも意外な共通点も見えてきましたね」(クロノスに4人の発言をまとめて表示)「商売、国家事業、個人の情熱、学問的探究...そして『動機は複層的である』という点での一致」
あすか:「この違いと共通点が、今夜の議論をより深く、熱いものにしてくれそうです」(期待に満ちた表情で)「皆さん、準備はよろしいですか?」
全員:(それぞれうなずく)
あすか:「それでは、第1ラウンドに参りましょう!」