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続き。
「いいか?今回の依頼は森の不審な轟音の調査だ。これは未知についての調査であり、何か強力な魔物の可能性があるから十分に気を付けるように、とギルド長直々に頼まれた依頼だ。」
ギルド館と呼ばれる町の人々の悩みや問題を解決する仕事の者が集まる大きな建物の中、雑多に並べられた机の一角に座る3人組が何やら神妙な面持ちで会話をしている。
訂正しよう、神妙な面持ちで話しているのは無精髭を生やしたいかにも苦労人といった風にしわを重ねた男のみで、スキンヘッドの頭に刺青のある人相の悪い青年と、赤毛の短髪で落ち着きがないのかい椅子を揺らしている若い女は興味がなさそうに欠伸までしている。
そんな様子を知ってか知らずか男は、依頼の内容を話し続けている。相当気合が入っているようで、話ながら見開かれているその目は闘志に満ち溢れているようだ。
ここまで聞いていた様子のなかった女がうんざりしたような顔で男に言い放つ。
「それ、頼まれたんじゃなくて厄介ごとを暇そうな私たちに押し付けたんでしょ。」
「だろうな。」
青年もこれに同意し、二人でうんうんと頷きあっている。
「そんなことよりよ、東のほうの街で騒ぎがあったの知ってるか?等間隔に並べられた柱、まるで魔法陣のような形で突如現れたんだって。こんな所業彼の勇者ソラモトトウヤの様だって!」
青年は男の話を聞く時とは対照的に興奮気味で捲し立てる。
「そもそも突如現れたっていうのがまず凄いのに、人の大きさほどもある金属の柱っていう噂もあるからなぁ。こんなの勇者にしかできないよなぁ。」
これに女はさらにうんざりした様子で嫌悪感を示す。
「はぁー出た出た、ルエディの勇者トーク。あんたよくそんな聞いたこともないような噂話を見つけてくるねぇ。おっさんの仕事話も面倒だけど、あんたの勇者オタクに付き合うのもうんざりだわ。」
「ケイ、仕事の話はしっかりと聞くもんだ。今回は時にギルド長直々だから何かあればお前らの評価まで下がるぞ。ルエディもだぞ、その話はあとで聞いてやるから、今は話を聞け。......続きを話すぞ。」
男がそう注意するとルエディと呼ばれた青年は仕方なしといった風に話をやめ、ケイと呼ばれた女はやれやれと先ほどと同様にうんざりした様子ながらも話に耳を傾けだした。
「まぁ大方さっき話した内容ですべてだ。南にある森の調査が目的で、馬で1日森まで向かい、そもまま調査をしつつ森で二泊。その後帰還だ。今までに聞いたことの無い様な音を確認しているそうだ。今回は知っての通りサレアが不在で3人での行動になるから重々注意するように。」
「なるほど、今回は戦闘がメインっていうよりも偵察的な感じってことか。ならおっさんしかやることないな。」
「そうだねー。あたしたち街で待っててもいい?信じて待ってるからさ、ヒデ。」
ケイは男をヒデと呼びウインクを贈る。
これにヒデは呆れたよな様子で軽くあしらう。
「こういう時だけ名前で呼ぶなバカ。今回はお前たちが主導で調査してもらう、そろそろお前たちだけでも依頼こなせるようにならないといけないからな。」
「えー、こういう依頼こそヒデちゃんの輝くときじゃん。絶対そっちのほうがうまくいくしー。」
「ヒデちゃんとかいうな気持ち悪い。うまくいったらボーナスやるからやる気出せ、ほら準備するぞ。」
「......了解。おらケイ行くぞ。」
机に伏せて駄々をこねるケイを受け流しつつヒデはやる気を出させるようにケイの背を叩きながら席を立つ。
同様にルエディも背を叩きながらヒデについていく。
ケイは観念したのか突っ伏していた体を起こし、
「あー背中が痛いなー、痛いなー。」
とぼやきながらも二人の後を追い建物を出ていった。
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「よし、この辺でいいだろう。ここから森に入るぞ!足場が悪くなるから馬は降りて進むからな!」
ヒデは鬱蒼とした森を前に馬から降り、後方にいるケイとルエディに声をかける。
「あーここまで長かった。馬に乗って移動って体痛くなるから好きになれないわ。歩くよりいいんだけどね。あ、ヒデ。そういえば馬って、緊急時は逃がしちゃってもいいのよね?」
ヒデに追いついた二人は同じように馬から降り、ルエディは無言でこの先入る森を眺め、ケイは強張った体を動かながら質問を投げかける。
「そうだな。そもそも依頼の時に馬に乗ってくること自体そう多くはないが、どうしてもやむおえない場合...要するに魔物と出会い危険な戦闘になる場合だな。馬を守りながら戦うなんてできない。そんなときは迷わず自分のことを考えて動け。馬は勝手に逃げるし、運よく生き延びたら勝手に街まで帰るよう教育されてある。」
「すっげぇー馬。」
ケイは意外にも頭のいい馬だったことに驚き、自身の乗ってきた馬を「あんた凄いんだねぇ。」と言いながら撫でている。
「森に入る前に最終確認だけするぞ。基本固まって行動。指示はルエディに任せるから、2日かけてこの森の調査だ。危険な場合は俺が注意するか助けに入るから、お前たち二人が主導で頑張れ。いいな?」
ヒデはルエディとケイの二人を見ながら最終の確認を行う。顔は厳しく鋭い目つきで話しているが、言葉には彼なりの優しさが窺える。
「ルエディ頑張れー。」
「お前も頑張るんだよ脳筋女。お前が細かいことができないから俺がやるだけだからな。」
「はいはーい。頑張りますよっと。」
二人は言い合いながらも装備の確認をしたり、行程を話したりと徐々に真剣さが現れている。
「よし、確認完了。...行くぞ。」
ルエディの言葉を皮切りに3人組は鬱蒼とした森へ歩き出していった。
思うままに書いていたらメインキャラ消えて登場人物が増えた。
混乱しそう?ごめんね?