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願いを叶えるアドベントカレンダー

作者: 海堂直也


 今日から12月、教室で聞こえてくる女の子の話し声はクリスマス会を誰の家でやるのか……けっ!バカバカしい。


 クリスマスもサンタもプレゼントも、俺には関係ない。あれは親ガチャでSSR引き当てた奴だけのもんだ。うちはせいぜいRかN+、秋冬のイベントは何一つ楽しくない。


 放課後の買食いも皆はピッで済んじゃうからコンビニ。現金派の俺は薄暗い駄菓子屋の常連だ。まぁウロウロするだけで何にも買わない日の方が多いけど。


 「いらっしゃい。」


 店の奥から低い声?普段なら嗄れた声で「あい、らっしゃい。」と婆さんがギロリと睨んでくるのに……


 低い声は爺さんだ。見た事ない爺さんが、見た事ない物を手入れしている。ぼんやり見ていると、爺さんは笑顔で話しかけてきた。


 「コレが何だか分かるかい?」


 番号が書いてある扉が付いてる家。そんな物は小さい女の子が遊ぶ玩具だろうと思ったら、爺さんは自分から質問してきたくせに自分で答えやがった。


 「コレは、願いが叶うアドベントカレンダー。1から順番に1日に1つ扉を開けるんだ。24まで、同じ願いを願い続ける事が出来たら、どんな願いも叶うんだよ。」


 ここでもクリスマスかよ、俺には関係ないってんだ、そんなお伽話、信じるかよ!とか思っていると、爺さんは「そんな話信じるか!って思ってるね?」と言ってきた。この爺さん気持ち悪い

な……とか思っていると、「そんなに気味悪がらずにお願い事をしてごらん。」なんて言ってきやがった。 


 願い事なんて叶うと思ってないから、あんまり考えた事ないけど、そんな不思議な事が本当に起きるなら、サンタクロースだ!本物のサンタクロースに会わせてみろ!何で俺ん所には来ないんだって文句言ってやる!


 「おや?君のお願いは玩具やお菓子じゃないみたいだね。扉を開けると部品や材料が出て来てクリスマスまでに完成させるワクワクを楽しめるんだが、はて?何をお願いしたのかな?」


 「あ、おれは」


 「おーっと駄目だよぉ。お願いは秘密にしていないと叶わないからね。」


 よく分からないけど、爺さんは楽しそうだし、べつに損する事もないから毎日扉を開けに来るかな。でも婆さんだったらアレに触らせてくれなさそうだけど……


 って、何で俺の部屋にコレがあるんだよ!え?なに?どゆこと?


➖️12/24➖️


 願いは叶った、目の前にサンタは現れた、夜の窓ガラスに映ってる。言ってやる。


 「何で今迄うちに来なかったんだよ!」



     サンタもそう言った

 


 


 




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― 新着の感想 ―
「クリスマスもサンタもプレゼントも、俺には関係ない。」と言っていた主人公ですが、皮肉な事にこれからはそれら全てがダイレクトに関係ある事物になりましたね。 フリードリヒ・ニーチェの「怪物を倒そうとする者…
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